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六十三話

毎日三話更新

 大嶽丸も力強く反撃してきて、あまりの勢いに私は吹き飛ばされた。


 空中で背後に展開していた大通連の峰を踏み、足場にして体制を整えると五行を循環させて体力の回復を一時的に行った。


「そっちこそ、か弱い少女だと? その身のこなし生前と変わらないではないかッ」


 すぐに間合いを詰めてきた大嶽丸の振り下ろした刀が、地面を抉ったのを見て肝を冷やした。


 あんなもの直撃してしまったら、一太刀で命を刈り取られる。


 斬り合いでは力の差が大きく不利だった。


 お互いが相手の一撃必殺を警戒していたのなら勝負は長期戦になる。


 しかし、長期戦になれば体力の回復手段を持っている私の方が有利である。大嶽丸も、それは理解していることだろう。


 すでに泥仕合の様相を呈してきていた。


 生前は俊宗と二体一で戦うことができたからこそ、勝てた戦いだった。


 大嶽丸と互角の力でぶつかり合うことができた俊宗の力量に、改めて賞賛を心の中で静かに贈った。


「愉しいか鈴鹿御前? 俺は愉しいぞ。式神の鬼神ごときに倒されるお前でなくて心の底から感謝したくらいだ」


「私を鈴鹿御前として目覚めさせないように工作をしておいて、今更感謝を言われるなんて嬉しくないですけど」


 大嶽丸は「はっはっは」と高笑いしながら、腕を回して首を左右に傾けパキパキと音を鳴らした。


「たしかに最初は負けないように、そんな裏工作をしかけていたが神通力を覚えたお前を見て思ってしまったんだ。今度こそお前たちに勝ちたいってな。……お互いに体が温まってきただろう。もっとだ、お前はまだ全力じゃないだろう?」


 大嶽丸の体の中で『火』の気が大きくなり、息を吐くたびに口から炎が漏れ出ていた。


 私が勝つためには、この鈴鹿山の森の中に満ちる『木』の気を使わなくてはいけない。大嶽丸の炎で木々が焼けては私の決め手がなくなってしまう。


 持久戦で好機を狙おうと思っていたが甘くはないようだ。


「どうやら、勝負に出ないといけないみたいですね。かなり戦いの勘を取り戻してきたので覚悟してくださいね」


 私は小通連を大嶽丸に向けて『木』と『水』の気を集中させた。


 小通連は太い木の根に姿を変えて大嶽丸に向かって伸びていった。


 大嶽丸は息を大きく吸い込んで炎を吐いて迎撃して、木の根は焦げてしまった。


 焼け焦げた根を小通連を刀の形状に戻し、私は大嶽丸に接近した。


 木の根を遠距離から伸ばしても炎で焼かれる。ならば近く寄るしかない。


 地中にある『水』の気を消費すれば炎を無力化できるが、ある程度残しておかなくてならない。


 私が大嶽丸を殺しうる決め手はただ一つだった。


 堅牢な皮膚を持つ大嶽丸を倒すには、傷口から『木』と『水』により作った根を体内に張り内部から体を破壊するしかないのだ。


 全盛期の私でも大嶽丸相手に致命傷になるような攻撃は同じものしか用意できない。


 俊宗がいれば、あの堅牢な皮膚も容易く斬ることができるのに……。


 大嶽丸と戦いながらも俊宗に会いたい気持ちが募るばかりだ。

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