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ソロ神官のVRMMO冒険記 ~どこから見ても狂戦士です本当にありがとうございました~  作者: 原初
一章 アヤメ登場編

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変態紳士、推参! 呼んでないからお帰り下さい

 アッシュに装備製作の依頼をした後、俺たち三人はドゥヴィレの合同生産場を目指して歩いていた。活気に包まれた街並みを歩くと、それだけでこちらも楽しい気分になってくる。アヤメは相変わらずの鉄面皮だけどな。


 この時、俺もアッシュもこの後に起こる、世にも恐ろしい出来事のことなど、全く知らなかった。



「それで、リューはどんな装備がいいんですか? 能力値とか追加効果とか、スキルレベルが上がって来たのでいろいろとつけることができますけど」


「うーん、STRとAGIは武器で何とかなってるから……。普通にDEFとMINDが上がれば十分かな? 追加効果は特に希望は無いな。アッシュ、オススメとかあるか?」


「うーん、回復魔法効果上昇とか、補助魔法持続時間上昇とかですかね? それ以外だったら、MP回復速度上昇やMP消費量削減なんかもありますけど……」


「お、MP関連の追加効果があるのか。じゃあ、それでお願いしようかな。で、アヤメの防具だけど、DEFはそこまで上げなくてもいいから、AGIとINTを重視した感じの装備に出来るか? STRは武器で何とかすればいいだろうし」


「AGIとINTを重視ですか? それ、もう防具じゃないです。……まぁ、やってやれないことは無いので、そんな感じでやってみます。それにしても、アヤメちゃんの装備かぁ……。どんなのにしようかなっ?」


「……楽しそうで何よりだ」


「感謝しますよリュー。こんな可愛い子の服を作れるなんて、職人冥利に尽きます! アヤメちゃん! アヤメちゃんはどんなお洋服が着たいのかな!?」


「………………(さっ)」



 鼻息の荒いアッシュに詰め寄られたアヤメは、驚くほど俊敏な動きで俺の陰に隠れる。服の裾をギュッとつかみ、尻尾を警戒に逆立てている姿はとっても愛らしい。

 警戒心満載なアヤメの頭をなでて落ち着かせながら、まるで恋人に捨てられたときのように「アヤメちゃ~ん」と情けない声を上げているアッシュに苦笑を漏らす。もはやアッシュはアヤメの虜のようだ。

 アヤメの可愛さは、ちょっと尋常じゃないレベルだからな。ちっちゃくてケモ耳で、表情は動かないけど、俺が頭をなでてやると嬉しそうに尻尾をパタパタとさせるのとかホントたまらない………って、俺も十分魅了されてますね。

 一応ステータスをチェック。うん、魅了状態になってるわけではない。こんな日常的にアヤメの《魅了》スキルがバラまかれていたら、大変なことになりそうだもんな。

 魅了されたロリコンどもが大群を成して襲い掛かってくるという最悪な状況が頭の中に思い浮かび、思わず頭を抱えそうになってしまった。そんな状況になったら、俺はなりふり構わず逃げるからな。


 今でさえ、時折妖しい視線をアヤメに向けるやべぇやつらがちらほらいるのだ。……うん、注意して進もう。ロリコンにからまれるのは勘弁してほしい。




「美幼女の気配がするではないかッ!!!」




 ……勘弁してって言ったじゃん。言ったそばからこれってひどくない?



「どこだ!? この近くにいることは間違いない……ッ!!」



 どこからともなく現れたのは、ピシッとした燕尾服に身を包み、シルクハットをかぶりモノクルを付けるという、英国紳士見たいな恰好の男。血走った目であたりを見渡すその姿からは、鬼気迫るものを感じる。いや、鬼気というより邪気だな、これ。

 だが、最初に口走った言葉がその男の正体を何よりも雄弁に語っていた。


 すなわち。―――こいつ、ロリコンです。と。


 

「むッ……! そ、そこかァアアアアアアッ!!!」


「ひっ!」


「………………(ふるふる)」



 気付かれたッ! と思った瞬間には、その男は俺たちの至近距離に接近していた。その変態染みた動きに、アッシュは引き攣った声を上げ、アヤメは小さく首を横に振っている。



「うおぉおおおおおおおおおお!? す、素晴らしい! 完璧な美幼女だ! こ、これほど完成されたロリっ子を見るのは、吾輩の長き紳士人生の中でも初めて……ッ!! お、お嬢さん! お名前をお聞きしてもよろしいでしょう……」


「黙れ気持ち悪いどっかいけこの変態ッ!!」


「うぼぁあッ!!?」



 あ、やっちゃった。


 血走った目を爛々と滾らせながら、アヤメに近寄ろうとしていた変態野郎を、反射的に蹴り飛ばしてしまった。う、うん、何か命の危機すら感じたし、このくらいは仕方がないよね?



「……死にましたか?」


「いや、生きてるから。ちゃんと生きてるからね?」


「そうですか……。では、止めを刺してください。アヤメちゃんに危害を加えようとする変態なんて、死んでくれて結構です」


「まぁ、否定はしないけどさ……。っと、アヤメ、大丈夫だったか?」


「………………(ぎゅっ)」


 

 男に近づかれたことがよっぽど怖かったのか、アヤメは俺に抱き着いてくる。尻尾も完全に畳まれてしまっている。


 俺は、アヤメの頭を安心させるようになでながら、蹴り飛ばされて石畳にダイブした変態ロリコンを見下ろし、大きくため息を吐いた。

 

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