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前日譚 不法侵入者の日常 1 アラスカにて

 みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れ様です。

 アメリカ統合軍ノース合同軍在アラスカ・アメリカ軍アメリカ空軍施設エルメンドルフ空軍基地。





 未来のアメリカ合衆国統合軍の1つである、ノース合同軍傘下の在アラスカ・アメリカ軍アメリカ空軍施設であるエルメンドルフ空軍基地は、連合国アメリカ合衆国と新世界(ニューワールド)連合傘下のアメリカ合衆国との間で締結された、アメリカ合衆国安全保障条約下で認められたニューワールド連合傘下アメリカ合衆国の統合軍を駐留させている。


 ノース合同軍は、第2次世界大戦当時では、連合国アメリカ合衆国を攻略のための統合軍であったが、第2次世界大戦が終結した後は、連合国アメリカ合衆国を防衛及び連合国アメリカ合衆国を拠点に、攻勢に出るための戦略的拠点を確保するために配備されている。


 ノース合同軍傘下の在アラスカ・アメリカ軍は、元の時代のアメリカ北方軍アラスカ軍を基幹として編成された副統合軍である。


 主な任務として、連合国アメリカ合衆国アラスカ州の防衛とサヴァイヴァーニィ同盟が拠点を置く新ソ連に対する西進拠点でもある。


 防衛が主任務であるが、新ソ連の領内への制空権確保のため、というのが正しいだろう。


 在アラスカ・アメリカ軍アメリカ空軍第11空軍は、傘下に第3航空団と第354戦闘航空団が所属しており、第3航空団第90戦闘飛行隊と第525戦闘飛行隊には、F-22A[ラプター]が配備されており、さらにF-15C[イーグル]飛行隊が2個配備されている。


 第354戦闘航空団にはF-16C[ファインティング・ファルコン]飛行隊を2個とF-35A[ライトンニングⅡ]飛行隊が2個配備されている。


 さらに、在アラスカ・アメリカ軍アメリカ陸軍は、第11空挺師団を基幹として、もしも戦時下になれば第11空軍が新ソ連の東部全域の制空権を確保し、第3航空団傘下の輸送機に分乗した第11空挺師団が新ソ連領内の東部を制圧する事になっている。


 攻勢の場合は、このような手筈になっているが、守勢の場合は、サヴァイヴァーニィ同盟軍同盟航空宇宙軍がアラスカ方面の制空権を確保しようとした場合、ただちに第3航空団及び354戦闘航空団の戦闘飛行隊と早期警戒管制飛行隊、空中給油飛行隊が全力出撃し、敵の制空権確保を阻止する事になっている。


 第11空挺師団は輸送飛行隊に分乗し、新ソ連軍及びサヴァイヴァーニィ同盟軍同盟陸軍、同盟海軍歩兵部隊、同盟空挺軍が制圧した地域を奪還する。


 連合国アメリカ合衆国アラスカ軍も存在しているため、彼らと共にアラスカ防衛を行う事になる。


 連合国アメリカ合衆国は、国内に3つの統合軍を組織している。


 1つはアラスカ軍、もう2つはアメリカ本土西部軍とアメリカ本土東部軍である。


 2つの本土軍からも、増援部隊が派遣されるだろう。


 ノース合同軍は、アメリカ合衆国陸海空軍、海兵隊、沿岸警備隊だけでは無く、カナダ軍も所属しており、そこからも増援部隊が派遣される上に、ニューワールド連合軍アメリカ北方軍からも増援部隊が派遣される。


