ロリコンを撃退しよう!!
タイトル通りです。ロリコンって怖いですよねー。
……どうでもいいですけど、私、今季アニメの中では『天使の3P』が一番だと思うんですけど、皆さんはどうですか?
「えー、ゴホン。すまない、少々興奮しすぎてしまったようだ」
「……少々?」
何でもないように立ち上がり、白々しくそう言うロリコン野郎に、思いっきりジト目を向けた。てか、結構
強めに蹴り飛ばしたはずなんだがな……って、街中だとダメージは全部カットされるんだったな。
「うむ、吾輩の名はジェトル。ギルド【紳士の集い】のギルドマスターを務めているものだ」
「誰もお前の名前なんて聞いてないんだよ変態。というか、早くどっかに行けよ変態。お前がいるとアヤメがずっと怯えたままだろうが。で、どっか行ったら二度と俺らの前に姿を現すな変態」
「そうです。通報されたくなかったらおとなしく帰ってください変態」
「………………(しっしっ)」
やたらと芝居がかった仕草で自己紹介を始めたロリコン野郎に、そろって全力で拒絶の意志を示す。アヤメなんか、近づいてきたコバエを追い払うように手のひらで『しっしっ』とやっていた。虫扱いとか……完全に嫌われてるな。
だが、ロリコン野郎は全く堪えた様子もなく、それどころか俺たちの罵倒を受けて顔を赤くしてハァハァいいはじめた。
何だこの汚物は。ロリコンでドMとか救いようがねぇな。
「……じゃあ、俺たちはこの辺で失礼する。二度と会わないことを祈ってるよ。じゃあな。……というわけで、行こうか、二人と……」
「待ちたまえッ!!」
「やだ。絶対にヤダ。オマエにかかわるとか死んでも嫌だ」
「おふぅ……。な、なんと強烈な拒絶……。だ、だが、この程度で吾輩を屈服させることができると思ったら大間違いだ!」
「どうしようこの変態人の話聞いてくれない……」
死んでも嫌と言われてちょっと嬉しそうにしているおっさんとか、精神的に辛すぎる。それに、アヤメの教育的に最悪なのでさっさと帰りたいです。
くそっ、こういう輩は自分の話を聞かせるまでは絶対にひかないタイプだ。非常に、ひっじょ~う、に不愉快だが、話だけ聞いてやろう。話しだけ、話だけ、な。
「おい、ロリコンマゾ変態クソ親父…………あっ」
「ほぉおおおおうっ! な、なんと容赦のない……ッ! くっ、だ、だが……、まだまだ吾輩を屈服させるには足りんぞ……ッ!」
しまった、思わず見たままの印象を言ってしまった。この変態を喜ばせるだけだとわかっていたはずなのに……。完全に俺のミスだ。見ろ、アッシュの変態を見る視線が、完全に汚物を見るそれになっている。
さってと、どうしようか……。アヤメがすでに変態を視界に入れたくないのか、俺のみぞおちあたりに頭を押し付けている。大変可愛らしいのだが、鳩尾をぐりぐりされているというのが落ち着かない。現実だったら悶絶もんだぞこれ。
「なッ!? び、美幼女に抱き着かれて……ッ!? ……お、落ち着くのだ吾輩。仲の良い関係性だろうというのは明白だったであろう……。……ふぅ、よし。さて、リューとやら。その可愛らしいお嬢さんは一体何物なのかね? アイコンの色的にプレイヤーでもNPCでもモンスターでもないのは分かるのだが……」
「アイコン……? ああ、そういえばアヤメのだけ色が違うな。気が付かんかった」
アヤメの頭上を注視すれば、初めてみる白色のアイコンが出てきた。これが使い魔を現すアイコンなのだろうか?
変態ロリコンもアヤメの頭上を……いや違う。こいつただ単にアヤメの全身を舐めまわすように見てるだけだ。無駄に真剣な目をしていると思ったが、要は変態行為にいそしんでいたってことね。
とりあえず、アヤメを変態ロリコンの視線から遮るように背後に移動させる。変態ロリコンから「あぁあああああああああッ!!??」と悲痛な叫びが上がるが、無視。
「さっきの質問の答えだがな、アヤメは俺の使い魔だ。俺のスキルで召喚した、俺の使い魔」
「使い魔……だと? それはあれか? サーバント的なあれなのか? 幼女を使い魔に!? それはもうあれではないか。マスターの権限を行使して恥ずかしいあーんなことやこーんなことを無理やりやらせて赤面&涙目で恥辱に耐える姿を楽しんだ後にその青い果実を存分に堪能するという薄い本的なシチュエーションッ!! 『やめてくださいご主人様……。恥ずかしいよぉ……』『ふふっ、ダメだよ。これは命令だ』的なあれではないかァアアアアアアアアアアアアッ!!!???」
もう手遅れだよこの人ッ!?
