今度こそ召喚魔法、そして結果は……ジャガジャン!
やっと【サモン・サーバント】に行けたぜ………。
ところは変わらず『静かなる草原』のボスエリア。ここから北に進むとその先がドゥヴィレに続いている。この場に俺とアッシュが残っている理由は、俺がかんっぜんに忘れ去っていた召喚魔法の実演をするためである。【召喚『サラマンダーの吐息』】は戦闘中しか使えない魔法なので、今回試すのは【サモン・サーバント】の方である。
【サモン・サーバント】。その名の通り、使い魔を召喚する魔法である。この場合の使い魔というものは、言うならば使い魔NPCとでも言うべきもの。ちゃんと自意識があるので、俺の命令に従順な人形を創り出す魔法ではないらしい。
で、この魔法の発動方法なんだが。どうやら、最初に使い魔を呼び出すときに限り、魔石を使用するらしい。
魔石って何ぞや。という感じだった俺に、呆れた感じでアッシュが説明してくれたところによると、どのモンスターからも低確率でドロップする装備の強化なんかに使われるアイテムなんだとか。自分のアイテム欄をあさってみたら、結構な量が転がり出てきた。
というか、アイテム欄が素材で乱雑し過ぎなんだよな。ディセクトゥムと戦ったときに、前哨戦として行った獣軍との戦い。あれで手に入れた素材がアホみたいな量になっている。さっさと在庫処分をしたいです。アイテム欄見にくい。
目立つところでは、[ディセクトゥムの魔石]、[ゴブリンジェネラルの魔石]、[フォレストビーストの魔石]、あと、さっきのウサギ野郎、[ラージラビットの魔石]もあった。それ以外に、[リリスの魔石]という見覚えのない魔石もあった。どうやって手に入れたのだろうか? ……あ、そっか。PK集団をボコった時にドロップしたのかも。確かPKを討伐するとそいつが持ってたお金の半分とアイテムをランダムで数個手に入れることができるというシステムだったはず。
「というわけで、【サモン・サーバント】、行ってみよー!」
「お、おー?」
さっきのミスをごまかすようにテンションを上げてそう宣言する俺に、律儀に付き合ってくれるアッシュ。本当にいい子だ。中二病疑惑があっても、いい子には変わりない。
「それで、いったいどんな使い魔が出てくるんですか?」
ちょっとわくわくした様子で聞いてくるアッシュ。けど、その質問には答えられそうにない。なぜなら……。
「うーん、この魔法で出てくる使い魔って、完全にランダムに決定されるみたいなんだよな。だから、どんな使い魔が出てくるかは、使用者である俺にも分からない」
「なるほど……。使い魔ガチャ、というわけですね」
「うん、間違ってはいないんだけど……。その言い方、何か引っかかる。というか、アッシュってソシャゲとかもやるんだ。うちもアポロのやつが一時期嵌ってて、ガチャを引いては欲しいのが出ない! って嘆いてたな」
「ええ、携帯でできるゲームを少し。ガチャは……大丈夫です。私は無課金主義者。そう、無課金……む、無理のない、課金……」
「いや、それ完全にアウトなヤツだからな?」
うん、アッシュとサファイアが仲良くなれた理由が分かった気がするぞ。二人ともオタク趣味でゲーム好きで……そんでもって、二人ともどこか残念な感じがする。要するに、似た者同士だったってわけか。納得しました。
「さてと、じゃあさっそくやってみようか」
「はいっ! どんな使い魔さんが来るんでしょうか? 動物? モンスター? うーん、できれば可愛い子がいいです」
「俺はかっこいい方がいいんだが……。ま、変なのじゃなきゃなんでもいいか」
俺が可愛い動物とか連れてるとか何の罰ゲームだよ。……まぁ、肩に子猫とか乗せてみたいという願望がないのかと問われれば、『……否』と答えるだろうけど。
さて、そんな話は置いておいて、さっさと召喚してしまいましょうか。
息を整え、心を落ち着かせるように一度目を閉じ、数秒待ってから、開く。
―――詠唱、開始。
「『我望む、我と共に歩むものを。我望む、我が剣となり盾となるものを。我望む、我に付き従う者を』」
詠唱と共に、俺の眼下に現れる魔法陣。大きさは直径二メートルくらい。複雑で精緻な模様が描かれたそれは、淡く光を放っている。
「『我が元に来たれ、我の配下にして友となりし者よ。汝に我が魔力を与える』」
そう読み上げた瞬間、体からものすごい勢いで力が抜けていく感覚が。MPがどんどん魔法陣に吸い取られていく。ふらつきそうになるのをこらえて、アイテム欄を開き、まとめておいた魔石を……すべて魔法陣にぶちまけた。
「『魔なるもの因子を取り込み力と変え、我が魔力により親和せよ。そして我が導きに従い、虚ろなるその身を常世に写し、我が眼前に顕現せよ』」
魔石も魔法陣に取り込まれ、魔法陣からあふれる粒子が最高潮になっていく。やがて、魔法陣が複数に分裂し、複雑に絡み合い立体を創り出す。その中には、光の粒子で編まれた何かがいる。
直感で分かった。あの何かこそが、俺の使い魔になる者。
「よし、来い! 【サモン・サーバント】ッ!!」
最後に魔法名を唱え、この魔法は完成する。俺の最後の言葉と共に、魔法陣の輝きはその強さを増し、やがて閃光となってあたり一面を染め上げた。
あまりのまぶしさに目を閉じる。そして、瞼の上から感じる光が収まったところで目を開け、魔法陣があった場所に再度目を向ける。そこには、一つの影があって……。
「………………………………ん?」
「………………………………おや?」
その姿を確認した俺とアッシュの口から、そんな間抜けな声が漏れた。いや、だって、そこにいたのは……。
「…………獣人の、お、女の子?」
どこからどう見ても、ケモ耳少女だった。
感想、評価、ブックマを付けてくださっている方々、本当にありがとうございます。
そして、私とうとうレビューがもらえました! レビューを書いてくださった『鰻重特盛』さんに最大限の感謝を! 本当に本当に、ありがとうございました! これからも頑張って書かせていただきますっ!!