 サヴァイヴァーニィ同盟軍及び新ソ連軍からの攻勢に対しては、万全の対策を施されている。


 在アラスカ・アメリカ海軍には主要部隊は存在しないが、在アラスカ・アメリカ沿岸警備隊が兼任している。


 必要となればインドパシフィック合同軍在アメリカ西海岸軍アメリカ海軍第3艦隊が、応援部隊として投入され、制海戦を行う。





 ノース合同軍在アラスカ・アメリカ軍司令官兼第11空軍司令官のジャイルズ・ガイ・クック中将は、エルメンドルフ空軍基地司令部庁舎の司令官室で、書類整理を行っていた。


「・・・・・・?」


 司令官室のカーテンが、揺れた。


「まったく・・・ここは、在日アメリカ軍施設ではありませんよ・・・」


 クックが苦笑を浮かべながら、言葉をかける。


「いやぁ~、在日米軍施設や在韓米軍施設だけでは、物足りなくなって~」


 惚けたような口調で、部屋に侵入した不法侵入者は、言葉を続ける。


「息子に頼まれちゃって~・・・最前線の軍事施設の状況は、どうなっているのか、確認してくれって」


「ほぅ~・・・では、抗議文はミスター・ホンジョウでは無く、ご子息に送ったらいいでしょうか・・・?」


「それは、ダメ~ェ!!隼也に怒られる~ここだけの話にして~お願い~」


 不法侵入した人物が、手を合わせる。


「駄目です。在日アメリカ軍司令官や在韓アメリカ軍司令官等々の方々ならともかく、ここは在アラスカ・アメリカ軍・・・上位機関はノース合同軍です。ノース合同軍司令官は、インドパシフィック合同軍司令官程、やさしくはありません」


「ケチ~!」


「ケチではありません。これが本来の対応です。第一、ここには核ミサイル発射基地も存在します。貴女の事ですから、すでに侵入したのでしょう?」


「まだ、してないよ~」


「まだ?・・・では、侵入するつもりなのですね・・・」


「それは秘密・・・」


「秘密ですか?」


「当たり前じゃん!ただ単に、米軍施設を見学する永遠の美少女をいじめる人に、情報等、教えません~」


「美少女・・・??誰が?」


「もっちろん、私の事!」


 不法侵入者は、自分の顔を指差す。


 見た目は、まぁ・・・そうとも言えなくはないが・・・

 

 どちらかというと、美少年では?


 と、言いたくなるが、どちらも違うオバサンである。


 そんな歳では無いでしょう・・・とクックは、内心で真面目に、ため息をつく。


「はぁ~・・・」


 ため息を吐く事で、気持ちを切り替える。


「わかりました。在アラスカ・アメリカ軍施設への不法侵入を、許可しましょう・・・ノース合同軍司令官には、私から言っておきます」


「助かる~」


 不法侵入者は、ぱぁと明るくなった。


「ですが、核ミサイル発射基地に関しては、不法侵入するのでしたら、事前に基地司令官と私に、一言お願いします」


「ええ~!!?」


「ミスター・ホンジョウと、ご子息に抗議しますよ」


「わぁ~拳骨と雷の嵐だ・・・横暴だ!卑劣だ!卑怯者!!」


「なんとでも言ってください。核ミサイル発射基地は、対サヴァイヴァーニィ同盟軍政策として、重要な抑止なのです。そこを不法侵入されると、極めて大問題なのです。そこを、ご理解下さい」


