大戦の予兆 第3章 新天地へ レイモンドの場合 前編 米機動部隊の来日
みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れさまです。
先週は久々に友人の顔を見る事ができました。友人と一緒に小説や映画、アニメ等の話をして、自分が書いている小説の話をして、どのような展開にするか等の意見を聞く事ができました。
1944年(昭和19年)1月。
大日本帝国海軍横須賀鎮守府軍港に、大日本帝国海軍の駆逐艦に先導されて、星条旗を掲げた空母機動部隊が、入港してきた。
威風堂々・・・そういった形容が相応しい艦影。
連合国アメリカ海軍に所属する原子力航空母艦[エンタープライズ]である。
もう1つの時代では、1961年に世界初の原子力空母として就役し、2012年に退役するまで、アメリカ海軍の戦闘艦艇として、象徴的な存在であった。
退役後は、解体される予定であったが、未来から、タイムスリップをする際、近代化改修が施され、この時代にやって来た。
そして、1942年(昭和17年)に、ニューワールド連合と、連合国、枢軸国の間で講和が成立、同盟が結ばれた事により、連合国アメリカ合衆国に、売却される事になったのだった。
今回の、横須賀軍港への寄港は、アメリカ合衆国西海岸から、ハワイを経て、マリアナ諸島グアム島までの試験航海の一環であった。
グアムでの演習の後、ハワイで予定されているリムパック演習に、連合国アメリカ海軍の艦艇として、参加する予定も組まれている。
横須賀港周辺は、厳しい警備体制が敷かれている。
それは、当然であろう。
講和をし、同盟を締結したといっても、ほんの1、2年前まで戦争をしていた国家の海軍の艦艇群が入港するのだ。
戦争だから仕方無かったと言えば、それまでだが・・・家族を殺した軍がやって来る。
それを、割り切って容認しろと言われても、頭では理解出来ても、心で許容出来る大日本帝国人は、多くは無い。
「アメリカ人は、帰れ!!」
「空母の入港、反対!!」
「ゴーホーム!!ゴーホーム!!」
帝国海軍横須賀鎮守府周辺は、かなりの広域にわたって、一般人の立ち入りが規制されている。
内務省警察庁(警保局を拡大し、大規模な組織改編)国家地方警察本部警備隊、横須賀市警察部(自治体警察部)予備隊の警察官、統合省保安局警察総監部東部警察管区機動隊第2機動隊の警察官たちが、金属製の盾と透明な盾を携行した状態で、警備に就いている。
さらに陽炎団警備部特科車輛隊が応援に駆け付け、デモ隊の一部又は全部が暴徒化した際には、鎮圧出来るよう配置についている。
一般警察官として、警視庁と各国家地方警察本部から、警察官が派遣されただけでは無く、警察総監部各警察管区の警察官が派遣されていた。
その数は、5000人を数える。
「・・・何だか、カーニバルかパレード・・・そんな感じに見えるのだけれど・・・僕の感覚、間違っている?」
それらの、立ち入り規制された地域の外側で、シュプレヒコールを叫ぶ人々の姿を、走る車の中から横目で眺めつつ、連合国アメリカ海軍士官である、レイモンド・アーナック・ラッセル中佐は、つぶやいた。
彼は、米英独伊4ヵ国連合軍総司令部付作戦参謀として、ハワイ奪還戦・・・ハワイ会戦に参加していた。
戦後、ハワイ奪還が叶わなかった事で、解任、降格されるかと思っていたが、米英独伊4ヵ国連合軍の解散の後、連合国アメリカ海軍太平洋艦隊司令部付作戦参謀と少佐の階級については、そのまま留任となっていた。
講和成立後、レイモンドは1年間の休職願いを申請し、それが受理された事で、大日本帝国内の大学へ短期留学し、キャンパスライフを満喫しているのであった。
レイモンドが休職に入る直前に、中佐への昇進の辞令が下ったのだか、何故、このタイミングなのかに付いては、レイモンド自身も理由が判らなかったが・・・
