二十三話
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「当然、五行を持たない坂田サン向けの力はある。それもとびきりのやつがね。だけど、その力はワタシが教えることのできない技術体系でね。知り合いに教えられそうなひとがいるから相談してみるよ。予習として、神通力もしくは六神通にまつわる本を読んでおくといいかもしれないね」
神通力……。言葉だけは聞いたことがあるけれど、まったく知らない。
書蔵棟に本があるといいけれど。
「信太師匠……。私が至らないばかりにご迷惑をかけて申し訳ない」
式神さんは信太師匠に頭を下げていた。もしかしたら、式神さんも自分だけでは鬼神に勝つことができないことを知っているのだろうか。
「迷惑だなんてとんでもない。教え子の命がかかっているんだ。ワタシだって本気になるさ。ワタシはこれから友人に話をつけてくることにするよ」
「わかりました。私たちは書蔵棟に書物を探しにいきます」
「もしかしたら、急いだ方がいいかもしれないね。まずは参考書を確保してくるといい。いってらっしゃい」
私と式神さんは一礼をすると生成された結界乗り物に乗った。
結界乗り物は寮棟の方ではなく直接、書蔵棟の方に向かってくれた。
書蔵棟の近くに降りると結界乗り物は霧散して消えていった。
「私も一緒に探そう。本があるといいのだが……」
「ありがとうございます。助かります」
入口には老婆の職員が座っていた。貸出の際はあの人に許可を取るのだろう。神通力について書かれた本があるかどうかだけでも確認できるかもしれない。
「あの……神通力や六神通に関する本を探しています。書蔵棟の中にありますか?」
「んー。なんかの流行りなのかい? 天狗に関する書籍の近くだよ」
私と式神さんは思わず顔を見合わせてしまった。『流行り』ということは誰かが最近に神通力に関する本を探していたのだろうか。
「わかりました。探してみます」
書蔵棟は平屋で真ん中の通路を挟むように本棚が向かい合っている。
背表紙で内容がわかるものと、背表紙に何も書かれていないものが混在していた。
私と式神さんは手分けして左右の本棚を探していくことにした。
「……………………」
会話はなく、静寂にひたすら本をめくる音がするのみだった。
手に取る本は陰陽術に関することが一番多く、なかなか目当ての本にたどり着けず苦戦することになった。
しばらくすると、式神さんが「おっ」と呟いた。
「鈴、あったぞ。あったんだが……」
式神さんが見つけたようだったので、私は様子を見に行くとそこには文章が黒塗りにされた本がそこにはあった。
「流行りってそういうこと……。間違いない。大竹に先を越されたのですね」
「仕方ない。剣術の稽古を優先しよう」
でも、これでわかった。神通力を私が知ることは大竹にとって脅威になることであり、私が戦うために必要なことだ。




