四十七話
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それから百日間、俊宗は地獄に現れては獄卒を斬り、地獄で行われる獄卒の業務を妨害し続けた。
当初はそんなことできないだろうと高をくくっていた閻魔大王だったが流石に業務に支障が出てきて話し合いの場を改めて設けることとなった。
「少し君に譲歩したい」
「譲歩? 一応話を聞きましょうか」
閻魔大王を下手に出させてしまう行動力に私は感服してしまうばかりだ。
「鈴鹿御前が死ぬことは我も含めた十二天の合意事象で覆すことはできない。だが、君と鈴鹿御前の再開の機会を条件付きで与える」
俊宗は「その条件は?」と閻魔大王相手に対等以上に振舞っている。俊宗おっかない。
「大嶽丸という鬼神を討伐すること。そして、都の人々に尽くし功績を認められること。その上で鈴鹿御殿で千年待つ。これは君に対する必要条件だ」
「鈴鹿の方にも再会のために条件があるような言い方ですね」
「……そうだ。鈴鹿御前は千年後生まれ変わる。だが自力で、自らの正体に気付かなくてはならない。そして、鈴鹿山で顕明連を振るうことで千年の間、鈴鹿御殿で待った君は再会を果たす」
ほとんどは、俊宗から聞いた通りだった。
だが、千年後に大嶽丸も生まれ変わることが想定されていない会話だった。
「私のわがままを聞いていただいて、感謝いたします。私の死後は地獄に送っていただいてかまいません。労働で応えましょう」
「本来なら、それが道理というものであるが……君は獄卒たちに恐怖を植え付けすぎた。獄卒の誰もがお前を責めることなどできなくなってしまった。おとなしく浄土に行け」
獄卒たちが俊宗に恐怖を感じるのも無理はない。
俊宗は地獄で獄卒が死なないのをいいことに、毎日のように地獄に現れては斬って刺しての苦痛を獄卒たちに与えていた。
俊宗のわがままを放置した百日間、獄卒は罪人を責める側から俊宗に責められる側に立場が入れ替わってしまった。
百日間の後半など俊宗を見るなり「また来たぁ!」と半泣きで逃げ回る獄卒がいた始末だったのは一周回って笑い話だ。
そして、閻魔大王から再会の約束を取り付けたことを鈴鹿に知らせに走った。