「神奈川県が各役所に事前申請をし、自治体警察の誘導に従う事を条件に、デモ活動や反対集会を行うのなら、それらの行為を容認すると、発表したからでしょうね。規制を強めるだけでは、余計な反発を招いて、暴発する可能性があるかもしれないと考えれば、ある程度ガス抜きが出来る機会を与えて、人心を鎮める・・・そういったところでしょうね」
レイモンドの乗る車に同乗しているのは、菊水総隊統合防衛総監部海上総監部幕僚長である村主京子海将補である。
ハワイ会戦では、菊水総隊海上自衛隊第1護衛隊群首席幕僚として、緒戦の水上戦ではレイモンドの前に立ちはだかっていた彼女であるが、それ以前に太平洋艦隊に所属する一少尉(正確には、この時レイモンドは、中尉に昇進していたのだが・・・)として、ハワイ・オアフ島のパールハーバー海軍基地に潜入し、捕虜として拘束されたが、その時に、レイモンドの我儘に手を焼いた、大日本帝国国家憲兵隊から尋問官として派遣の要請を受けた、彼女に出会った。
その後、彼女の計らいで捕虜という身分でありながら、第1護衛隊群旗艦の、ヘリコプター搭載護衛艦[いずも]に、客人待遇で迎え入れられたという経緯がある。
「・・・アメリカ国内で頻発している、デモ活動からの暴動事件と比べれば・・・お行儀が良いというか・・・覇気が足りないというか・・・」
日本に、長期間滞在しているとはいえ、アメリカの国内情勢に付いては、在日アメリカ大使館経由で、日本の新聞やラジオニュースよりは、遥かに早く、レイモンドの耳にも届いている。
ニューワールド連合と同盟関係を結んだことにより、これまでは大日本帝国や大日本帝国の友好国だけが享受出来ていた、様々な分野の技術提供等を、連合国や枢軸国各国も受けられるようになり、急速に技術分野を中心として、様々な事が発展していく。
それは、いいのだが・・・
大日本帝国の場合は、さほどは問題にならなかった問題が、急速に拡大している。
アメリカは移民国家であり、様々な人種が存在する。
未来では問題視されている人種差別等の社会問題も、現代では当たり前と認識され、ほとんどの人が疑問にも思っていない。
そんな、現代の価値観に、急速に未来の価値観が入り込んだことで、変革に拍車がかかり、それに付いていけない人々が急増した事で、人々の心に眠る不満が爆発する事になる。
本来は民間人が、政治や社会に対する理不尽を主張し抗議する政治的手段であるデモ活動だが・・・デモを主宰する側は、あくまでも政治的主張を訴えるのが目的だったとしても、その主張に賛同する人々の不満の暴走を抑えきれずに、デモからの暴動略奪行為の発生が、オマケで付いてくるという事態を引き起こしている。
そんな、アメリカのデモと比べると、お行儀が良すぎる日本のデモは、レイモンドから見ると、人間では無く、人形がデモをしているような違和感が拭えない。
「・・・ここまで整然としていると、逆に不気味なのだけれど・・・」
「そうね・・・」
レイモンドの言葉に、村主も相槌を打つ。
レイモンドが、こんな不安定な時期に日本の大学に留学が許可された理由は、連合国アメリカ海軍上層部の思惑としては、レイモンドがハワイに滞在していた際、大日本帝国軍や菊水総隊自衛隊、ニューワールド連合軍の高級士官との幅広い交友関係を構築しているというのが、理由の1つである。
もっとも親交の深い村主もさることながら、それらの高級軍人との交流により、幅広い視野を持つ彼を留学させる事で、大日本帝国の政治経済界の次代を担うであろう若い民間人と交流する機会を持たせ、新たなる日米関係を構築する切っ掛けを、模索するというのも目的とされていた。
