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中学生になった俺は、梓も慧一も通った私立の中学校に通った。
いわゆるお金持ちのエリート校と言われていたが、俺はいきなり疎外感を突きつけられた。
俺は梓の趣味で髪を長くさせられていたが、俺なりに気に入っていた。
指導教員が即刻そのことを指摘。
短く切るように指導されたが、無視。
自身の承知無く髪を切らせることは、人格権を侵害するものであり、妥当な学校法ではない。また、ナンセンス以外の何物でもなく、自然に伸びるものを常に一定の長さに保つ意味などあるのか、教育にどのような影響があるのか、それに対して罰を施そうなど笑止千万!などと、大言壮語も甚だしかった。
それで先生の首でも取ったかのように息巻いているんだから、まったく始末に負えないガキだ。
万事その調子で周囲を黙らせるものだから、ふた月もすると俺の周りには誰も近寄ってこなくなった。
やばいと思った時には時すでに遅く、俺は完璧に孤立した存在になった。
やっかいな奴だと思われるのはいいとして、先輩方からもイチイチお呼びがかかる。そうなると本気で喧嘩を始めなきゃならない。
さすがに私立有名校の生徒さん達は暴力事にそう熱くならない所為か、派手な騒ぎにはならなかったが。
一見するとひ弱に見えるが、俺は慧一の命令で合気道と剣道をしこたま習っていたから、負けることはなかった。
慧一は俺が普通に生活が出来るようになるのを見計らい、自分のマンションへ帰っていく。
納得はしなかったが、止める術は無い。
慧一には慧一のやりたいことがあるのだから。
俺は一日の大部分をひとりで過ごす羽目になった。
学校に行き辛くなることはなかったが、なにより退屈で仕方が無い。
授業中は眠ってばかりで、部活も参加せず、誰もいない家に帰ってもつまらない。
当然夜遊びが多くなる。
夜の街に出向いた。
いわゆるハッテンバまではいかないが、そういう連中が集まる界隈があることは調べ上げていた。
手持ちの札はすべて使いこなしてからの勝負だろ、こんなのは。
好奇心しかなかった。
どうせやるなら好みの相手を選ぼう。
俺はサラリーマン風の少し慧一に似た男に声をかけ、そのままホテルに行った。
すぐに初心者とバレて、少々難色を示されるが、愛想良くお願いして相手をしてもらった。
初めての相手にしちゃいい人で、俺のことも加減してもらったが、なにしろ未知の領域を経験するのだから、驚くのと痛いので、ワケが判らずに終わった気がした。
男とやるのはこういうものか…と、一応は悟った。
次の日は女とやった。
梓に似た子を探して誘った。
18だと言ったが本当かどうかはわからない。
俺も17だと4つもサバ読んでいるので、同罪だろう。
女を抱くのは初めてだったが、昨晩の相手の男のやったとおりにしたら、結構満足した具合だったので上出来。
なんでも器用にやれる体質は儲けものだ。
3日目は男を抱いた。
高校2年と言った男は俺より童顔で、可愛い子だった。
まあ、これも経験だとばかりにやってみたが、別に女とやるのと変わりなく、可も不可もない。
結果、俺はゲイなのかゲイじゃないのか全くわからなくなってしまった。
中一の夏休みが始まっていた。