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十六話

毎日三話更新

「式神さんは信太師匠、どう思いました?」


「すごい知識を持っている人だと感心したよ。いや、たぶん人間じゃないな。かといって妖怪の類でもなさそうだ。あんな少ない情報で私の正体を見抜かれるなんて思ってもいなかった。まぁ……話のわかる人で助かったよ」


 たしかにすごい人だと思ったけど……信太師匠は人間じゃない?


 室町の時代から生きているなどという化け物じみた噂があるのは知っていたけど、対面した式神さんがそう感じたとなると噂の説得力が増してくる。


「人でも妖怪でもないとなると、信太師匠の正体はなんでしょうか?」


「神様に近いような気がするな」


「かっ神様!? そもそも会ったことがあるのですか?」


「あぁ、会ったことがある。わがままを言って、それを許してくれた」


 式神さんはあまりに淡々と語っているが、やはりただ者ではない。


「昔は神様との距離も近かったのですね」


「あぁ、歩きで地獄まで行けたからな。今も道さえ残っていればいけるだろう」


 私の周りにいる人物の力量が急に跳ね上がりすぎて正直なところ、あまり話についていけてない。


 そんな話をしていたら結界乗り物は降下を始めて、夜行寮が見えてきた。


「それじゃあ式神さん。また明日」


「あぁ、また明日」


 爽やかな笑顔で手を振る式神さんは、優しげな表情だった。なんだかすごく気分がいい。楽しみな明日などいつ以来だろう。




 私は寮部屋に戻ると、雨宮さんが先に戻っていた。


 しかし大の字で横になって天井をぼーっと見つめている。


「ただいま、雨宮さん。……大丈夫?」


「あぁ、おかえり。なぁ、あの書類の山見ろよ」


 雨宮さんの指をさす方向を見ると文字通りたくさんの書類が積まれて山のようになっていた。一冊一冊も分厚い。


「覚えること多すぎんだろぉー!」


 雨宮さんの悲痛な叫びに私も思わず同情してしまう。


 でも、ふと嬉しくなってしまう自分もいた。雨宮さんのことが対等に思えたから。


 信太師匠も式神さんも、どこか遠い存在の人のような気がしてならなかった。


 だから、人並のことで頭を悩ませることができる雨宮さんが近くにいてくれて気が休まる、そんな気がした。


 あの書類の山には同情してしまうけれど。


「まぁ、よかったな。お互い師匠がついて」


「えぇ、本当に。太白博士様とは気が合いそうですか?」


「全然だな。野心の欠片もねぇ穏やかな人だった。あたしは夢追い人を見てるのが好きなのさ。そういった意味でも、あんたはちょっとした夢追い人だ。わかんねぇことを明らかにしようとしてるからな」


 夢追い人……なんて私を適切に表す言葉なんだろう。


 私は夢出てきたあの人のことを探している。だから似ている式神さんのことを知りたい。無関係なわけない。

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