十一話
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「式神召喚で人間が出てくることなんてあるんだな。あんたも歴史に名を残すことになったかもしれねぇな。変人で有名な地球博士様なんか、あんたを弟子に取りたがるかもなぁ」
地球博士は人ではないとの噂を持つ変わり者で、室町の時代から生きているなどという噂すらある人物だった。序列だけで言うならば上から三番目にあたる大物中の大物だ。
「そういう雨宮さんも見事な式神操術を披露したのだから、式神操術を重んじる太白博士様から声がかかるかもしれないですよ」
「だとしたら、もうけもんだ。今の時代、あたし程度ですら重宝されるんだから陰陽師の界隈も落ちたもんだ。大竹のやつはどうせ辰星博士様が丁重に扱うだろうな」
そんな予想をしあって時間をつぶしていると、進行役兼召喚補助の職員に紙片の式神が届き、式神召喚の儀式は再開された。
全ての参加者が儀式を終えたが、式神の使役を決めたのは私と雨宮さん、大竹、そして小鬼で妥協した数人程度だった。
すると突如として空から、男性の声が聞こえてきた。
「いやぁ、今回は才能のある人が多くてよかったですねぇ。お二方」
青い半透明の結界に三人の男性が乗っていて、ゆっくりと地上に降りてきていた。
「博士の方々、本日の儀式は希望者全員終了しました」
召喚補助の職員は深々とお辞儀をした。
博士の三人はそれぞれ歩いて一人は大竹の元へ向かっていた。
「大竹は我の弟子として引き受けよう」
「ありがたき幸せ。辰星博士様の元で学べること、大変光栄に思います」
私と雨宮さんの予想通り大竹は辰星博様に選ばれた。
辰星博士様は三人の博士の中では一番年を召した老人だったが、目の鋭さは他の二人とは一線を画す印象だった。
年季の入った黒い狩衣はまた威圧感を強めている。
「俺は雨宮を弟子にもらおうか」
「太白博士様に選んでもらえるなんてねぇ……。精一杯学ばせていただきやす」
現れた三名の博士の中では太白博士様が一番若そうで爽やかな青年だった。
古めかしい陰陽師然とした狩衣を着ておらず青い大紋姿をしていた。
雨宮さんに師匠がついたことは自分のこと嬉しかったが、ふと地球博士様と目が合った。
にやりと目を細めて足元に小さな結界を作るとそれに乗ってスイーっと私のすぐ近くまで移動してきた。
「ふむふむ」と呟きながら私のことを観察していた。
地球博士様は白い狩衣姿をしていて黒縁の丸眼鏡が印象的だった。年齢は太白博士様よりは少し上かもしれないが、それでも若い分類に入るだろう。
「ワタシは坂田サンを弟子にしますかね」
「選んでもらい光栄です。よ、よろしくお願いします」
「それじゃあ、あとでいろいろ話をしようか」
そういって地球博士様は乗っていた結界が上空に上がり、去っていった。