ただ、レイモンド個人としては、ハワイ滞在時に興味を持った、日本の歴史(特に幕末)に付いて、さらに深く学びたいと思っていたのと、村主との親交をさらに深めたいというのが主な理由であったのだが・・・そんな周囲の思惑を、知ってか知らずか・・・
レイモンドとしては、普段と変わり無いマイペースな大学生活、そして休日には、村主と一緒に、社会見学という名のデートという充実した毎日を過ごしていた。
もちろん、アメリカ人・・・しかも、現役の軍人であるレイモンドに対し、大日本帝国民である学生たちが、諸手を上げて歓迎するという事はなかった。
最初は、距離を取って関りを持たない・・・というのが大半の学生たちの反応だったが、レイモンドは、ハワイ滞在時に敵国である自衛官たちとも交友関係を築いていたという経験と、持ち前のフレンドリーな性格もあり、徐々に、お互いの理解度を深め交友関係を構築していき、現在では、蟠りなく話せる学友たちも大勢いる。
そんな日々にも、終りが見えてきた。
在日アメリカ大使館経由で、連合国アメリカ合衆国海軍省から、レイモンドに辞令が伝えられた。
『ニューワールド連合軍総司令部付連絡将校に任ず』
つまりは、ニューワールド連合の本拠地へ、向かえという事だ。
「もう少し、学生気分を楽しみたかったのだけどね・・・」
留学が取り止めになるのは残念だが、グアムに行くのは悪く無い。
グアムにある刑務所には、先ごろ仮釈放無しの終身刑の判決を受けた、親友のカズマ・キリュウが服役をしている。
キリュウとは、ずっと手紙でのやり取りを続けているが、なかなか機会に恵まれず、会いに行けなかった。
キリュウの判決内容に付いては、正直、不服に思うところはある。
もう少し、情状酌量をされても・・・と、思わないでもない。
ちなみに、キリュウを巻き込んだ、フォード島での停戦会談でのテロ事件を画策したとされている、[インディアナポリス]の法務官だが、こちらは連合国アメリカ合衆国に送還された後、軍法会議にて死刑判決が下されている。
テロの実行者と計画者、どちらがより悪いかと考えれば、自身の安全は確保しつつ、実行者に危険を強いて傍観を決め込んでいる方が、より悪く感じる。
ルーズベルト大統領の暗殺事件以降、合衆国内では過激な主戦論を主張していた、政治家や企業家を始め、各界の著名人が軒並み逮捕され、裁判にかけられ、現在も係争中である。
そこまで大事になっている以上、キリュウの判決も重いとはいえ、減刑されただけ、まだ良い方だったかもしれない。
とにかく、グアムに行ったら、まずはキリュウに面会しに行こう。
そう、決めていた。
横須賀軍港に投錨した[エンタープライズ]を基幹とする空母機動部隊は、横須賀鎮守府で、歓待を受ける事になる。
本来なら、末端の水兵に至るまで、一時休暇という形で上陸許可が出されるのだが、現在の大日本帝国内の情勢を鑑みて、上陸許可は鎮守府内の施設に限定されて、出されていた。
もちろん、鎮守府内だけでは、十分に羽を伸ばす事は出来ないだろうが、可能な限り心尽くしの接待の準備はされている。
型通りの歓迎式典やその後のパーティー・・・レイモンドも、連合国アメリカ海軍中佐として、参加した。
正直・・・こういった形式に則った、式典やパーティーは、あまり好きでは無い。
それでもまあ、辛抱が出来ない訳では無いが・・・
式典では、お行儀よく列席し、パーティーでは食べる事に専念する事で、場を誤魔化す事に務めていた。
「久し振りだな。ラッセル少佐・・・いや、もう中佐だったな」
シャンパングラス片手に、話しかけてきたのは、空母機動部隊司令官の、ウィリアム・フレデリック・ハルゼー・ジュニア大将であった。
「ハルゼー提督」
挙手の敬礼をしようとしたレイモンドを、ハルゼーは軽く手を挙げて止めた。
「ここは、親睦を深めるパーティーの場だ。堅苦しい事は抜きにしよう」
そう言いながらもハルゼーは、つまらなそうな表情を、浮かべている。