「う~ん・・・」


「それ以外の施設でしたら、いつでも不法侵入してもいいですから」


「う~ん・・・わかった~核ミサイル発射基地だけは、不法侵入しない」


「ご理解いただいて、幸いです」


「楽しみが減ったな~・・・」


「・・・・・・」


 クックが、言葉を失う。


「それで、このような辺境な軍事施設にお越しになったのは、何か、魂胆があっての事でしょう?」


「魂胆だなんて・・・」


「まあ、温かい飲み物でも用意しましょう。コーヒーか紅茶、どちらがいいですか?」


「寒いから、紅茶がいい」


「了解しました」


 クックが内線電話で、スタッフに連絡した。


「コーヒーと紅茶を1つずつ、それと茶菓子の用意を」





 ノックの音とともに、スタッフが入室して来た。


「うわぉ!さすがは、アメリカ!」


 スタッフが用意した紅茶とチーズケーキが、不法侵入者の前に置かれた。


 クックの前にも、チョコレートケーキとコーヒーが置かれた。


 不法侵入者は、紅茶の中に少量の砂糖を淹れた。


 上品な手付きで、スプーンで紅茶をくるくる混ぜると、これまた上品な所作でカップとソーサーを持ち上げ紅茶に口をつける。


「う~ん、いい茶葉を使っている・・・」


「その茶葉は、わざわざイギリスから直接、輸入したものです。英国王室や英国王侯貴族が楽しまれている最高級品の茶葉だそうです」


「さっすが、ノース合同軍傘下のアメリカ統合軍!予算も他の合同軍アメリカ統合軍とは、大幅に違う」


「アメリカ・・・ですからね・・・」


「駐留軍にかかる思いやり予算は、アメリカ合衆国の方が大幅に違うと訳ね」


 世界各地に展開しているアメリカ統合軍である合同軍は、その地域から安全保障費として駐留費を徴収している。


 インドパシフィック合同軍は、大日本帝国、大韓共和国(南朝鮮)、朝鮮社会主義共和国(北朝鮮)、台湾共和国、フィリピン共和国、他シナイ半島、東南アジア各国から安全保障費を徴収している。


 他の合同軍も、同じである。


 ヨーロッパ・アフリカに駐留する合同軍は、ヨーロッパとアフリカ各国から・・・中東は、中東諸国から・・・南アメリカは南アメリカ各国から・・・オセアニアは、オセアニア各国から、それぞれ安全保障費として駐留費、施設費等を徴収している。


 連合国アメリカ合衆国及びカナダに駐留するノース合同軍は、アメリカ及びカナダから安全保障費を徴収しているのだ。


 アメリカとカナダは、それなりの独立国であるだけでは無く、第2次世界大戦の影響で大量の武器、兵器を開発、生産しているため、それらを国外に売却している。


 そのため他の地方とは違い、安定的な予算を確保する事が出来るのだ。


 さらにアメリカ国内は、第2次世界大戦の敗戦後、戦争に対して反戦活動が本格化しているため、軍事費にかかる予算が戦時下とは比べ物にならない程、削減されている。


「ですが・・・アメリカ合衆国が、国土の防衛のみに軍備を整えるというのは、ノース合同軍上位機関である新世界(ニューワールド)連合軍にとっては、予想通りではないのですか・・・?」


「いや、完全にはいかない」


 クックが、チョコレートケーキを食べながらつぶやく。


「アメリカは、私たちとの戦争に負けたとは考えていない。あくまでも戦争の時期と運が悪かったと考えている」


「・・・へぇ~」


「アメリカは、再び我々との戦争に備えて、秘密予算を構築し、武器、兵器の研究、開発を行っている。ダミー会社として、海外に軍需産業の会社を設立させて、世界と歩調を合わせている」


「厄介ですね・・・」


「そうなる前に、我々は新たなステップを踏む」


「サヴァイヴァーニィ同盟軍との、全面戦争ですか・・・?」


「そうだ。国家、組織、集団、団体、勢力が一致団結し、繁栄するには、1つの存在が不可欠だ」


「敵ですね」


「そうだ。新世界(ニューワールド)連合軍から、サヴァイヴァーニィ同盟軍へと敵対意識を向けさせ、消耗してもらう・・・だが・・・」


「サヴァイヴァーニィ同盟は、我々との共存関係を築こうとしている。ですか・・・?」


「・・・そうだ」





 不法侵入者とクックが雑談していると、不法侵入者の持つスマホが鳴った。


「げっ!?」


 着信者の名前を見て、不法侵入者の血の気が引く。


「ここで、電話に出て下さっても結構ですよ」


 人前で、電話に出るのは失礼であり、当然、不法侵入者も一旦、クックの前を辞そうとしたが、それをクックは止めた。


 これを奇禍として、基地内を勝手にうろつかれる方が、問題である。


「・・・はい、もしもし」


 恐る恐る電話に出ると、怒鳴り声が響いた。


『お前は、今!どこにいるんだ!?』


「どこって・・・お仕事中・・・海の上・・・」


『嘘をつくな!お前がいるのは、アラスカだろう!』



「ど、どうして・・・知っているんですか?」


『お前のスマホにつけた。追跡装置で場所は把握済みだ!』


「何てこと!!そんなの犯罪です!ストーカーです!」


『お前の養父に相談したら、快く承諾してくれたぞ。愛娘の場所が、24時間365日、把握出来ると喜んでいたぞ』


「何、それ!?養女の人権を無視するなんて、それでもお義父様!?お兄様も警察官として抵抗ないの!?」


『抵抗どころか・・・お前は、あちらこちらで問題を起こしている!お前のやった、インドパシフィック合同軍の軍事施設に対するドッキリ視察で、どれだけの米軍関係者に迷惑をかけたと思っている!?』


