四十八話
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「……というわけで、君が死ぬのは避けられないらしい。だが再会のために私は全力を尽くすつもりだ。君の意見を聞きたい」
俊宗は鈴鹿御前にあったことを説明すると、鈴鹿御前は呆れた様子だった。
「最近、鈴鹿山に来る頻度が下がったと思ったら、そんなことをしていたのですか? 私のせいで俊宗が地獄行きになってしまうところだったじゃないですか。……ばか」
「大丈夫だ。むしろ死んでも地獄には来るなと言われたよ。はっはっは」
「笑いごとじゃないんですけど……」
鈴鹿御前は大きくため息をついて呆れたが、嬉しそうに微笑んで俊宗を抱きしめた。
「ありがとう」
鈴鹿御前は俊宗の耳元で噛みしめるようにお礼を言った。
その後、すぐに大嶽丸という鬼神が悪事を働いていることが京でも認知され、鈴鹿御前と俊宗は苦戦の末に大嶽丸を討伐したのだった。
そして俊宗はもう一つの条件である都の人々へ尽くすために働きだした。
妖怪退治から人助け、悪人を捕らえるなど、あらゆる功績を積み上げていった。
鈴鹿御前は三明剣を使った儀式を考案し、千年後に子孫が鈴鹿御前と自覚できるような仕組みを用意した。
三明剣を使った儀式は生まれ変わりかどうかの選別を兼ねていたものだった。
そうして訪れた、鈴鹿御前が二十五歳を迎える日。
鈴鹿御前はまだ首も座らない娘を抱きながら弱弱しく横たわっていた。側には俊宗が手を握って目を潤ませていた。
「俊宗へ最後に伝言があいます。私は宿命通という自分の過去や前世をしる神通力を使うことができます。私の生まれ変わりが自分の正体に気付くとしたら宿命通を会得した時でしょう。私の死後、不測の事態が起こったら空に向かって叫んでください。千年後の私に必ず届きます」
「わかった。覚えておこう」
「では……『りん』のことは頼みましたよ」
「あぁ、任せろ」
「ふふ、俊宗……そんな悲しそうな顔をしないで。でも、少し眠くなってきました。ではおやすみなさい。また、千年後に逢いましょう」
そして鈴鹿御前は全ての準備を終えて安堵しながら二十五歳で俊宗に看取られた。
鈴鹿御前は目を瞑ると体は金色の光の粒になって、娘のりんに吸い込まれていった。
俊宗は手で涙を拭うと、りんを抱きかかえて鈴鹿御殿をあとにした。
ここからは私の知らない俊宗の体験した人生だ。




