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真実を暴露する話

空の上から真実を暴露する

作者: 氷桜 零
掲載日:2025/10/26


私の人生は、とても幸せなものだった。


カトリーナという名前をもらい、仲の良い家族のもとに生まれ、何不自由なく過ごすことができた。

恋愛結婚だった両親を見て育ったから、私も恋愛結婚をしたいと思うようになった。


貴族の学園に入学し、そこでかけがえのない友人たちに出会うことができた。


その学園で、私の運命に出会うことができた。

当時臨時教員として来ていた、シュノール侯爵家のヨハン様。

授業でわからなかったことを質問に行くと、とても優しく教えてくれた。

そうして交流していくうち、彼のことを好きになった。


彼はとても女性に人気だ。

私が選ばれるはずがないと、そう思っていた。

だから彼から、婚約を申し込まれた時は、信じられないくらい嬉しかった。

後から聞いた話だと、彼は私に一目惚れだったらしい。


順調に婚約期間を過ごし、私の学園卒業と共に結婚した。


結婚生活は、とても幸せだった。

長男のジョエルと、次男のハインツを産んで、幸せな家庭を築くことができた。

けれど最後の時は、唐突にやって来た。


3人目の子は難産で、医師から母子共に危ういと言われた。

出産中だったので、意識は朦朧としていたが、その言葉はやけにはっきり聞こえた。


出産に危険はつきもの。

いつも、万が一の覚悟はしていた。

家族には、常に愛情を伝えていた。

3人目の子の名前も伝えてある。

だから……


「例え、私が死んだとしても、子どもを何よりも優先して。愛しい我が子なの。守りたいのよ。あなた、子どもたちをお願いね。」


夫と医師にそう伝えた。

その返事は聞こえなかったけど、きっと大丈夫だと信じている。

頼りになる夫だから、きっと大丈夫。


赤子の泣き声を最後に、私の意識は閉ざされた。





私が死んでから7年もの時が過ぎた。

私は空の上で、私の愛しい家族を見守っていた。


初めの5年は、ふわふわとした意識の中で漂っていただけだった。


けれどある時、天使たちの噂話を耳にして、覚醒した。

シュノール侯爵家が、幼い子どもを虐げていると言う。

シュノール侯爵家は、私の大切な家族がいる家。

その名を聞いて、意識がはっきりした。

同時に、自分がカトリーナであることを思い出すと、自分の身体が形作られた。

ただあくまで、形ができただけなので、魂だけであることに変わりはない。


私は天使に無理を言って、現世が見える泉の場所を教えてもらった。

そこで見たシュノール侯爵家は、私の想像とは全く違っていた。


夫は屋敷を空けることが多く、ジョエルは感情を凍らせ、ハインツはいつも人の顔色を覗っていた。

3人目の子は女の子、ならば名はエストレラのはず。

エストレラは、家族に振り向いてもらおうと、必死になっていた。

みんなはそんなエストレラを、疎んでいた。


衝撃的だった。

あんなにも仲が良かった家族がバラバラになり、みんながエストレラを疎んでいるなんて。


けれど私はもう死んでいるから、何もできない。

悔しくて、悲しかった。


それから2年。

愛した家族は何も変わらなかった。

いえ、むしろ悪化していた。


また今も、エストレラを蔑ろにしている。

もう、我慢の限界だった。

だからは私は、心の限り叫んだ。


「ヨハン様、失望しました!私が死んだのは私の意思です。子どもを望んだのは、私とあなたでしょう!エストレラに当たらないで!あんなに私が愛しんでいたこと、忘れたのですか!?守ってくださいって言いましたよね!?」


『……!!』


あら?

ヨハン様の顔色が悪くなったわ。

みんながキョロキョロしているけど、もしかして聞こえたのかしら?

だったら……


「ヨハン様!新しい女にうつつを抜かすのは結構ですが、やることやってからにしなさい!娘一人愛せないあなたが、新しい女を、連れ子を、領民を愛せるはずないでしょう!自覚なさい!父親として、いえ、人として、子どもを蔑ろにするなんて、最っ低!」


『す、すまない!』


ジョエルもハインツも震えているわ。

でもあなたたちにも言いたいことがあるのよ。


「ジョエル!ハインツ!下の子を守ってって、可愛がってねって言ったわよね!何をしているの!そんな薄情な息子に育てた覚えはないわ!人の気持ちを考えなさいと言ったでしょう!自分がされたら、どう思うの!?」


『ご、ごめんなさい、母上!』


『自分だったら、嫌です……ごめんなさい。』


一斉に謝り出した家族に、エストレラはキョトンとしている。


可愛いわ……


「エストレラ。誰が何と言おうと、母はあなたを愛しています。あなたを産むために、守るために命をかけたこと、後悔していないわ。そこの馬鹿3人は、放っておきなさい。あなたは母に愛されて生まれた子なんだから。自信を持って。いつまでも、母はあなたの味方よ。」


『お、お母様ぁ……』


ああ、あの子の涙を拭えないことが悔しい。

どうか忘れないで、あなたは愛されているんだってこと。

どうか前を向いて、笑顔で生きてちょうだいね、愛しい子。



その後、現世に影響を与えてしまった私は、天使に回収されて、二度と現世を見ることができなくなった。

だから、シュノール侯爵家がどうなったかは、神のみぞ知る。



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― 新着の感想 ―
「母親は強い!」 この言葉に尽きます。 心を入れ替えてくれることでしょう。
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