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いざギルドへ

リアナの家で初めての夜を過ごしたグラゴは、翌朝、小さな声と軽い揺れで目を覚ました。「おはよう!お兄さん、起きて!」という明るい声が耳に届く。声の主はリアナの妹、ルナだった。普段なら人が近づく気配ですぐ目を覚ますグラゴだったが、この日は深い眠りについていたことに自分でも驚いた。思わず「こんなに気を緩めるなんて…」と心の中で呟きながらも、急いで身支度を整えた。温かい家庭の雰囲気に包まれた朝食を終えると、リアナが真剣な表情で話しかけてきた。


「これから旅を続けるなら、冒険者として登録したほうがいいわ。町を拠点に活動するなら、ギルドの助けを借りることができるし、必要な仕事や情報も手に入るはずよ。」


グラゴは少し戸惑ったものの、リアナの提案にうなずいた。初めて訪れる町での新しい挑戦に、不安と期待が入り混じっていた。


リアナと共に町の中心にある冒険者ギルドへ向かう途中、グラゴは周囲の景色をじっくりと眺めた。石畳の道は人々の活気で溢れ、さまざまな商品が並ぶ露店が軒を連ねている。その先に見えたのは、巨大な木製の扉を持つギルドの建物だった。その威圧感に圧倒されながらも、グラゴはリアナの後に続いて中へ入った。


ギルドの内部はさらに驚くべき光景だった。賑やかなホールには人間だけでなく、エルフやドワーフ、そして獣人といった多種多様な種族が集まっていた。ゴブリンも複数いたが戦闘員としてではなく、主に荷物運びや雑用をしている姿が目立った。その姿を見てゴブリンの現状に肩を少し落とす。

「大丈夫よ、あなたならきっと認められるわ。」リアナが小声で励まし、グラゴは彼女の言葉を胸に秘めて進んだ。


受付でリアナが説明を済ませ、登録書を手渡されたグラゴは、自分の名前、種族、そして希望する役割を記入した。ペンを握る手に少し力を込めながら、「種族:ゴブリン」「希望役割:戦士」と書き込む。書き終えて提出すると、受付の職員は眉をひそめ、何度も登録書を見直した。


「戦士、ですか?ゴブリン族で?」職員の困惑した声が響く。彼の表情には疑念が浮かび、「間違いないか確認させてください。戦士で本当にいいんですか?」と念押しされた。


「間違いない。」グラゴは力強く答える。しかし職員はさらに首を傾げ、まるで彼の決意を軽んじるようだった。ゴブリン族は他のどの種族にも全ての面で劣るとされ、戦士として登録することは非常に珍しいからだ。


その時、横にいたリアナが口を開いた。「グラゴは私を盗賊から救ってくれたの。彼は本当に強いのよ。私がその証人です。」リアナの言葉は真摯で、彼女の信頼が伝わるものであった。しかし周囲にいた他の冒険者たちはそのやり取りを聞き、笑い声を上げ始めた。


「ゴブリンが戦士だって?冗談だろう。」

「戦士になる前に、武器を運ぶことから始めたほうがいいんじゃないか?」


嘲笑する冒険者たちの声がホールに響き渡る中、1人の男性が歩み寄ってきた。その男は鋭い眼光と筋肉質な体を持ち、明らかに他の冒険者たちとは一線を画していた。彼はギルドの指導官であると名乗り、厳しい口調で話し始めた。


「静かにしろ、お前たち。ここに来る者は皆、自分の道を選ぶ権利がある。そして、その力を証明する機会もな。」


彼はグラゴに向き直り、じっと彼の目を見据えた。「お前が戦士として登録したいというなら、それを証明する試験を受けてもらう。逃げる気はないな?」


グラゴは一瞬息を呑むが、すぐに力強く答えた。「逃げない。俺は戦士として、この剣で証明してみせる。」


指導官の目に微かな興味が宿り、「よし、それでこそ戦士だ。準備ができたら、裏庭の訓練場に来い。お前の実力を確かめてやる。」と告げると、立ち去った。


その光景を見ていたリアナは、「グラゴ、絶対に負けないで」と励まし、グラゴの肩をそっと叩いた。グラゴは彼女に感謝の視線を送りつつ、試験で自分の力を証明する決意を固めたのだった。

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