「どうされました、提督。顔色がすぐれませんが・・・料理が、口に合いませんか?」
「いや、料理も酒も美味い。だが・・・どうも、こういった親睦パーティーとは名ばかりの、腹の探り合いの場ではな・・・せっかくの料理も、腹の中で消化不良を起こしそうだ・・・」
口をへの字に曲げて、ハルゼーは、ぼやいている。
まあ、ハルゼーの気持ちも判らなくは無い。
猛将、猛牛と言われるように、ハルゼーは直情型の人間性である。
快、不快の感情を素直に露わにするハルゼーからすれば、そういった感情を表さない事が、美徳という日本人の考え方を、理解し難いのだろう。
「まあ・・・そう・・・ですね・・・」
その、どちらの考え方も理解出来るだけに、どちらの肩も持つ事が出来ないレイモンドは、引き攣った笑みを浮かべて、誤魔化す事しか出来なかった。
親睦パーティーの翌日。
ハルゼーから[エンタープライズ]に、個人的に招待されたレイモンドは、同じく個人的に招待を受けた村主と共に、軍港内に接岸している[エンタープライズ]の、飛行甲板に足を着けた。
「はぁ~・・・これが、原子力空母か~・・・」
と、感想を述べたものの・・・ニューワールド連合アメリカ海軍の、ニミッツ級の空母にも乗艦した経験ある身としては、あまり感動を感じないのが残念ではある。
「さすがに、[ビッグE]ね」
レイモンドと共に乗艦した村主は、嬉しそうに短く感想を述べる。
「キョウコは、見慣れているのでは?」
村主の口調に、感動の成分が含まれている事に、レイモンドは気が付いた。
「ニミッツ級や、その発展型と言える、ロナルド・レーガン級の空母には乗艦した経験はあるけれど、[エンタープライズ]に乗艦するのは、初めてなの。だから、少しワクワクしているわ」
「そうなんだ」
小声で囁き合った後、村主は姿勢を正す。
あくまでも、個人的な訪問のはずなのだが・・・
整列した儀仗兵による、銃礼を受け、村主とレイモンドは、揃って答礼をする。
ハルゼーの副官に案内され、司令官室に通された。
「よく来たね」
昨夜とは打って変わり、上機嫌のハルゼーの姿があった。
「ふむ・・・」
コーヒーを飲みながら、ハルゼーは村主を、しげしげと眺める。
「・・・ハルゼー閣下、何か?」
「スグリ少将。貴官に付いての話は、ラッセル中佐から聞いていたのだが・・・未来では、女性でも将官にまで上り詰める事が出来るのだな。先の大戦でも、何人もの将校が、ニューワールド連合軍の女性将校を目にしているが、俺も実際に目にするまでは、なかなか信じる事が出来なかった。命を失う危険を承知の上で、男と同じ戦場に立つというのは、俺としては、じゃじゃ馬とか男勝りとか、お転婆とかと言う表現では、理解出来ない所があるのだが・・・?」
村主としては、タイムスリップをして、この時代に来て以来、ずっと言われていたことであり、今更感が強い。
思った事を直言する傾向があるハルゼーからすれば、かなり控えめな表現ではあるだろうが、女性が軍人という職業を選ぶというのは、信じられなく、受け入れがたいという事なのだろう。
村主の元の時代の一部の女性が、この言葉を聞けば「女を男よりも劣ると考えている!差別だ!!言葉を撤回して、謝罪しろ!!」等と、大声で主張するかもしれないが・・・
「そうですね。本来なら軍人という職業は、男性だけのものでした。私たちの時代でも、そう考える人々もいます。その考え方は間違っているとは、私は思っていません。男性が、そういった言葉で、女性を排除しようとするのも、危険から守るべき者を遠ざけようとする、優しさの表れと考えることも出来ますから。ですが、軍人の本分は自分の祖国と、そこに住む人々・・・延いては、自分の家族を守るというもの。自分にとって、大切な存在を守りたいと思う気持ちは、女性にもありますわ。それは、ご理解いただけると思います。おそらく、ずっと昔から女性の中でも、そんな気持ちを抱いていた人々は、いたと思います。私たちの時代より前から、そういった活動を続けていた女性たちもいます。もちろん、色々な職業の中から、自分に合った職業を選んだ結果が、私にとって、軍人という職業だったというだけです。新世界連合軍に所属する女性軍人たちも、そうだと思っています」
