八話
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食堂に着いて辺りを見渡してみると多く学生で、にぎわっていた。
食堂といっても、青天井の下に座るための丸太が点在しているような場所だった。
「本当に握り飯の種類が少なかったですね。塩と鮭しかありませんでした」
「そんなんだから、夜行寮の近くには元陰陽師が経営する食事処が多かったりするんだ。寮の食事に飽きた人は外の食事処に流れるわけだな。だから、博士や弟子になれなかった人は食事処で働く。需要もあるし生きていくぶんには困らない」
私は「なるほど」と頷きながらも、自分も同じ道を歩みかねないと心配していた。
昼食のあと、雨宮さんは書蔵棟に探したい本があると言って別行動することになった。
私は一人で寮部屋に戻り、天井を見つめて考えを巡らせていた。
(私、これからどうなるんだろう……)
食事処で働いていても、私の抱える謎を解明することはできないだろうと思う。
かといって、式神召喚の儀式で才能を示して博士の弟子にとってもらうということも、難しそうである。
(今度、職員の人に寮費がいくらなのか聞いてみよう……)
そうすれば、最低限の刻限となるはずだ。
そして翌日、朝から雨宮さんとともに式神召喚の儀式が行われる会場へと向かった。
屋外の広場で名簿に名前を記入して、受付時間の終了まで待つことになった。
地面には大きく五芒星の図柄が記されていた。
「みんなの前で式神呼べなくて恥をかくのだけはいやですね……」
「意外と呼べない奴はいるらしいから、そんな恥じることはねえ。式神召喚の儀式自体は、夜行寮では定期的にやっているらしい。出来るまでやればいいんじゃねえか。まぁ……弟子入りできないと寮費を払い続けなくてはいけねえが」
すると、四人の取り巻きを従えた男子が私を視線に捕らえると顔を歪ませ侮蔑のこもった笑みを浮かべた。
「あぁ、お前! 坂田の家の追放者だろう? よく人前に姿を現せたものだな。一丁前に刀なんて帯刀してお侍さま気分か? ここは夜行寮。陰陽師の学び舎だぞ」
どっと取り巻きたちは私への嘲笑の勢いを強めた。
「私が家を追放された者だと、よく知っていましたね。馬鹿にしたければ別にいいですよ。初対面のあなたのことは知らないし、経緯も知らない人になんと言われても、うるさいだけです」
ここで言い返すなんて私らしくなかった。幼い私なら何も言えずに怯えることしかできなかったはずだ。どうしたのだろう……。
「言うじゃないか。せいぜい儀式で恥をかかないことを祈るんだな」
男子と取り巻きは鼻で笑いながら通り過ぎていった。
すると雨宮さんが小声で話しかけてきた。
「あんた随分と大物に嫌われているじゃねぇか。それに大竹家の御曹司を知らないなんて、割と世間知らずなのかい?」
「あぁ、名前だけは聞いたことがあります。でも初対面です。また謎が増えました」
この近辺では唯一、強い力を色濃く残す陰陽師の名家と聞いたことがあった。
しかし、本当に初対面で家同士の繋がりすらないはず。本当に因縁がわからない。