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第49話 びっぐあいらんど・てる

……死んだ。


何が死んだって?

わかるでしょ? 電気だよ。

血だらけだけど、茶々丸にやられた右手のことじゃないよ。

そう。

とうとう、僕の住む地域の電気供給が断たれたようなのだ。


僕の使っているノートパソコンはバッテリーが死んでいてアダプターを外せば一瞬で落ちてしまう状態だったから、それが落ちたってことは、きっとたった今、ここへの電気供給は死んだのだ。


窓から外を眺める。


遠くにエンジン音と、それに反応しているのだろうか犬の鳴き声が複数聞こえてくる。

エンジン音は。停電時の予備電源として発電機を用意している施設から聞こえてくるのだろう。一部の建物からはまだ灯りが漏れてはいたが、先程まで結構灯っていた電気の灯がほとんど見当たらなくなっており、まさに暗闇が広がっていた。


この雰囲気は、間違いなく停電のソレである。

ただ、この停電は二度と復旧することはないのであろう。

これは大変なことになった。

茶々丸にやられた右手のことじゃないよ。うん、こっちも大変だけど、消毒して絆創膏巻きまくればいつかは治るからね。

「いつか電気が止まる」と何度も山田さんから忠告されていたが、実際に目の前で起きると急激に心細くなってしまった。

ネットで調べものはできないし、ネット電話ももうできない。

完全に、正真正銘、僕独りになってしまったというワケだ。


「にゃーん」


「……いや。まだオマエがいたな」


僕はそっと茶々丸の頭を撫でた……って、痛いって!!!

こっちはこんなにセンチメンタルな気分なのに、茶々丸はまだバイオレンスな気分を継続中らしい。

再びモロに決まる、腕ひじき猫固め。

こうして無事だった左手も死ぬ目にあったのだった。



そういつまでも悲観していても始まらない。

茶々丸のそんな叱咤激励を受けた僕は、絆創膏だらけになった両手を眺めながらため息をついた。


「……さて、あの兄ちゃん(ゾンビ)どうしようかね?」


誰って、まだ扉の向こうで拘束され転がされている、あの憐れな死体である。

まだフレッシュなうちに片付けてしまいたかったが、外の様子は元々把握しきれてない上、この暗闇である。いま捨てに行くのは得策ではないだろう。

かと言って、このままにしておくのも気分が悪い。

どこかに良い保管場所はないだろうか……と考えたところでピンときた。


「303号室でいいんじゃね?」


同じフロアで、僕の部屋の玄関ドアの対面にある部屋である。

何故そこに一時保管しようと思ったかと言うと、その部屋にはかつて死体があったからである。

……僕が殺したんじゃないぞ。

なんとその部屋は、何年か前に殺人事件があったらしいのだ。


入居してから判明したんだけどね。

近所の居酒屋に通うようになってから、そこの常連から噂話を聞いたのだ。

その客は何号室かまでは知らなかったので、ある酔った日に思い切って某事故物件紹介サイトで調べてみた結果、303号室がソレだったというワケだ。

いやはや、自分の部屋じゃなくて良かったが、まさか同じフロアとは……って思ったね。


不思議なことに、その部屋、何故か住人が定住しない。

いつの間にか、違う人が入居してるんだよね。

もしかしたら、事故物件って気付いたのかもしれないな。

その部屋は空き巣に複数回入られた実績があるらしいし、風水的なのか構造的なのかはわからないけど、何かあるのかもしれないね。


まあ何にせよ、元々事故物件であるその部屋は死体置き場に最適であろう。同じフロアってのも楽でいいよな。

僕は早速兄ちゃん(ゾンビ)の両脇を抱えて303号室内に引きずり、そして放置して部屋に戻ったのだった。


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