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第45話 ぞんび殺るべし

『ああ、そのあたりはまだボクらの中でも意見が分かれててね……』


山田さんによれば、まず、ゾンビ状態の感染者は放置するには危険な存在であるという認識は一致してるそうだ。

そりゃそーだわな。

アレ(お食事シーン)見て安全とか言う輩がいたら頭がおかしいとしか言いようがない。


別れている意見というのは、(表向きの)僕の判断と同じ拘束しておくか、処分してしまうかってところだ。

大半の意見が前者なのだが、危険故に処分……要するに殺してしまったほうがいいという過激な意見もあるようだ。


後者の意見は、ゾンビに家族を殺された者から多く出てるらしい。

まあ、ついでにあのお食事シーンとか目撃しているとしたら、ゾンビは恐怖の対象でしかないだろうから、理解できないでもない。


ゾンビ状態の感染者と映画のゾンビのイメージが重なり過ぎていて、積極的に殺していかないと大変なことになるのではないか、という強迫観念みたいなものを持つ者もいるという。


また、拘束したとしても、昏睡状態の感染者同様に面倒が見きれないので待ってるのは餓死だけ、それならいっそ楽にしてやったほうが人道的なのでは?という意見もあるらしい。

……うーん、これは他人事ではないから共感できるかも。


ただ、殺すにしても問題がある。

生存者(?)たちは皆、数日前までは普通の人だったのだ。

ゾンビ状態とは言え、人間。それを殺せと言われて、はいそーですかとバットとかでフルスイングしたり、ナイフで刺し殺したりできる者がそうそういるだろうかってことだ。


(……まあ、僕はやっちゃったけど)


僕は頭の中でてへぺろと舌を出した。


実際、ゾンビを殺した経験のある者は数人いるという。

複数人のゾンビに囲まれて無我夢中ってところらしいが、その時そうとう怖い思いをしたのだろうか。

それとも、自分の殺人(こうい)を正当化したいのだろうか。

ゾンビるべし!と息を巻いてるとか。


『まあ、結局は各自判断で落ち着いたよ』


「それだと、いざって時後手に回って危険なのでは?」


『そうかもしれないね。緊急時だからこそ、方針はしっかりしておいたほうが良いとは思うんだけど、いくら危険人物化してるとは言え、相手は人だからねぇ』


山田さんはうーんと唸る。


『まあ、緊急時にゾンビに危害を加える、要するに正当防衛なら咎めないということだけは皆ハッキリ同意してるから、とりあえずそれだけ決定しただけOKと思ってるよ』


なる程、それなら僕の場合も咎められることはなさそうだ。

だからと言って、「実は既にI殺っちゃってますw」とかカミングアウトはあえてしないけど。


「確かに、それだけでも心が楽になれます」


山田さんはウンウンと頷いてから話を続けた。


『もう言わなくても分かってるだろうけど、ゾンビは夜間に活発に行動するみたいだから気を付けること』


まあ、僕もわざわざ暗闇で行動するつもりはない。


『商店等からの食品や物資の持ち出しは、そこの主が居なければ咎めないから遠慮なく』


このアドバイスもありがたい。何気に罪悪感があったからね。

なんと札幌の生存者(?)のひとりに現役国会議員がいるらしく、もし政府機能が回復したとしたら緊急時故に不問にすることを働きかけてくれると約束してくれているそうなのだ。

『だってな、どっちにしろそうしないと、ワシも泥棒ってことになるしな。ガハハ!』とのことらしいw


『前にも言ったかもしれないけど、いつ電力供給や通信設備が止まっても不思議じゃない。むしろ、止まっていないのが奇跡だ。そうなっても生きていけるように備えて』


冬だから電機に頼らない暖房器具は必須だろう。

まあ名古屋は極寒ってワケでないから着こんでればなんとかなるとは思うが、石油ストーブと灯油くらいは探しておいて損はなかろう。

また、温かい食事を取りたければカセットコンロとかも欲しいところだ。

通信設備は電池式のラジオ、そして情報共有の為になるべく強力な無線機とそれを動かす電力の確保を勧める、とのことだ。

明日にでも大きな電気屋さんに探しに行くか。

インターネットが生きてるうちに、生活に役立ちそうなモノが売ってある商店とかの場所を調べておいたほうがいいかもな。


『さて、ちょっと怪我人の様子を見てから仮眠したい。そろそろ切っていいかな?』


「はい。非常に助かりました」


『うん。キミもなるべく早く無事な人たちと合流したほうがいい。都会はほとんど無事な人と連絡取れないから大変だろうけど、ひとりで生きていくには辛い世の中になってしまったからね』


……うん、独り身は辛いです。

身に染みてます。。。


「……頑張ってみます」


『じゃ、もしかしたらこの電話がキミと話せる最後になるかもしれない。達者でやってね』


「山田さんこそ、お元気で」


『ありがと。じゃあ』


こうして、部屋に静寂が戻る。

ふう、と息を着いてベッドに身を投げ出した。

色々考えすぎた。ちょっと休憩しよう。


その時、茶々丸が緊張状態に入っていることを、僕は気付けなかった。


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