「ふむぅ~・・・」
ハルゼーは、一瞬、唸ってから、レイモンドに振り返りニヤリと笑う。
「なる程。貴官が気に入る訳だ」
「はあ・・・」
思わず、何が?と、聞き返したくなったが、ハルゼーは上機嫌で、コーヒーを飲み干しているので、聞きそびれてしまった。
それよりも・・・
「ところで、閣下。原子力空母[エンタープライズ]ですが、艦名は、変更なさらなかったのですね?」
少しだけ、気になる事を聞いてみる。
「?・・・別に、無理に変更する必要も、なかろう?」
「ま・・・まあ、そうなのですが・・・」
「何だ、何か気になる事でも?」
「はい・・・」
先の大戦。
1941年(昭和16年)12月7日(日本では、8日)。
ハワイ・パールハーバーへの大日本帝国軍の奇襲攻撃に先立ち、太平洋艦隊に所属する空母[エンタープライズ]と、[レキシントン]は、菊水総隊の潜水艦による攻撃で撃沈された。
その翌年、1942年(昭和17年)8月。
米英独伊4ヵ国連合軍によるハワイ奪還戦において、連合国アメリカ海軍の空母機動部隊旗艦として配属された最新鋭空母[エンタープライズ]も、大日本帝国海軍の空母機動部隊の猛攻により撃沈された。
日本の諺に、「二度ある事は三度ある」というのがある。
それを踏まえて、その二度同じ運命を辿った艦名の空母と、同じ艦名の空母に、ハルゼーが乗艦するのは、些か縁起が悪い気がするのだが・・・
「そんな、迷信など信じん!!!」
予想通り、レイモンドからの話を聞いたハルゼーが、顔を真っ赤にして怒鳴った。
それも、そうだろう。
そんな、縁起の悪い話は、誰も聞きたくないものだ。
久々に、迫力のある怒鳴り声を聞きながら、レイモンドは思った。
「・・・そうですね・・・」
ハルゼーの怒鳴り声を聞いても、涼しい顔をしている村主が、何かを思い出したように口を開いた。
「・・・人から聞いた話ですので、どこまで信憑性があるのかは、断言は出来ませんが・・・私の友人に、一月で二度、交通事故に遭った人がいまして・・・どちらも、車で信号待ちをしていた所を、後ろから追突されるという事故なのですが、三度目は御免被りたいという事で、自分の車の後ろで陶器を割って、厄払いをしたそうです。そのおかげか、それ以後は、ずっと事故に遭わないとか・・・日本の一部の地域では、悪い事が起こると、それを繰り返されないように、陶器を割ると良いと、言われているとか・・・」
ガチャーン!!!
村主の言葉が終わらない間に、陶器の割れる音が響いた。
ハルゼーのコーヒーカップは、粉々になって、床に破片が飛び散っている。
「あぁぁぁぁぁ~!!閣下!!それは、ヨーロッパの有名なぁぁぁぁ~!!!」
同席していた、ハルゼーの副官が、悲鳴混じりの絶叫を上げる。
「あらあらあら・・・」
ハルゼーの突然の行動に、ある意味では煽るような事を言ってしまった村主が、目を丸くして驚いている。
「うるさい!!部下の命と[エンタープライズ]に比べれば、こんな陶器など安いものだ!!!」
(・・・実は、もの凄く気にしていた・・・とか?)
副官を怒鳴るハルゼーの声を聞きながら、レイモンドはそう思った。
後に、『不死身の猛将』という二つ名で呼ばれる事になる、ハルゼーの猛将らしいとも言える、行動・・・なのか?
大戦の予兆 第3章をお読みいただきありがとうございます。
誤字脱字があったと思いますが、ご了承ください。
次回の投稿は2月20日を予定しています。