悪役令嬢の我がまま~舞踏会に……~
私の名前はリナ。
乙女ゲームの世界に転生していた悪役令嬢で、中身がアラサー、体は子ども。私を断罪して婚約破棄する王太子レイモンドから嫌われるための作戦を決行中だ。
その作戦は、レイモンドに我がままを言うこと!
無理難題を突きつけ「この令嬢とはやっていけない」と思わせ、早々に婚約破棄してもらおうと考えた。
子どものうちに婚約破棄されれば、断罪劇は始まらない!というわけ。
そこで私はレイモンドに新たに思いついた我がままを告げる。
「ぶとうかいで、おどりたいでしゅよ!」
この世界で舞踏会に参加できる令嬢には条件がある。社交界で正式にデビューし、十六歳以上の未婚の貴族令嬢であること! そして今の私はその条件を満たさない! つまりは参加不可。
この我がままに、完璧王太子の彼がどう応えるのかと思ったら……。
「リナは舞踏会で踊りたいんだね。わかったよ」
わかった、ですと!?
驚愕する私にレイモンドは、お気に入りのドレスを着て、明後日の夕方、屋敷で待つようにと言うのだ!
(絶対に無理よ! 子どもは会場に入れてもらえないわ!)
だが日没を過ぎた頃、レイモンドが公爵邸に迎えに来た。しかもちゃんと黒のテールコートを着て!
「行こう、リナ」
フリルたっぷりのパステルピンクのドレスを着た私は、レイモンドと一緒に宮殿へ向かう。広間に到着すると楽団がメロディを奏でる。
「では踊ろうか、リナ」
キラキラとシャンデリアに照らされ、レイモンドとダンスをすると、気持ちは完全にお姫様!
「リナ。これは僕が人生で初めて主催する舞踏会だよ」
これには「Oh my goodness!」だった。まさかの「無いならば、作るまでだ!」で対処するとは……!
「大勢が参加する舞踏会は、リナが十六歳になるまでお預け。でもその時は僕が全力でエスコートするよ」
レイモンドはダンスの終わりに合わせ、優雅に私を抱き寄せる。そして耳元で甘くささやく。
「今日はこれで我慢してね」
ズギューンとハートを射抜かれてしまい……。
悪役令嬢、断罪回避のため、レイモンドから早い段階で婚約破棄されたいのに!
完璧王太子は、不可能を可能にする天才。これは……実に前途多難だが、彼は今、本気でリナが大好きなのだ。
嬉しいが喜んでいられない悪役令嬢リナの悩ましい日々は、まさに始まったばかりだった……!
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