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三十五話

毎日三話更新

 視界が暗転して瞬きと同時に、白峰天狗が前に立つ結界屋敷に視界が戻ってきた。


「うーん、うまくいきませんね。やはり三つの気を扱うとなると難易度が違います」


「ん? できなかったのか? うまくいったように見えたが……まぁ、難しいものだな。現に私は『木』の気を感じるのが下手で宿命通は使えない。あとは回数をこなせば、習得できるだろう」


 様子を見に来ていた俊宗は明るい表情で私の肩を叩いていた。


「できるまで付き合う。鈴ならできるさ。神足通を一瞬で習得してしまったのには本当に驚いた。やはり、神通力の才能あると思うぞ」


 ありがとう。でも、ごめんなさい。私はあなたを疑っているのに。


「式神さん。もう一度打ち合いをしてくれませんか? まずは神足通を体に慣らしたいのです」


 本当なら『式神さん』などという他人行儀な名で呼びたくはない。


 田村丸俊宗。あなたは平安の京を守った英雄なのはもう知っている。


「構わない。お相手しよう」


 木刀を神足通で取りにいき、戻ってくると俊宗に手渡した。


 信太師匠と白峰天狗は離れて見物しながら談笑している様子だった。


 俊宗が構えたのを確認すると私は神足通を使い一瞬で俊宗の背後をとった。だが振るった木刀はなんなく反応され捌かれてしまった。


 何度か打ち合い距離をとり、私は次の確認事項に移行した。


 今度は連続して神足通を使用していくつもの場所に点々と現れ俊宗を惑わそうとしたが、俊宗は微動だにせず目で追うのみだった。


 徐々に連続した視点の切り替わりにも慣れてきたので、間合いを詰め木刀を振るう。当然、俊宗は反応してくる。


 私は一振りごとに神足通で転移しながら攻めた。すると俊宗の反応は次第に遅くなっていった。


 そして、受けの甘くなった俊宗の木刀に触れて神足通で木刀を転移させると、無防備になった俊宗に一太刀浴びせることに成功してしまった。


「……これは私の護衛なんて必要なくなってしまったかな。本当に強くなったな鈴」


 自分の正体を知ってしまったからには『鈴』なんて中途半端に呼ばないで欲しかった。


 私はもう、自分のことを鈴鹿だと気付いた、と伝えたかった。


 でも、それはできないことがわかってしまった。


(逆の立場になってしまいましたね……俊宗)


「さて、そろそろ私はいかねばならないのだが、まだ聞きたいことはあるかな?」


 白峰天狗は信太師匠とともに私の近くにいて、話しかけてきた。


「大丈夫です。神通力を教えてくださり本当にありがとうございました。いつか、お礼に挨拶に上がります」


「君の敵については信太から聞いている。健闘を祈る」


 大竹が敵という認識が半分正解と俊宗に言われたことも理解した。


 真の敵は大竹が鬼神を取り込み姿を現す『大嶽丸』だ。


 俊宗と生前の私の宿敵。私が江戸の世に転生し、俊宗と再会するための条件。


 大嶽丸を殺さない限り、私は二十五歳の壁を乗り越えられない。

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