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第8話 倒壊

「おいどうした。とっとといくぞ!」


「ちょ、ちょっと待ってよ……」


 銀髪の美女にして伝説の魔剣であるレヴィアに連れられてカノンは家を出る。

 時刻は朝。ツヤツヤで元気一杯といった感じのレヴィアに対しカノンはしなしなに干からびていて、足もガクガクに震えていた。


「なんだ情けないな。昨日あんなに可愛がってヤったのに」


「いやそのせいなんだけど……」


 ただでさえ剣を振った反動で全身筋肉痛だったカノン。

 だというのに昨晩レヴィアに襲われてしまったのでその肉体的疲労は計り知れない。

 地獄のような痛みに苛まれるかれだが、事の最中は天国のようだったのは内緒だ。


「こういう時は野菜ジュースを飲むに限るよ」


そう言ってカノンは緑色の液体が入った小瓶を取り出して一気に飲む。

するとなんと言うことだろう。今までの疲労が瞬く間に抜けて元気になるではないか。


一瞬で元気になった彼の姿を見てレヴィアは驚く。


「おい……いったい何を飲んだんだ?」


「へ? ただの野菜ジュースだけど」


「いや、そんなもんで一瞬で元気になるわけ無いだろ!」


「そうなのかなあ、僕の作る野菜ジュースは全部こんな感じだけど」


「やっぱりお前も大概おかしいよな……」


 ツッコミどころが色々あるがレヴィアはひとまずそれを飲み込む。

 時間ならこれからいくらでもある。ひとまず今は目先のことを考えなくてはいけない。


「で? これからどうするんだカノン」


「うーん、王都にはもう来たくないし南の方に行ってみようか」


 カノンはやる事もないのでレヴィアの記憶探しの旅に出ることにした。

 伝説の剣の記憶を探る旅、思春期の男子であれば誰もが心躍るだろう。今まで戦いとは無縁だったカノンだが、恐怖よりもワクワクの方が勝ってしまった。


「でもこの収穫した野菜達をどうしようかな。ここに置いていくのも嫌だし……」


 そう言ってカノンは荷車に乗った野菜達を見る。

 人の力ではとても押せないし、馬を借りるお金もない。かといってここに置き捨てていくのは彼の良心が咎めた。


「なんだ、そんな事で悩んでいたのか」


「むう、何だとはなにさ。これは僕の宝物なんだぞ」


「違う違う、そういう事を言ってるんじゃない。カノン、もうお前は『魔剣使い』なんだぞ、多少のことは自分で解決できるようになっている」


 レヴィアはそういうと剣モードに変身しカノンの腰に装着される。

 そしてその状態で話しかける。


『魔剣を装備した状態だと肉体能力が底上げされる。試しに家を殴ってみるといい』


「家を? そんなことしたら痛いじゃないか」


『いいから私を信じてやってみな』


「むう……分かったよ」


 そう言ってカノンは渋々家の柱を殴ってみる。

 拳が痛くなるのは嫌だったので六割くらいの力で「えいっ」と軽く殴った。

 すると太い家の柱はまるで棒切れのように軽くへし折れてしまう。


「えええっ!?」


 突然のことに驚愕するカノン。

 レヴィアはそんな彼に得意げに説明を始める。


『これが魔剣の力だ。私を装備している時はお前の全能力は底上げされる。魔剣を持っていない並みの人間じゃお前には勝てないだろう』


「はああ、これは凄いね。これだけ力があれば荷車を自分で引くことが出来るね」


 自分に新たな力が備わったことに喜ぶカノン。

 しかし良いことがあれば悪い事も起こるものだ、カノンが殴った柱は大穴が空いた家の最後の砦だったのだ。支えを失った家にはメキメキメキッ! と亀裂が入っていき、そのまま轟音と共に倒壊してしまう。

 後に残ったのは瓦礫の山、とても建て直せる状態ではない。


「ぼ、ぼくの家ぇぇぇっっ!!」


 カノンの脳裏にこの家で過ごした日々がフラッシュバックしていく。

 楽しいこと、辛いこと色々あったこの家にカノンは思い入れがあったのだ。


「あば、あばばば」


『ま、まあ出ていく予定だったから良かったじゃないか。魔獣の住処になるよりマシだと考えよう』


「そう……だね……」


 そう力無く呟く少年の目からは熱い雫が零れ落ちるのだった。

《読者の方へのお願い》


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