訳の分からない……というか、分かりたくないことを早口でまくしたてながら血涙を流して俺を睨んでくる変態ロリコン。
「貴様ッ!! そんなうらやま……け、けしからんことをッ! そんなの、そんなの……滅茶苦茶羨ましいではないかッ!! どうやったら幼女を使い魔に出来るんですか教えてくださいこの通りですぅううッ!!」
いきなり地面に這いつくばったかと思えば、額を地面にこすりつけたままカサカサと寄ってくる変態。その動きと黒い燕尾服が合わさって完全にごきぶ……。これ以上はやめよう。
「最後全く本音が隠せてねぇ!? というかこんな人通りの多いところで土下座するな近寄ってくるな動きが気持ち悪いんだよいやほんとマジでやめていやぁーーーーーッ!!」
動きが本当に気持ち悪すぎて、思わず目をつぶって悲鳴を上げる俺。
「フハハハハッ! 吾輩の十八番スキル《変態機動》にかかればこの程度…………ぼげはッ!!??」
気持ち悪い高笑いと共に這いよってきた変態が、突然潰されたガマガエルのような声を上げた。な、何なんだいったい……?
恐る恐る目を開けると、石畳の上に四肢を投げ出した変態と、その近くで拳を振り下ろした体勢で立っているアヤメの姿……。
これは、アヤメが俺を守ってくれたのか……? アッシュの方を見れば、驚いたように目を見開きアヤメを見ている。間違いないようだ……。
アヤメは残心を解くようにゆっくりと拳をほどくと、くるりと俺の方に振り向いた。表情は相変わらずに動かないが、狼耳はぴこぴこ、尻尾はフリフリ。無言で伝わってくる『やったぁ!』という感情に……俺は、思いっきりアヤメの小さな体を抱きしめていた。
「アヤメぇーーーッ!! ありがとうーーーっ!! ほんっとに助かったーーーッ!!」
「………………(ふんす)」
俺の腕の中で、アヤメが尻尾を『どうだ!』とでも言いたげに尻尾をピンっと伸ばす。いやもうっ、最高だよアヤメ! よくやってくれたぜ!
そのあと、人目も気にせずにアヤメをなでなでしまくっていた俺は、アッシュに声をかけられて我に返り、そそくさとその場を離れることとなった。さすがに周りの目が痛かったです。
……アヤメの拳で沈められた変態の表情が『我が世の春ッ!』とでも言いたげな、幸福感あふれるものだったのは、見なかったことにしよう……。
この出来事で、俺は『ロリコンをロリで撃退させたロリコン』だの『最終鬼畜神官ロリコン』だの『同類殺し』だの言われ、頭を抱えることになるのだが……。この時の俺は、変態から逃げられた安堵でそんなことを考える余裕などなかったのだった。
……俺は、ロリコンじゃなぁあああああいッ!!
一方そのころ、|ロリコンマゾド変態野郎は……。
「ハァハァ、アヤメちゃんの拳……。ハァハァ……」
『プレイヤー名:ジェトル。他のプレイヤーへの迷惑行為により通報されましたので、処罰を与えます。判定、レッドに限りなく近いイエロー。ペナルティーによって強制ログアウトの刑及び三日間のログイン禁止の刑に処します』
「どわっはいッ!!? な、ペナ子さんだとうッ!? い、いったい誰が……。というかごめんなさいすみませんでしたもうやりません許してくださいッ!」
『拒否します。おとなしくお縄につきなさい』
「そ、そんな……」
『それでは、リアルでゆっくり頭を冷やしなさい。ジャッジメントスキル《天罰執行》』
ばしゅんッ! ちゅっどーーーーーーん!!
「ぎゃぁあああああああああああああああああああああああああああああッ!?!?」
『悪は滅びました。ではこれで』
一方そのころ、ストーカ……パパラッチは……。
「ふぅ、いやぁ、ジェトルさんがロリコンだってことは周知の事実だったけど、あんなにぶっ壊れるのは初めて見たね。面白かったけど、ボクのリューくんを困らせすぎだったからお仕置きだよ。……それにしても使い魔に幼女かぁ。これはまた、いいネタになりそう♪」
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