アッシュの頼み事
糖度上げたらめっちゃ感想来た。
これからもちょくちょく糖度回をやりたくなって来ますね(単純バカな作者でスマン)。
アッシュだけじゃなくて、蒼やアウラ……そして、まだ見ぬヒロインたち……。
言っておきますが、太陽と流のイチャコラとかは存在しません。絶対に、ええ、絶対に……ッ!
「………………むぅ」
「どわッ!? おいサファイア! なんか魔法の威力がオーバーキル気味になってんぞ!? 危うく巻き込まれるところだったわ!?」
「…………【タイダルウェイブ】。………………【エクストリームコールド】」
「え、ちょ、そ、それは洒落にならなッ!?」」
「……リューにぃが、いちゃついてる気がする……。……………むぅ、《魔法合成》、【フロストサーペント】」
「ぎゃぁああああああああああぁぁぁぁぁぁぁああああッ!!!?」
……FEOのどこかのフィールド。
そこでは、『リューにぃせんさー』でリューとアッシュの糖度全開のやり取りを敏感に感じ取った蒼色のお姫様が、嫉妬に燃えながら放った極大魔法に、哀れな騎士王様が巻き込まれていたとかいないとか……。
「むぅ、りゅーにぃのばか」
「……………な、なんで俺がこんな目に…………ガクッ」
……なんか、背筋に悪寒が走ったんだけど……。うん、まぁ気のせいだろう。
「さてと、じゃあ本題に入るか。えっと、お願い事がある……んだったか?」
「その通りですけど……。うう、は、恥ずかしいこといっぱい言って話そらしたの、リューじゃないですか」
「いや、本当に。それは悪かった」
あはは……。うん、思い返しただけで顔が赤くなりそうなこと言ってたよな、俺。まぁ、目の前に俺以上に照れてるやつがいるおかげで、表情に出さずに済んでるけど。
アッシュが照れまくってたのは完全に俺のせいなので、誠心誠意心を込めて謝罪する。
「……別に、謝らなくてもいいですよ。リューが私を辱めようとしたとか、そんなことは思っていませんので。なんとなくですけど、私のことを元気づけようとしてくれたんですよね?」
「まぁ、その通りなんだが……。面と向かって言われると、結構恥ずかしいな」
「ふふっ、私がさんざん恥ずかしい目にあったお返しですよ」
柔らかく微笑みながらそんなことを言ってくるアッシュ。俺は、なんとなく、そのまま顔を合わせているのが気恥ずかしくなり、ふいっ、と顔をそらす。さらっとそういうこと言うのは、何かずるい。
「……それで、お願いって言うのは一体なんなんだ?」
「あ、そうでした。そのためにわざわざ来てもらったんですよね……。えへへ、忘れてました」
「おいおい」
「それでなんですけど、リューには、私の護衛をしてもらいたいんです」
「護衛? それは、俺がアッシュを守りながら、どこかに連れていくってことか?」
「はい、目的地は第二の町にして、職人街と呼ばれる『ドゥヴィレ』です」
「『ドゥヴィレ』か……」
『ドゥヴィレ』。
初心者フィールドのいずれかのボスを倒すことで行けるようになる第二の町。その通称は、今アッシュが言ったように、『職人街』である。
なぜ、第二の町がそんな風な通称で呼ばれるようになったのか。聞いてもいないのに太陽のやつがべらべら話してくれた情報によると……。
ドゥヴィレには、始まりの町とは比べ物にならない数の共同生産場があり、さらに周りのフィールドにある素材の採集ポイント(そこで採集用のアイテムを使うことで素材を手に入れることができるポイントのこと)数がすごいらしい。
この町が解放された当初は、まだ生産職の数が多くなく、アイテム不足のような事態が巻き起こっていたらしい。
そんな中、運営がアップデートと共に開催した『アイテム品評会』というイベント。これが日陰者だった生産職に火をつけた。自分が創り出したアイテムを一種類登録すると、それがコンテストに掛けられ、全プレイヤー+NPCの投票によってトップが選ばれるというイベントだ。
このイベントで、その当初はまだ発見されていなかった属性武器にて見事優勝を飾った一人の生産職プレイヤーは、優勝商品である『個人フィールド所有権』を使って、『生産ギルド』を創り出し、多くの生産職たちがそこに所属するようになった。この生産ギルドの発足から、徐々に生産職は増えていったらしい。
『エラージメント・クリエイターズ』。誰が言い出したか、そんな名称で呼ばれるこの出来事は、生産職プレイヤーたちにとって大きな転機になったとか。
その生産ギルドがあるのがドゥヴィレであり、生産職からは聖地的な扱いを受けているらしい。
以上、太陽からの情報でした。
「ドゥヴィレに行くということは、アッシュは生産ギルドに入るつもりなのか?」
「あ、いえ。それはまだ決めていません。けど、初心者フィールドで採れる素材で作れるアイテムはほとんど作り終えてしまいましたので、もっといろんな素材で、いろんなものを造ってみたいなって思ったんです」
「なるほど……。まぁ、それはいいとしてだ。ドゥヴィレに行くのに護衛なんて必要か? アッシュのレベルは……14か。十分にボスを倒せるだけの力はあるんじゃないか?」
「……いえ、私、戦闘系のスキル《武器使い》しかもってなくて、残り全部生産に関係するスキルだけです。初心者フィールドに出てくる普通のモンスターなら倒せるんですけど、ボスとなるとちょっと……。一応、挑んではみたんですよ? でも、あっさりやられちゃって。レベルを上げようにも、初心者フィールドだともう経験値がほとんど……」
「そういうことか。了解した」
「っ! じゃあ……」
「ああ、ドゥヴィレまでの護衛を引き受ける。道中のモンスターだろうとボスだろうと、アッシュに傷一つつけさせないように守ると約束する」
「うっ……。そ、そういう恥ずかしいことを、よく臆面なく言えますね……本当に」
「? 別に恥ずかしいことを言ったつもりはないんだが……」
そう言ってみたが、赤くなったアッシュはジト目を向けてくるばかり。とりあえず、今度から気を付けるということで許してもらった。
今日はもうログアウトしなくてはいけない時間だったので、護衛任務は明日ということに。
……どうでもいいけど、パーティー行動ってこれが初めてだな。MMORPGなFEOでどんだけ孤独だったんだよ、俺。
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