「えっ!?米軍関係者は、喜んでいたよ~?」


『そんな訳あるか!米軍としてのプライドを守るために、大人の対応をしただけだ!』


「・・・メソメソ」


『ウソ泣きするな!!』


「ぐぅ~」


『それで・・・だ。仕事の合間に寄り道が出来る余裕があるのなら、欧州に向かってくれ』


「え!?私、暇じゃないよ~」


『アラスカに、来ているのにか?』


「・・・・・・・」


『欧州のドイツ第3帝国に駐留する、ドイツ連邦軍司令部に顔を出してくれ』


「そこで何をするの・・・?」


 何となく嫌な予感を覚えながら、不法侵入者は聞いた。


『何、ただの意識確認だ。ドイツ連邦のドイツ人たちは、ナチス党とヒトラーを悪だと教えられて育った。なのに、ドイツ第3帝国とナチス党を守るために駐留している。どのような心境なのか、お前に判断してもらいたい』


「ドイツ第3帝国には、自衛隊から防衛駐在官や防衛駐在官補が派遣されて、駐在しているでしょう・・・それに、アメリカ欧州軍が駐屯しているし、彼らから意見を聞いたらいいのではないの?」


『もちろん、聞いた。だが、我々からも息のかかった人材が行くのが適任だと判断された』


「・・・・・・」


『もちろん。ただ・・・だとは言わない。欧州軍施設及びNATO軍施設への不法侵入を、超法規的に認めよう・・・』


「そんなの、つまらない~!ドッキリの醍醐味は、当事者が知らないってトコだよ。筋書のあるドッキリは、テレビのバラエティー番組で、お腹いっぱいだよ!」


『贅沢を言うな!ここまでの許可をとるために、結構苦労したんだ!』


「むぅ~・・・」


『そういう訳だから、頼む』


「・・・・・・」


 しばらく考えてから、不法侵入は返答した。


「わかった。じゃあ、詳しい内容は、プライベートジェットの機内で」


『わかった。データを送る』


 そこで、通話は切れた。


「不法侵入のツケが、回ってきましたね」


 クックが、コーヒーの香りを楽しみながら、つぶやく。


「他人事のように・・・」


「実際、他人事です」


 クックは、コーヒーカップを置いた。


「それはそうと・・・ここからは、真面目な話なのですが、ヨーロッパ・ナチス・ドイツに駐留するドイツ連邦軍の心境については私も気になります・・・それに、アメリカ欧州軍の将兵たちの心境も・・・」


 クックは目を閉じた。


「我々は、子供のころから、ナチス党とヒトラーは、悪だと教えられてきました。それが味方というのは・・・」


「納得出来ない・・・と?」


「まぁ、そうです」


「まあ、私も興味はあるかな」


 チーズケーキを食べ終えた、不法侵入者は「よっこらしょ」と、立ち上がった。


「ご馳走様でした。とても美味しかったです。お礼に、閣下の疑問への答をお土産に、また遊びにきますね」


 それは、また不法侵入をするよ・・・という、宣言でもある。


 その言葉が終わらないうちに、不法侵入者は一瞬で姿を消した。


「やれやれ・・・困った方だ」


 彼女が、次にやってくる時のために、基地の警備態勢の見直しが必要だろう。

 前日譚 1をお読みいただきありがとうございます。

 誤字脱字があったと思いますが、ご了承ください。

 次回の投稿は12月13日を予定しています。

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連合国アメリカ合衆国は、未来人を出し抜く努力を怠らない。 ドイツ連邦軍は、まだ感情が割り切れないのか?  この世界のヒトラーとナチス党は、史実以上に過激では無いし、ホロコーストなどの犯罪を犯してない…
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