表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/25

大戦の予兆 第7.5章 石垣チーム 特殊作戦遊撃隊

 みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れさまです。

「・・・・・・」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


 石垣、メリッサ、任、そして側瀬は、[こうよう]の飛行甲板に装備を整えて整列する部隊?を目の当たりにして、唖然とした表情を浮かべていた。


「・・・あの・・・マジですか?」


「マジです」


 石垣は、たっぷり時間をかけた後、ようやく口を開いた。


 そして、それに簡潔に答える桐生。


「はい、皆。石垣君たちに、挨拶してね」


 まるで、幼稚園児に声をかける保育士のような口調で、桐生は隊員に声をかける。


「ニャー」


「ワン」


「ピッ」


「フシュゥ」


 全員が全員、専用のヘルメット、防弾チョッキ、それぞれの個体専用の安全靴を装備しているが・・・


「あの~・・・犬なら、探知犬がいますから、ある程度には理解出来ますが・・・猫?それに、羆に・・・ま・・・まあ、ここまでは許容するとして・・・爬虫類って、有りなんですか?もう、俺の理解力が迷走どころか、暴走の域に達しているんですけれど・・・」


 自分で言っている言葉であるが、最後の方の日本語が、かなり怪しくなっている。


 そのくらい、混乱している。


「えぇ~!石垣君。差別は、良く無いよ。哺乳類なら良くて、爬虫類は駄目なんて!」


「フシュッ!」


 バシッ!


 差別されたと感じたのか、爬虫類オオトカゲ科コモドオオトカゲと日本で言われる、コモドドラゴンは、怒った!という感じで、甲板に尾を叩き付けた。


「あ、怒っちゃった」


「・・・ごめんなさい。失言でした」


 爬虫類独特の、感情の籠らない目で睨みつけられて、条件反射で石垣は謝った。


 少し離れた場所から、[こうよう]の甲板要員が、おっかなびっくりという体で、こちらを遠巻きに眺めている。





 石垣チームの演習の前に、桐生から紹介されたのが、『特殊作戦遊撃隊アニマルレンジャー』という如何にも怪しげな・・・ネーミングの、アニマルチームであった。


 チームリーダー兼偵察及び索敵担当の、茶トラ猫の(テツ)


 偵察および索敵兼奇襲担当のボーダーコリーの伝助。


 攻撃の要である、羆のゴンザレス(通称、ゴン太。もしくはゴンちゃん)と、コモドドラゴンの為五郎(ためごろう)


 という、フォーマンセル(4頭編成チーム)である。


 今回、これに追加されたメンバーもいる。


 石垣チームに、遅れて合流してきた統合省防衛局特別勤務者である片倉美鈴の相棒たちである、猟犬たちである。


 柴犬の吹雪(ふぶき)、甲斐犬の白雪(しらゆき)初雪(はつゆき)である。


 これらの猟犬たちも、伝助と同じく、偵察および索敵と奇襲を担当する。


 そういった事を、桐生から説明を受けたものの・・・石垣としては、どこをどう突っ込めばいいのか、判らなくなっていた。


 そもそも、彼らの得た情報を、自分たちが判断出来るはずが無いのである。


「皆の装備しているヘルメットや防弾チョッキには、位置情報を特定する発信機や超小型カメラや、集音マイクも仕込まれているから。それから、情報を収得して判断すれば良いから」


「いや、それ以前に、こちらの指示を彼らにどうやって、伝えるんですか?俺は、猫語も犬語も出来ませんよ!」


「それは、心配ないっしょ。アイちゃんが、いるし」


「私っ?」


 いきなり名指しを受けた小松が、頓狂な声を上げる。


「そりゃあ、犬笛で指示は出せますけど、このメンバーなら伝助だけですよ。まさか、伝助から他の皆に伝えてもらうなんて、まどろっこしい事をすると?それに、広域にわたっての作戦行動になれば、犬笛の音が聞こえなくなるじゃ無いですか!」


「うん。だからね・・・」


 そう言って、桐生はポケットから犬笛を取り出した。


「はい、これ。試作品だけど、今回の演習で実証試験を行うから。皆のヘルメットには、通信機も内蔵されているから、それに、直接指示が届くからね。使い方は、いつも通りで、OKだからね」


「・・・・・・」


 手渡された、犬笛を疑わしそうな目で見詰めている小松は、おもむろに犬笛を咥えて吹いてみた。


 人間の聴覚では捉えられない、高周波の音が響く。


 アニマルたちは、一斉に、お座りをする。


「・・・なる程ね」


 納得したように、つぶやいて小松は、石垣を見る。


「・・・石垣君。何で、一緒になって、お座りしているの?」


「いきなり、吹くな!!」


 耳を押えて、しゃがみこんでいる石垣が、怒鳴る。


 そう・・・以前、小松と共同での作戦行動の時に判った事なのだが、石垣は、何故か犬笛の音が聞こえるらしいのだ。


 すぐ側で、思い切り吹かれたため、耳を押えて蹲ったという訳である。


 一時期、石垣の前世は犬であるという疑惑?が、持ち上がった事があるのだが、今回、またそれが再燃するかもしれない。


「ふむ。石垣君は、犬笛で操れると・・・」


 桐生が、面白そうな表情で、つぶやいている。


「やめて下さい!」


 桐生の表情から、何か良からぬ事を考えているのが読み取れる。


「まあ、それは置いといて、ちょっと試してみる・・・そんな、気持ちでいれば良いから。今後、彼らの活動が石垣君の任務のサポートになる事も、あるだろうしね。今回、特別にアニマルレンジャーの参加を許可してもらったんだ」


 そんな事があるのだろうか?という疑問は大なのだが・・・


 桐生の、ゴリ押しでアニマルレンジャーの参加が、強制的に決まった。

 大戦の予兆 第7.5章をお読みいただきありがとうございます。

 誤字脱字があったと思いますが、ご了承ください。


 次回の投稿なのですが、前書きにも書いたように個人的な事情ではありますが、どうしても用事が重なってしまい、時間が取れないため、来週の投稿は、お休みを頂きたいと思います。


 次話の投稿は3月27日を予定しています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 相変わらず、氷室さんの不真面目さと石垣君の弄り良さ。 [気になる点] 価値観とは世代を経てから、良い方向へ変わるべきであって急激な価値観の変更は、上層部はともかく民衆には受け入れられないで…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