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ソロ神官のVRMMO冒険記 ~どこから見ても狂戦士です本当にありがとうございました~  作者: 原初
二章 ランクアップ編

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顔合わせ(アポロハーレム編)

 アポロがギルドマスターを、サファイアが副ギルドマスターを務める攻略ギルド【フラグメント】。案内された先にいたギルドメンバーの面々は、なんだかとっても愉快なキャラをしていた。まさかサファイアの事前の説明がそのままほとんど当てはまるとは……。



「じゃ、一人一人自己紹介をしていってくれるか? 俺らも結構有名になったけど、リューは掲示板を見ないどころか、ロクに他のプレイヤーと交流しようとすらしないから、お前のことも一切知らない。俺とサファイアも大した説明はしてないしな。そうだな……とりあえず、名前と職業。あと、ギルド内での役割を教えてやってくれ」


「そういうことなら、まずはアタシから自己紹介するわね」



 リーダーっぽいことを言い始めたアポロの言葉に反応したのは、赤髪ツインテールの少女だった。あのツンツンした感じの少女だ。



「……リューにぃ、一人目」


「……それは、アポロハーレムのってことか?」


「ん」



 ということは、この少女がサファイアの言うところの「ツンデレ」なのだろう。前にアポロの呼んでいたラノベに出てくるツンデレヒロインとやらがこの少女と同じような感じだったのを覚えている。



「アタシはサリア。職業は剣闘士よ。このギルドでの役割は第一パーティーのアタッカーよ」


「リューです。職業は神官。よろしくお願いしますね、サリアさん」


「そんなカタッ苦しい喋り方しなくてもいいわよ。見たところ、同い年くらいでしょ?」


「分かった。そうさせてもらうよ」



 ふむ。多少態度に棘があるようにも思えるけど、普通の子だよな? まぁ、こうして近くで見るとその美少女具合がよくわかるけどさ。というか、見る限りこのギルドの女性陣って美少女と美女がそろいにそろってるな。周りの視線を集めそうな集団だこと。



「では、次はわたくしですわね! わたくしはローズ=クェーサー。職業は魔法剣士。役割はそこの赤猫と同じアタッカーですわ。よろしくお願いいたします、リューさん」


「えっと、ローズさんって呼べばいいか?」


「構いませんわ。これから同じギルドの仲間になるんですもの。わたくしの仲間になれるなんて、貴方は幸運ですわね」


「相変わらず高飛車な……って! 誰が赤猫よ! この金色ドリル!」


「おーほっほっほっほ! 庶民の吠え声が耳に心地いいですわ」


「うぐぐ……っ! リュー、この性格悪い女にさん付けなんていらないわ! 呼び捨てにしてやりなさい!」


「ええ……」



 金髪縦ロールのお嬢様、ローズさんとサリアが言い争い……というか、サリアが一方的に言いつのるのをローズさんがひらりひらりと躱している。あれだな。蝶を捕まえようとする猫みたいな感じだ。

 とはいえ、このままだと自己紹介が進まないし……。うん、ギルマスに何とかしてもらいましょうか。



「アポロ―、ヘルプ―」


「あいよー。ほら、サリア、ローズ。リューが困ってるだろ? そのくらいにしておけ」


「……ふ、ふん。まぁ、アポロがそう言うなら、この辺で勘弁してあげるわ」


「アポロさんに言われてしまったら、やめざるを得ませんわね。赤猫で遊ぶのはこのくらいにしておきますわ」


「だから! 赤猫って言うんじゃないわよ!」


 

 ああ、うん。この二人の関係性はなんとなく分かった。あれだな、犬猿の仲なんだろう。これ以上刺激しないようにしよう。

 


「ねぇねぇ! リューくん!」


「おわっ、びっくりした」



 再度アポロになだめられてるサリアとローズから視線を逸らした瞬間、いきなり至近距離で元気いっぱいな声が聞こえたせいで、ビクッ、と肩をこわばらせてしまった。

 声の方に振り返ると、視界にぴょんぴょんと揺れる若草色が見えた。



「えーっと、君は……?」


「あ、そうだった。自己紹介しないといけないんだったね。コノハはコノハだよ。職業は軽業師。役目は回避タンク!」


「コノハ、か。俺はリューだ。よろしくな」


「うん! よろしくね! ところで、リューはギルマスたちとどんな関係なの? お友達? 親友? 恋人?」



 おっと、無邪気な顔で俺でも知ってるネットゲームのタブーに触れてきましたよこの娘さん。えっと、サファイアの説明だと、このコノハって子は……たぶん、「アホ」に該当するのだろう。

 俺がどうこたえようか言葉に詰まっていると、コノハの後ろから、水色の髪を持つ眼鏡の女性がにゅっと現れ、その頭上にゲンコツを落とした。ゴンっ、といい音がコノハの頭頂部から響く。



「こら、コノハ。ゲーム内でリアルのことを聞くのはご法度だ」


「あいたっ。うう、叩かないでよー、ハイリ! コノハは防御力が低いんだぞ!」


「叩かれるようなことをするお前が悪い。すまないな、リュー。見ての通り、こいつは頭が弱い。気分を害していないだろうか?」


「い、いえ。大丈夫です」


 

 なんというか、厳しい感じのする人だな。眼鏡ごしの視線もキリっとしているし、いかにも『できる女』って感じ。スーツが良く似合いそうだ。こういう人が姉にいれば、あのアホ二人ももっとしっかりしてくれるんだろうか……?



「私はハイリ。職業は司祭。このギルドでは第一パーティのヒーラー兼バッファーを務めている。同じギルドの一員として、どうかよろしく頼む」


「は、はい。こちらこそよろしくお願いします」



 なるほど、この人がサファイアの言う「クソ真面目」か。いや、確かに融通の利かなさそうな感じはするけど……。というか、この人もアポロハーレムの一人なの?



「……リュー、少し聞きたいことがあるのだが、いいか?」


「質問ですか? 別にいいですよ」


「そうか、助かる。そ、それでなんだが……あ、アポロのことをいろいろと教えてくれないだろうか?」



 あ、うん。本当みたいだな。真面目そうな表情が一変して、恋する乙女のような表情に。頬を染めてアポロをちらちらと見ている様子からは、完全にその内心がうかがい知れる。

 というか、こんな分かりやすいのに、アポロはハイリさんの好意に気づいていないのだろうか? さっきのコノハだって、確実にアポロに付いて聞こうとしていたし、サリアとローズさんはアポロに言われればすぐに互いに向けあっていた矛を収めていた。好意を向けられていることなど、すぐに気が付きそうなのに……。どんだけ鈍いんだ、あいつ。



「……リューにぃ。ブーメランって知ってる?」


「なんでいきなりオーストラリアの伝統的な狩りの道具が出てくるんだ?」


「……分からないなら、いい。リューにぃのバカ」


「え、なんで!?」


「ふんっ、知らない」



 そういってそっぽを向くサファイア。本当、いきなりどうしたんだ……? 謎である。

圧倒的お前が言うな。



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