十二話
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辰星博士様と太白博士様は馬の式神を呼び出すとそれに乗って儀式の会場をあとにした。
会場に集まった人々も散り散りになっていく中、大竹の奴は心底嫌そうな目で私を一瞥して取り巻きを引き連れて去っていった。
なんで、初対面の人間にこんなにも嫌われているのか不思議である。
すると隣にいた雨宮さんが私の肩を叩いた。
「一時は失敗したかと思ったが……よかったじゃねぇか。あんたにも師匠が出来てよかったな。しっかし、よく刀を使うって発想よく出てきたなぁ」
「なんか必死だったんですよね。自然と刀を使おうと思い立って掴んでいました」
私が他の人と違うのなら刀を持っているか、いないかという一点だと思った。
札と血判が式神召喚に必要な触媒なら、顕明連も触媒になりうるのではないかと賭けに出た結果、たまたま成功した。そんな運の良さをたまたま持っていただけだろう。
いや……これもまた運命……。
「刀が触媒として働いたのかねぇ? 刀に縁のある人物なのかもなぁ」
「だとしたら嬉しいです。いろいろ聞いてみたいですね」
「まぁ、でも式神は使役を決めてからは呼び出すたびに体力もってかれるから質問を用意してからの方がいいかもな。とりあえず今日はもう帰るか」
私と雨宮さんは式神召喚の会場を後にして寮部屋へと戻っていった。
昼になり私と雨宮さんは食堂で握り飯を食べていた。
「……てことは、あんたが呼び出した男の式神は、ずっと夢に出てきた人間ってわけか……。な、なんかカッコいい奴でよかったな」
雨宮さんに私が見続けてきた夢と式神として召喚された男性について話してみたのだ。
「繋がりを感じずにはいられないんですよね。ずっと素顔が気になっていたんですよね。聞きたいこともたくさんありますよ」
「まぁ悪そうな印象は感じなかった。きっと答えてくれるさ。ん?」
雨宮さんがふと上を見ると紙片の式神が、座っている雨宮さんの膝に降りてきた。
「なになに……。さっそく太白博士様が面談したい、と……。まぁ行ってくるわ」
私は雨宮さんに手を振って歩いていくのを眺めて、丸太に座ったまま思案を巡らせた。
式神さんに何を聞くか考え始めたが聞きたいことがありすぎて考えがまとまらない。
そんな時だった。
上から「おーい」と声が聞こえてきて、声の方を見ると地球博士様が結界に乗って手を振っていた。
食堂には他にも人がいて、すごく目立って少し恥ずかしい。
「地球博士様自らおいでにならなくても、呼ばれたら向かいますので……」
「その地球博士って肩書あまりしっくりこないから信太師匠とか、もっと砕けた言い方で呼んでよ。それにワタシが呼びにこないといけない理由があるからね。まぁ、そんなことはいいから乗って乗って」
一人用の大きさだった結界はぐーんと伸びて畳くらいの大きさに拡大した。
結界でできた乗り物は私と信太師匠を乗せると宙へと浮き上がって水平に動き出した。
現在、結界術を扱う陰陽師は皆無だった。
普通に結界術を使っている信太師匠って、もしかしてすごい人なのかもしれない。
長生きしているとか、人じゃないっていう噂についても気になってきた。
結界の乗り物は三つ並んだ寮棟を眼下に見ながら通り過ぎていった。




