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大戦の予兆 序章 3 暇人たちの思惑

 みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れさまです。

 新ソビエト連邦首都モスクワ。


 その政府庁舎内の総帥執務室で、世界管理者の1人であるサミュエルこと、リュツィーフェールは、自分の執務机の前で、紅茶を飲んでいた。


 一応ではあるが、彼の建前上の肩書は、総帥個人秘書官である。


 彼の正体に付いて、知っているのはサヴァイヴァーニィ同盟の高級官僚、高級軍人でも極少数である。


 この執務室の主であるサヴァイヴァーニィ同盟統合同盟総帥兼サヴァイヴァーニィ同盟軍最高司令官である、ロマン・ニコラス・ゲルギエフは、現在、公務で外出しており、執務室にいるのは、リュツィーフェール1人である。


「サミュちゃん、お久し振り!もう何十年振りかしら」


 明るい声で挨拶をして、金髪のグラマラスな美女が部屋に出現する。


「やあ。相変わらずの、突然の訪問だね」


 突然現れた美女に、さして驚いた表情も見せず、リュツィーフェールも微笑を浮かべて、挨拶をする。


「あらあら、ずっと私からの連絡を無視していたのに、随分な言い方ね」


 美女・・・彼と同じ世界管理者であるマリエルは、特に気にする事無く、本来の部屋の主が不在であるにも関わらず、堂々とした態度で応接セットのソファーに腰を下ろした。


「紅茶を飲むかい?」


「ええ、いただくわ」


 苦笑を浮かべながら、リュツィーフェールは、ティーポットからティーカップに紅茶を注ぐと、マリエルの前に置いた。


「ありがとう」


 紅茶を一口飲み、自分の前にリュツィーフェールが座るのを待って、マリエルは口を開いた。


「今まで無視をしていたのに、今回、私を招待してくれるなんて、一体どういう風の吹き回しかしら?」


「少々、困った事態が発生してね・・・」


「困った事態?」


 首を傾げて、マリエルが問う。


 リュツィーフェールが、パチンと指を鳴らすと、手足を縛られた若い男たちが、何もない空間から現れた。


「あら、このコたち・・・?」


「君も知っているだろう?勝手な事を、しでかしてくれた連中だよ。管理世界では、随分と騒ぎになっているようだね。自分たちのやらかした事に怖くなって、僕の所に逃げて来たそうだけれど、僕には関係無いからね。君に引き渡そうと思っただけだよ。引き取ってくれるかい?」


 背中の半ばまである、金色の髪を指で梳きながら、リュツィーフェールは、冷たく告げる。


「本当に迷惑な話だよ。せっかく、戦争が終わり2つの勢力が、新しい歴史を創り出そうとしている時に・・・余計な勢力を、送り込んで来るなんてね」


「あらあら・・・」


 怯えた表情で自分たちを見ている若者たちに、マリエルは子供の悪戯を窘める母親の表情を浮かべる。


「まあ・・・結論から言えば、この世界の観察実験は、このまま続行するそうよ。このコたちの送り込んだ勢力だけれど、元の時代へ戻す事は出来ないけれど、もっと過去の時代へ飛ばすか、遥か未来へ飛ばす事は難しくは無い事だわ。でも・・・それをすると、その反動で、この時代が世界規模の天災に見舞われる可能性があるから・・・それよりも、この危機を彼らがどのように乗り越えるか・・・その、新しい実験をしようという事になったわ」


「ふ~ん、そう・・・それなら、それでもいいよ」


 特に興味を示さず、否定も肯定もしない・・・素っ気ない口調だった。


「サミュちゃんも、そろそろ戻って来ない?ダニちゃんたちも、色々と大変だと思うから、協力してあげて欲しいの」


「いや、それは出来ないね」


「どうして?」


「僕は、ロマンに恩義があるからさ。ロマンは幼い少年だった時に、僕の命を救ってくれた・・・取り敢えず、彼の命が尽きるその時まで、彼の側にいるつもりだからね。彼の側で、彼の夢や理想が実現するかを、見定めたいのさ」


「そう・・・なら、仕方ないわね。でも、これからは私の呼びかけを無視したりしないでね」


 リュツィーフェールの意志が固い事を認めて、マリエルは説得を諦めた。


「僕の、観察記録に付いては、後で纏めて送っておくよ。もう暫くでいいから、僕の好きにやらせてもらってもいいかな?」


「わかったわ。また、遊びに来るから。じゃあね」


「・・・またね」


 マリエルは立ち上がると、若者たちと共に、唐突に現れたように、唐突に姿を消した。


「やれやれ・・・忙しい人だ・・・」


 再び、1人になったリュツィーフェールは、冷めた紅茶を飲み干した。

 大戦の予兆 序章3をお読みいただきありがとうございます。

 誤字脱字があったと思いますが、ご了承ください。

 次回の投稿は1月23日を予定しています。

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