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ソロ神官のVRMMO冒険記 ~どこから見ても狂戦士です本当にありがとうございました~  作者: 原初
二章 ランクアップ編

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デート回①(デートになるとは言っていない)

二日……いや、三日ぶりくらいになる投稿。遅れてしまって申し訳ございません。

というわけで、デート回ですよ、ええ。

 喧騒あふれるトロワヴィレの噴水広場にて、日常装備に身を包んだ俺はサファイアを待っていた。時刻は九時十分。ちょっと早く来過ぎた感があるけど、もし遅れたりしたらサファイアの機嫌が急転直下で地に落ちそのまま地面に沈んでいってしまうので、このくらい早めでいいのだ。

 しかし……。こう、暇つぶし的なものがないものだろうか? リアルなら読書やらなんやらができるのだが……。こっちの世界にも、本屋さんってあるのかな? そういうことも、サファイアに案内してもらおう。


 やることがないので、噴水に腰掛けながら、道行く人や街並みを眺めることにする。人の量は、ドゥヴィレよりはおとなしい。だが、活気という面では負けていないと思う。

 というか、ドゥヴィレよりも高レベルのプレイヤーが多いな。見る限り、レベル40を超えているプレイヤーがほとんどで、今まで見た最高レベルが63。着ている装備も見るからにすごそうなものだった。そして、その誰もが戦闘を生業としているであろう者たち。



「おい、そこの神官!」



 ふむ、トロワヴィレには戦闘系プレイヤーを集めるような何かがあるのだろうか? 強力なダンジョンが近くにあるとか? それとも、新しいフィールドが開拓された? うーん、何にせよ、心が躍るじゃないか。昨日の亡霊騎士戦は久々に楽しかったし、ディセクトゥムとの戦いとまでも行かなくても、それに近い戦いをしてみたいものだ。



「無視してんじゃねぇよ神官野郎! その噴水に座ってる! お前だよ!」



 ……そういえば、アポロたちのギルド、【フラグメント】は少数精鋭の攻略ギルドで、トップギルドだとも言っていたな。じゃあ、強いヤツもいるってことか? というより、サファイアがあれだけ強いんだし、アポロも強いんだろ。期待しとこっと。



「あっれぇ!? もしかして俺、気づかれてない!? こんだけ騒いでてそろそろ周りの目が痛くなってきたのにぃ!? お願い気づいて!?」



 えっと、アポロのヤツは騎士職だったっけ? まぁ、困ってる人を見つけると手を差し伸べずにはいられなかったりする正義漢だし、主人公っぽいあいつには似合ってんじゃないのか? 騎士職となると守りの技術が高いんだろうな。それをどう突破してメイスを叩き込むか……。くくっ、考えるだけでテンションが上がるじゃねぇか。



「おっと、何やらおっそろしい笑みを浮かべているところ悪いんですけど、そろそろ反応の一つくらいしてくれませんかねぇええええ!?」


「さっきからうるさいな何なんだよお前!」



 あ、しまった。反応してしまった。

 さっきから妙なテンションで話しかけてくる変なヤツがいるなーって思ったからガン無視してたのに、あきらめの悪いやつだ。いや、しつこいって言った方がいいか。

 

 俺も無視し続けることをあきらめて、絡んできた男に目を向ける。

 歳は俺より少し上くらい。顔立ちは極めて平凡。短い濃紺色の髪をツンツンに逆立ているのが特徴的だ。纏っている装備は、何かしらの革でできていると思われる鎧に、腰に差した二本の片手直剣。ファンタジーのお約束二刀流である。レベルは46となかなかのもの。

 そしてプレイヤーネームは……ヤマト、か。知らんな。全く身に覚えがない。何か絡まれるような覚えもないし……一体何のようなのやら。



「……どちら様で?」


「ああ、やっと反応を返してくれた……。無視し続けられるのって結構心にくるんだなって知りました……って、そうじゃない。ごほん、神官リュー! オレ、ヤマトはお前に決闘を申し込む!」


「……けっとう? けっとうって……決闘? 戦うのか?」



 いきなり出てきたと思ったら、決闘を申し込んでくるとは、変わったやつだな。いや、FEOの高レベルプレイヤーは、皆こうなのだろうか? ……何だその世紀末。いや、もしかしたら、このヤマトが目についたプレイヤーにはとりあえず決闘を申し込む決闘マニアであるという可能性も無きにしも非ず。むしろ、そっちの方が可能性が高いんじゃないか? それならまぁ、時間を潰すにはちょうどいいし、受けてやってもいいか。うんうん、俺よりレベルが十も高いんだし、楽しませてくれそうだ。

