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第2話 魔剣

 大臣に契約を打ち切られた日の夜、少年カノンは自宅で絶望に打ちひしがれていた。


「こんなにたくさんの在庫、いったいどうすればいいんだ……」


 彼の目の前には天高く積まれた野菜の在庫。とてもじゃないが一人で食べ切れるような量ではない。

 カノンは幼い頃に両親を亡くし、一人で暮らしている。以前は田舎の村で寂しく農業に勤しんでいたのだが、野菜の品質の高さを王国の大臣に認められ王都の近くに家を建て村を出たのだ。


 一人気ままに農業に勤しみながら、週に一度王都に出向いて野菜を売ってそのお金で買い物をする……カノンはこの自由な暮らしが気に入っていた。

 しかしその暮らしももう終わりだ。王都近くには村が無いためこれ以上ここで農業を続ける意味はない。


「ひとまずお金をどうにかしないと……」


 野菜を返品されたことによりカノンの手持ちはすっからかんだ。

 ちなみに馬車は借り物だったので今の手持ちではこの野菜の山を運ぶことも出来ない。正に八方塞がりだ。


「はあ、ひとまず今日は寝て明日考えよう」


 カノンは心身の疲れを癒すため思考を放棄してギシギシと音のなる簡素なベッドに体を横たわらせて深い眠りに落ちていく。

 明日になったらいい考えが思い浮かぶことを信じて……。


 ◇


 日が完全に沈み、辺りが静寂に包まれた深夜。

 気持ちよく寝ていたカノンは突然の物音で目覚める。


「……ん? いったい何だろ」


 その音は野菜などを置いている玄関から聞こえ、何か硬いものが床に当たったような音だった。

 いくら栄養豊富だとはいえ、野菜は一人でには動かない。だとすると野菜狙いの野党や獣の可能性が高い。

 カノンは護身用のショートソードを手に持ってゆっくりと様子を伺うことにする。


「うう……怖い」


 恐怖で剣を握る手が震える。彼は戦闘に関してはズブの素人、剣を振るうよりもくわやスコップを振るうほうが何十倍も得意だ。もし野党や獣がいたらとても敵わないだろう。


 しかしだからといって心を込めて育てた野菜をおめおめと盗まれるわけにはいかない。

 カノンは勇気を振り絞って音がした玄関を覗き込んでみる。

 するとそこには……。


「……あれ? 誰もいない」


 玄関前には相変わらず野菜の山がそびえ立っており、扉にも鍵がかかっていた。

 誰かが侵入した形跡など全く無い。


「おかしいなぁ……ん?」


 ここで彼はおかしなことに気づく。

 壁に立てかけておいたはずの剣が床に転がっていたのだ。

 その剣は王都で貰った黒い剣だ。埃を被って汚れていたので帰りながら馬車の上で磨いてみるとツヤが戻り立派な見た目の剣になった。しかし依然鞘から抜くことはできなかった、余程錆び付いているのだろうか。


「この剣が倒れた音だったんだ。あーあ、驚いて損した」


 音の正体を確認したカノンは踵を返して寝室に戻ろうとする。しかしその瞬間背後からの声に呼び止められる。


『……おい、そこのお前。私を起こしてくれ』


「へ?」


 突然の声に驚き後ろを振り返る。

 しかしそこにあるのは野菜と倒れた剣のみ。


「……疲れてるのかな」


 聞き間違いかと思い再び立ち去ろうとするが、再び謎の声が彼を呼び止める。


『勘違いでは無いっ! 私は、こっち、だ!』


「へ? ど、どこ!?」


『どこ見てる! もっと下だ下!』


「し、下っ?」


 謎の声に従い視線を動かすと、そこには床に転がるあの剣があった。


『くく、ようやく目が合ったな少年。ほれ、さっさと私を起こしてくれ』


「え、ええと……もしかして君が喋ってるの?」


 信じられない、といった感じでカノンは剣を起こしながらそう尋ねる。

 するとその剣は上機嫌な様子でこう答えた。


『その通りっ! 何を隠そう私こそ最強の魔剣『レーヴァテイン』様だ! この私の所有者になれたこと、光栄に思うが良い!」

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