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ソロ神官のVRMMO冒険記 ~どこから見ても狂戦士です本当にありがとうございました~  作者: 原初
二章 ランクアップ編

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顔合わせ(残りの人全部)

 サリア、ローズさん、コノハ、ハイリさん。

 サファイアによると全員アポロに好意を持っていて、四人合わせてアポロハーレムとでも呼ぶべき人たち。どこのラブコメだとツッコミたくなるが、彼女たちを観察していると、露骨にアポロのことをチラ見したり、話しかけるときに頬が赤くなっていたりしているのだ。これで分からない方がおかしいと思うのだが、アポロ本人は全く気付いていない。そのことをサファイアに確認すると、なぜか怒られた。意味が分からないんだが……。けど、長年サファイアと付き合ってきた俺の勘が、この話題を掘り下げるとサファイアの怒りを買うと告げている。これ以上ツッコむのはやめよう。


 彼女たちの自己紹介が終わると、次は男性陣の紹介である。で、あるのだが……。



「……チッ」


「……フンッ」



 ……なんか、約二名からすっごい睨まれてます。あの金髪でツンツン髪の似非関西弁少年と、俺のことを睨みつけてくる銀髪の男だ。初対面のはずだし、何か恨みを買うようなことしたっけ?



「えっと、リューです。よろしくお願いします……?」


「……ライゴや。職業は雷槍士で役割は第二パーティーのアタッカー」


「パルケス。銃士。バックアタッカー」


「あ、はい」



 ビックリするくらいにそっけないんだけどッ!? え、マジで俺何かした!? 

 そうやって驚いているうちに、本当に必要事項しか言わなかった二人はさっさと俺から離れていってしまった。うーん……謎である。……とりあえず、この二人は人見知りだったということで納得しておこう。


 似非関西弁の人と銀髪細身の人―――ライゴさんとパルケスさんの後に声をかけてきたのは、スキンヘッド、髭、筋肉と三拍子そろったオッサンと、神官服を着た優男風の若い男の人だった。スキンヘッドのオッサンは、近づいて来るや否や、俺の肩をバンバンと叩き始めた。ちょ、痛い痛い! 普通に痛いぞ!?

 痛がる俺をよそに、オッサンは髭面に満面の笑みを浮かべた。うわぁ、笑顔も迫力あるなァ……。



「がはははッ! リューといったな! お主があの化け狼と戦っている映像は見させてもらったぞ。あいや、見事なり! 己より強大な相手を前にして臆することなく、それどころか笑顔さえ浮かべて見せるその心意気! まさしく益荒男よ! お主のような武士もののふと同士になれることを、心より嬉しく思うぞ!」


「……えーっと?」


「あはは、相変わらずフガクさんは暑苦しいですね。というか、先に自己紹介を済ませてください」


「む? それもそうだのう。リューよ。ワシはフガク。職業は重撃士。役割としては第二パーティーのアタッカーを務めておる」


「そして、僕はケイル。職業は司祭。第二パーティーのヒーラー兼バッファーを務めています。よろしくお願いしますね、リューさん」



 スキンヘッドのオッサン―――フガクさんは豪快に、神官服の優男―――ケイルさんは静かに笑って見せた。

 良かった。この二人は友好的かどうかは置いといて、普通に接してくれるみたいだ。今はそれだけでも十分にありがたい。いやぁ、いきなり嫌悪に近い感情を向けられるのって結構きついものがあるんですよ?


 さて、これで男性陣の名前と職業、そして役割を聞くことができた。今まで聞いた感じだと、アポロ、サファイア、サリア、ローズさん、コノハ、ハイリさんが第一パーティーのメンバー。そして、ライゴさん、パルケスさん、フガクさん、ケイルさんが第二パーティーのメンバーということだろう。

 そして、第二パーティーの残りのメンバーだろうと思われる最後の一人。俺は、ピンク色のツーサイドアップをせわしなく揺らすそいつに近づいていった。そいつも俺の接近に気づいたのは、あはは……。と乾いた笑みを浮かべている。



「さて……。どうしてお前がここにいるんだ? 後輩」


「いやぁ、ギルマスと副マスと親しい人って聞いてて、もしかしてとは思ったんすけどねぇ……。ものの見事に先輩だったとは驚きっすよ」



 まるで悪戯がばれた子供のような態度で頭を掻くツーサイドアップの少女。その様子はやはり、俺のよく知っている人物のものにそっくり……というか、本人が認めてるんだから、もうそいつだと確信していいだろう。


 こいつは、俺の一つ下の後輩。俺が去年まで通っていた中学の三年生。部活の後輩だったということもあり、下級生の中では一番仲がよかったヤツだ。


 名前は、先崎万桜さきざき まお



「まぁ、見知った仲っすけど、こっちでは初対面っすからね。ちゃんと自己紹介するっすよ。私はマオ。職業は魔導師。役割は第二パーティーのバックアタッカーっす。今日からおなじギルドの仲間として、末永くよろしくっすよ、先輩」


「ああ、よろしく。というか、PNそれでいいのかよ。まぁ、今まで通り後輩って呼ぶから問題ないっちゃないけどさ」


「先輩に言われたくねーっす。アナタも大概っスからね?」



 うん、この先輩呼びが完全にポーズであることが分かる話し方が懐かしい。俺が高校に入学してからはあまりあっていない……こともないな。こいつの家、そんなに離れてるわけじゃないし。行きつけのスーパーが一緒だから、買い物とか行くとよく遭遇する。夏休みに入ってからは会う機会もなかったけどな。

 


「それしても、後輩もFEOプレイヤーだったとは……というか、【フラグメント】のメンバーってことは、俺よりも先に始めてたってことだよな? どのくらいから始めてたんだ?」


「んー、サービス開始のすぐあとっすね。流石にサービス開始直後は新学期でいろいろ忙しかったんで、開始直後からは無理だったんすよ」


「へぇ、やっぱり俺なんかよりずっと早くから始めてたんだな」


「そうっすよー。………あ、だからっすね」



 後輩は何やら思いついたのか、ニヤリと楽し気な笑みを浮かべた。なんだろう、後輩がこういう表情を浮かべているときは、たいていロクでもないことを思いついたときなのだが……。この笑顔で「先輩、授業一緒にサボりませんか?」とか聞いてくるからね、こいつ。

 嫌な予感を感じつつ、後輩に「……なんだ?」と聞き返す。

 後輩は俺の方に一歩近寄ると、腰をかがめ、上目づかいで満面の笑みを浮かべた。



向こう(リアル)では私が後輩っすけど、こっち(ゲーム)では私が先輩っすね♪」



 そう、心底嬉しそうに告げる後輩。なるほどなるほど、その発言は間違ってはいない。間違ってはいないが……。



「え、後輩が先輩……? 何それ普通に嫌なんだけど?」


「なっ!? それはひどいっすよ!」



 真顔で呟いた俺の言葉に、後輩は笑顔から一転、ふがーっ! と肩を怒らせた。

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