表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソロ神官のVRMMO冒険記 ~どこから見ても狂戦士です本当にありがとうございました~  作者: 原初
一章 アヤメ登場編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/250

恐ろしや恐ろしや

「……おはよ、流にぃ……」


「ああ、おはよ……蒼が、俺に起こされることなく起きてきた……だと? 今日は洗濯物干すのやめとくか」


「その反応はひどいと思うの……」


「言われたくなかったら、普段から自分で起きろ。というか、目覚まし時計置いてあるのに何で起きれないんだよ。俺は無くても起きられるぞ?」


「……無意識のうちに、スイッチ切ってる、から」


「意味がないにもほどがある……。はぁ、とりあえず顔洗ってこい。もう少しで朝ご飯できるから」



 珍しく起こされることなく起きてきた蒼。目ボケ眼をこすり、ぼさぼさの髪をふらふらと揺らしている。

 いやはや、ホントに珍しいこともあったもんだ。蒼のヤツ、普段なら起こされてもかたくなに寝ようとするのに。それは、太陽も同じだけどな。

 俺の最近の日常の中で一番疲れるのが『蒼と太陽を起こすこと』だと言えば、二人を起こすことの大変さが少しは伝わるだろうか?


 まぁ、今日は蒼が起きてきてくれたので、敵は一人に減っている。俺は作り終えた朝食を机に並べると、エプロンを外し椅子に掛ける。戦闘準備は万端だ。


 さぁ、行こう。戦いの地(和室)へ―――!


 ガラリ、と引き戸を開け、物が散らばる太陽の部屋に侵入。部屋の中心に敷かれた布団には、気持ちよさそうな顔で寝こける太陽の姿。

 というかなんだこの汚部屋は……。ものの整理が全くされてないんだが。一回、暇を見つけて掃除せねば。




「おら、さっさと起きろこの寝坊助!」


「ぐぅ……。あと五分……」


「毎度毎度べたな返ししやがって……。おら、おーきーろー!!」


「まだだ……。まだその時ではない……」


「もうその時なんだよ! 起きる時間! 朝食が冷めちまうから早く起きてくれ!」


「負けぬ……。お、俺は負けぬぞ……!」


「……もう起きてんだろお前。早くしないと……お前の朝食だけ、レタスのみにしてやる」


「はい! 起きた! 起きました! だからレタスはやめて!?」


「相変わらずのレタス嫌いめ……。それと、寝坊助太陽にニュースだ。蒼は今日自分で起きてきたぞ? 妹に負けてることを自覚したらさっさと顔を洗ってこい」


「ば、馬鹿なッ!? あの怠惰の化身のような蒼が……?」


「……誰が、怠惰の化身か。アホ太陽」


「は! いつの間に……って、痛い痛い! ふむな! 兄を踏むな!」


「兄、だからこそ、踏む!」


「意味が分かんね……ぐへぇ!」


「うっわ、鳩尾に踵……痛そうだな。大丈夫か、太陽」


「だい……じょうぶ……じゃ……な……い………………ガクッ」


「勝った。いえい」


「いや、勝ったじゃないだろ。起こさなくちゃいけないのに、倒してどうする」


「……てへ?」


「てへ、じゃない!」



 ビシリ。可愛らしく小首をかしげる蒼の頭を平手でたたく。そして、せっかく起きたのに、また布団に突っ伏した太陽を見て、ペキポキと手を鳴らす。


 朝の空に、太陽の悲鳴が響き渡った。







「うう……。朝からひどい目に遭ったぜ……」


「太陽、ざまぁ」


「うっせえ! というか、蒼が鳩尾を思いっきり踏みつけたせいだろうが!」


「お前が自分で起きないせいだよ」


「うっ……。ごめんなさい」


「分かればよろしい」



 朝食を食べながら、泣き言をいう太陽をばっさりと切り捨てる。それを見てせせら笑う蒼。悪いが、お前も起きなかったら太陽と同じ目に遭ってたからな?

 

 その後は何事もなく、いつも通り朝食を食べ終わり、片づけをした。

 さて、今日はどうしようかな……。などと予定を考えていると、リビングのソファでダレていた太陽が「そういえば」とつぶやいた。



「昨日さ、生産ギルドの幹部が一人追放になったって話題が上がってきてな。アザミナとかいったっけ? しかもそのプレイヤー、ペナ子さんのお世話になったそうだぜ? 大幅なレベルダウンにスキル剥奪。あと、報酬の発生しないクエストを強制的に受けさせられたってよ」



 はて、アザミナ……? どこかで聞いたことのあるような……? 生産ギルドの幹部ねぇ……。うーん、何だったっけ? まぁ、思い出せないということは、何かの勘違いだったのだろう。うんうん、俺には全く関係ないことだな。



「流にぃ、『アザミナ? 何それ美味しいの?』みたいな顔しない」


「え? 流がまた何かやったのか?」


「流にぃが昨日絡まれてた」


「おー、流石だな流。トラブルに愛されてるぜ」


「まったく嬉しくないがな」



 というか、あの高慢女もペナルティを受けたのか。それも、俺が受けたペナルティとは比べ物にならないほどのものを。

 


「アザミナってプレイヤーは、昨日流にぃがやられていたようなことをいろんなところでしてた。普通のプレイヤーは生産ギルドに逆らおうとは思わないから、大体が泣き寝入りしてたらしい。けど、昨日流にぃの掲示板に上げられた動画を見て、そういうプレイヤーたちが一斉に運営に通報したらしい」


「ちょっと待て、俺の掲示板ってなんだ!」


「……流にぃは、見ない方がいいと思う、よ? 知らない方が、幸せ」



 なんだそれは……。と俺が呆然としていると、太陽が生暖かい目で肩を叩いてきた。イラっとしたので肘を叩き込んでおく。



「ぐふっ……。そ、それにしても、そのアザミナとかいうヤツ、このままだと流に復讐しようとしてくるんじゃないか?」


「その時は返り討ちだな。一切合切を砕いてやる」


「おっそろしいなぁ……。まぁ、それもアザミナってやつが、FEOをやめないとも限らんしな。ギルドから除籍させられて居場所を失っただけじゃない。レベルダウン、スキル剥奪ってのは、いままで積み上げてきた時間を失うことに等しい。過去に消費した時間はもう絶対に戻ってこないからな。ゲーマーからしたら、地獄以外の何物でもないぜ」



 いつになく真剣な声音でそうつぶやく太陽。俺はこいつほどゲームにのめりこんでいるわけではないのでよくわからないが……。あれか? 頑張って掃除した綺麗にした場所を一瞬で汚された時に感じる喪失感、みたいなものなのだろうか?



「ふーん、そう言うものなのか?」


「ん、そんいうもの。流にぃも、正座ですんでよかった」


「……まて、なんで蒼がそれを知っている? 俺は一言も昨日のことを話していないはずだが?」


「……勘?」


「ンなわけあるか! てか、そんなことまで書かれてるのかよ、俺の掲示板とやらは!」



 俺からしたら、ペナルティよりも、そっちの方が恐ろしいよ!

感想、評価、ブックマを付けてくださっている方々、本当にありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