第33話 ヤな予感
「なんか腹立ってきたな」
Bカップ簀巻きの部屋にいた昏睡状態の男を縛り上げた後、ふつふつと怒りが沸き上がってきた。
この男、知ってるぞ。
たまに見かけた、この部屋の住人じゃないか。
何を言ってるのかと思うかもしれないが、この男を最近見かけなかった上に代わりにBカップ簀巻きを見かけるようになったことから、僕は勝手に入れ替わりで引っ越したと思いこんでいたのだ。
と、言うことは、だ。
Bカップ簀巻きはこの男のオンナであり、同棲なりお泊りなりしにきていただけなのだ。
そんな女に僕は、
「カレー余ったので食べてください。ついでに私も……///」
的な妄想を、わずかとは言え抱いてしまっていたのだ。
ちくしょう、これは屈辱的である。
返せ。
僕の純情と妄想に使ったエネルギーを返せ。
これは代償を支払って頂くしかあるまい。
僕はBカップ簀巻きに向き直ると、半身を起こし、背後に回り、抱きかかえるようにおっぱいを揉んでやったのだ。
どうだ。
俺の純情を弄んだ代償として、目の前でオマエのオンナを辱めてやったぜ。
はっはっは。
……空しい。
僕はそっとBカップ簀巻きを横にすると、そっと玄関の扉を開けて404号室を後にした。
そして、ここでもうひとつの「眠れない原因」に気付くことになる。
403号室の玄関を出て、自分の部屋に戻ろうと一歩を踏み出したとき。
ふと違和感を覚え、足を止めた。
「? ……聞こえる?」
そう、音がするのだ。
今まで、人っ子ひとり見当たらなかったこの街は一切の生活音がしない故に深い静寂の中にあった。
時折、風の音が響く程度だ。
それが今、かすかにではあるがガタガタとかバン!だとか、何者かが複数存在し活動しているかのような音や犬や猫の鳴き声が、遠くから響くように聞こえていた。
嫌な予感がする。
こんな時間だ。
もし何者かが行動しているとして、無事だった人達が一斉に行動し始めたと考えるのは、あまりにも楽観的であろう。
上階の女やBカップ簀巻きを相手にしたばかりもあり、すぐにひとつの可能性に思い至る。
……街中の感染者たちが、目覚め始めたのかもしれない。
そうだとすれば、最悪だ。
感染者が403号室の様に潜んでいるとして、街レベルとなるといったいどれだけの数のゾンビで溢れるか、想像もできないぞ。
そいつらが、上階の女やBカップ簀巻き同様に危険な存在と化すとしたら、かなりヤバイんじゃないか?