 そう、高速で思考し結論付けた俺は、ビシッと指を突き付けてくるヤマトに返事を返……と、その前に。



「おい、人に指をさすんじゃない。失礼だろうが」


「え、あ、す、すみません」



 俺の注意に、サッと手を引っ込めるヤマト。人の注意を受けてすぐに直せるその態度に好感を覚えた。うんうん、悪いヤツじゃないみたいだな。決闘を仕掛けてきた理由も、純粋に力試しとか? それとも、あれかな? 動画を見て戦ってみたくなったとか。どっちにしろ、悪感情から仕掛けてきたわけじゃないなら、うけるのはやぶさかじゃない。



「それで、決闘だったか? よし、やろうじゃないか。あんまり時間は取れないけどな」


「まぁ、いきなりこんなことを言われても受け入れがたいと思う…………って、いいのかよ!」


「? だからそう言ってるぞ?」


「もっとごねられるかと思ったけど、案外話が通じる人なのかも……。ご、ゴホン。そうか、ありがとう。すぐに始めたいけど……。あまり時間がないって言ってたけど、大丈夫なのか?」


「えっと、後十五分くらいなら。どこかに移動してやるって言うのは難しいな」


「それなら大丈夫。決闘システムはどこでも使えるからな。……え? というか、本当にいいの? なんか神官リューは絡んできたものは例外なく血祭に上げるって噂があるくらいだから、結構警戒してたんだけど?」


「誰だその噂流したの。というか、そんなことしないから。人を狂犬みたいに言わないでくれ」


「お、おう。あ、あと……お前と戦いたいのは、紅月の試練での戦闘を見て、実際に体験してみたかったからだ。それ以上でもそれ以下でもない」



 ……なんか俺、すっごい感動してるよ。最近、絡んでくるプレイヤーがおかしいヤツばっかりだったから、こういう普通の人が来てくれたことに涙が出そうだ。

 うん、というか、初対面の。それに年上の人にこの態度じゃまずいか。え? あのロリコンや高慢女? あんな連中に払う敬意なんて無いわ。そういや、誰にでも払う敬意ってのは、媚びだと思われるからやめた方がいいって教わったな。あれは……うん、おじさんか。あの人態度はいい加減だけど、いうことは大体正しいし、的を得ているから困る。



「……ヤマトさんでしたよね。すみません、年上の方にいろいろと失礼なことを」


「え、あぁ……。こっちこそ、いきなりこんなことを言って悪いな」


「いえ、ちょうど退屈していたものですので。それに、自分よりレベルの高い方と戦うのはいい経験になりそうですし。こちらからお願いしたいくらいです」


「……どうしよう。噂がまったくあてにならないレベルなんだが。礼儀正しいしこの子いい子なんじゃねぇのぉ……? いつも美少女に囲まれやがってこの野郎! っていう理由でいきなり決闘申し込んだのが申し訳なくなってきた……」


「どうかしましたか?」


「あ、いやっ! な、何でもない何でもない! あんまし時間ないんだろ? さっそくやろうぜ」



 ? 何やら顔を背けてブツブツ言っていたが、何だったんだろうか? ……まぁ、いいか。



「はい、やりましょ……」



 と、ヤマトさんに向かおうとしたその時、シャツの裾がくいっ、と引かれた。そして、それに重なるように、聞き馴染みの深い声が耳をうった。



「……リューにぃ? 何をやってるの?」


「あれ? サファイア?」



 後ろを振り返ると、そこに立っていたのはいつかのローブ姿ではなく、日常装備に身を包んだサファイアだった。袖なしブラウスに水色のスカートというシンプルながら、サファイアの魅力をよく引き出している。青いサイドテールを飾る黒いリボンがワンポイント。



「何をやってるかと言われると、簡単に説明できないんだが……。とりあえず、その服、良く似合ってるぞ」


「リューにぃも。やっぱりゴテゴテしてない方がかっこいい」



 出掛けるとき……というか、サファイアが私服で来た時は必ずやらされるやり取りを終え、ヤマトさんとのことを説明しようとしたとき、ガシッ! と肩を掴まれた。



「リュー……早く、やろうぜ?」


「あ、すみませんヤマトさん。サファイア、このヤマトさんって人が、俺と戦ってみたいそうでさ。そんなに時間取らないそうだから、少しまっていてくれるか?」


「ん。わたしもリューの戦ってるところ、見たい。かっこいいところ、見せてね?」


「まぁ、頑張るわ。悪いけど待っていてくれ。……すみませんヤマトさん。お待たせ……って、どうかしましたか?」



 振り返ってみるとそこには、まるで『この世のすべてを憎んでいます』とでも言わんばかりな形相を浮かべたヤマトさんがいた。な、なんか怒ってる?



「ふっふっふ……。礼儀正しいいいヤツだと思ったが……やはりお前はオレの敵……いや、オレたちの敵! 神官リュー! 貴様は俺が倒すッ!!!」


「えっと……。た、対戦、よろしくお願いします?」



 俺は、叩きつけるようにして送られてきた決闘の申し込みを、戸惑いながらも承諾した。


 

デート回です(きっぱり



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