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第4話 襲来

「うんしょ、うんしょ」


 魔剣『レーヴァテイン』と相棒になった次の日の朝。

 農家の少年カノンはいつも通り朝から畑を耕していた。


『精が出るなカノン。しかしこの家を出るなら畑を耕しても無駄なんじゃないか?』


「それもそうなんだけど……ね! いつもの習慣だからつい体が動いちゃうんだ……よ!」


 くわを振り下ろしながらカノンは近くの木に立てかけた魔剣と会話をする。

 既に二人は身の上話を話し終わっていた。なので魔剣はカノンがどんな状況に置かれているのかを理解している。

 しかし反対に魔剣のことをカノンは知らなかった。……いや、知れなかったと言ったほうが正しいか。


「にしても記憶喪失・・・・だなんて大変だよね。自分の名前以外には何か覚えてないの?」


『それがさーっぱりだ。なぜ封印されていたのか、私はどんな魔剣だったのか、なーにも覚えてねえ』


 話によると魔剣は封印されていたらしい。そのせいでずっと喋ることができずにいたらしい。

 しかし倉庫に置いてあっったカノン特製トマトジュースが樽から少し漏れて魔剣に当たったことで封印の一部が解けたらしく、そのおかげで辛うじて取り戻した力を振り絞り床に倒れてカノンの目に止まることに成功したのだ。


『だから私の記憶を取り戻す旅に出てくれないか? 取引先がいなくなりここにいる理由ももうないだろ?』


「まぁそうだけど……。僕は今まで畑仕事しかしたことないから旅に出るなんて無理だよ、きっとすぐに盗賊に捕まって君を奪われちゃうよ」


『なあに心配には及ばねえ。なんせお前はもう『魔剣使い』なんだ、そこらの盗賊になど負けはしねえ』


 魔剣はそういうと自分を鞘から抜くようカノンに言う。

 王都の倉庫ではビクともしなかったが、封印が解けたからか魔剣は簡単に鞘から抜ける様になっていた。


「凄い……綺麗だ……!」


 魔剣の刀身は吸い込まれるように美しい漆黒で、見ているだけで吸い込まれそうな不思議な魅力を持っていた。長年使われていなかったにも関わらず刃には錆や刃こぼれの一つもなく、つい先ほど研いだかのように美しかった。


『どれ、魔剣の力を見せてやろうか。地面に私を振り下ろしてみな』


「え、こ、こう?」


 カノンは言われた通り何の気なしに魔剣を振り下ろし地面に剣先をぶつける。

 すると何ということだろう、魔剣の剣先からはとてつもない衝撃波が放たれ目の前約百メートル四方の地面を一瞬で掘り返し耕してしまった。


『魔剣・地鳴らし……とでも名付けようか。これが私の力だ、凄いだろ』


「あ、あばば……」


 そのあまりの破壊力にカノンは腰を抜かしてその場に尻もちをつく。

 こんなもの人にはなったら木っ端微塵に消し飛んでしまうだろう。


「ちょ、ちょっと! なんて技使うのさ! 危ないじゃないかっ!」


『ぬ? 喜ぶと思ったんだが気にいらなかったか』


「こんな力あっても使う機会がないよ!」


『そんなことはないだろ。ほら、特に今とか』


「へ?」


 魔剣に言われてカノンは初めて自分の置かれている状況に気づく。

 なんといつの間にかカノンの周りには五匹の犬型魔獣『キラーハウンド』が集まっていた。体長は約一メートルとそこまで大きい種類の魔獣ではないが、鋭い牙と爪を持ち、更に仲間との連携能力に優れる。腕利きの冒険者でも一人で群れを相手にするのは困難な相手である。

 無論戦闘はズブの素人であるカノンにとっては一対一でも勝てる相手ではない。


「ひ、ひぃぃぃぃいいい! ど、どどどどどうしよう!?」


『落ち着けカノン! しっかりと私を握れっ!』


「あばばばばば」


 混乱し慌てふためくカノン。

 しかし無情にもヘルハウンドは彼に飛びかかってくる。


 絶体絶命……そう思われたが、次の瞬間驚くべきことが起きる。

 なんとカノンの体は流れるような動きでヘルハウンドの牙から逃れ、その側面に回り込んだのだ。


「……へ?」


 避けたカノン自身も何が起きたのか分からない様子で呆気にとられた顔をしている。

 それもそのはず、彼は体を動かそうとしてないのだ、だというのに彼の体は勝手に動き続け隙を晒したヘルハウンドの横腹を魔剣で力強く斬りつける。


『ギャウッ!』


 腹部を深々と斬りつけられたヘルハウンドはそう叫び声を上げて地に伏せる。カノンの斬りつけた傷跡はかなり深く、とても素人のものとは思えない。


「いったい何が……」


 突然の事態に呆然とするカノン。

 そんな彼に魔剣は上機嫌で説明を始める。


『がはは、驚いたか? 魔剣には使用者の身体を動かす能力があるんだ、つまりズブの素人であるお前でも私を握れば一丁前の剣士になれるってわけだ』


「じゃあ僕でも達人みたいに剣を振れるってこと……!?」


『その通り、こんな犬っころ共とっとと片付けてやろう!』

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