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ソロ神官のVRMMO冒険記 ~どこから見ても狂戦士です本当にありがとうございました~  作者: 原初
四章 初イベントと夏休みの終わり編

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リバイブ・オブ・ディスピア 決戦2

はい、更新です。

一回、書いてた分が半分くらい吹き飛んで泣きそうになったけど、何とか復活させました。

 トップギルドの参戦で、戦いの均衡はプレイヤー側に傾きつつあった。

 【クラフト】の製作した大砲やバリスタといった兵器による長距離攻撃は、ピンポイントで上位アンデッドへと降り注ぎ、確実なダメージを与えていく。

 【ワールドフロンティア】のメンバーは、統率の取れた連携を駆使し、ピンチに陥っているプレイヤーたちを救っていた。

 【ソロモン】の魔法使いたちは、上空のモンスターへとひたすらに魔法を叩き込み続け、飛行可能なモンスターに制空権を握られるのを防いでいる。

 【ヴァルハラ】に所属する神官や僧侶は、とにかく傷ついたプレイヤーのHPを回復し、補助魔法を切らさないように立ち回っている。

 【フラグメント】の面々は、他のプレイヤーでは手こずるような強いモンスターに率先して向かっていき、流石の連携でそれらを撃破していく。

 そんな彼らの活躍に鼓舞されるように、それ以外のプレイヤーたちも気炎を上げて戦い続ける。


「おりゃぁ! せぇい! とりゃー!」


 気の抜ける掛け声と共にアポロが斬撃を三度放つ。袈裟斬りで飛びかかってきたグールへカウンターを合わせ、横薙ぎでその後ろにいたゾンビとスケルトンを両断。最後に背後へ振り返りながら放った唐竹割りでレイスを一刀両断する。


「まだまだぁ! 【シールドバッシュ】!」


 さらに、スケルトンソルジャーへ盾での打撃を加え、その体をバラバラにした。

 そんなアポロへと、リッチの魔法が飛来する。濃紺色の球体は、バッドステータスを引き起こす闇属性の魔法。


「あめぇぞ! 【ミラーシールド】!」


 アポロは放たれた魔法へと盾をかざし、アーツを発動。即座に展開された透明な壁が、闇の球体の侵攻を阻み、数瞬の拮抗の末、魔法を放ったリッチへと反射した。


「ハッ、そのくらいで俺の防御を抜けると思うんじゃねぇ! お返しだ、【オーラブレード】!」


 自身の魔法を食らってふらつくリッチへ、アポロは斬撃を飛ばす。赤色のオーラが三日月状となり猛進し、リッチの身体を引き裂いた。その一撃でHPを全損させ、光の粒子となるリッチ。


「ったく、リューとサファイアの鬼畜コンビに比べたら、イージーモードもいいところだぜ」


 リッチを倒した後も次々と襲い来るアンデッドを的確に捌きながら、アポロは独り言ちる。魔物の猛攻をまるで柳に風と受け流し、食い止め、押しのける。

 その姿は威風堂々。普段のおちゃらけた雰囲気は見る影もなく、威厳すら感じられる様は、見るものに希望を抱かせる光の如く。

 まさしく、【陽光の騎士王】の二つ名に恥じないものだった。


「せいっ……リューはまだグラシオンとドンパチしてて……他のやつらどこ行った?」


 飛びかかってきたスカルビーストを叩き潰したアポロは、きょろきょろとあたりに視線を巡らせる。

 先ほどからモンスターに囲まれ続けているせいで、ギルドメンバーと引き離されてしまったアポロ。それでやられるほど柔ではないが、一人で戦うより大人数で戦ったほうが効率的なのは戦いの理。合流を優先するのは当たり前ともいえる。

 ……まぁ、何事にも例外(リュー)はいるのだが。

 辺りを見渡すアポロの視線の先で、大量の水が天へ向かって吹き上がった


「……あそこか」


 遠目にも分かりやすいそれが、妹の得意魔法の一つだと瞬時に見抜いたアポロは、そちらに向かって進みだした。


「【ノア・フラッド】」


 蒼き宝玉輝く長杖を振りかざしたサファイアが、ポツリと静かに呟いた。

 淡々とした言葉とは裏腹に、放たれた魔法は大規模なものだった。

 大地がひび割れ、そこから大量の水が噴き出す。水の柱に飲み込まれたアンデッドたちは天高く舞い、水流の衝撃でバラバラになった。

 しかし、この魔法の真価はここからだった。

 水の柱が現れた影響で、サファイアの周囲の大地が陥没し、そこに水が溜まっていく。それがどんどん広がり、小さな湖のようになった。

 深さは、成人男性の腰の高さほど。地上にいる敵は動きがかなり阻害されている。なお、周りのプレイヤーは水柱が上がった時点でサファイアの周囲から退避している。


「ん、【アクアバインド】、【ウォーターランス】」


 湖の中央で、水面に立つサファイアから、矢継ぎ早に魔法が放たれる。

 サファイアが創り出した湖に飲み込まれたモンスターに、水の触手が絡みつき拘束。そして動けなくなったところに水面から突き出した水の槍が飛び出し、モンスターを串刺しにしていく。

 【ノア・フラッド】。小規模な洪水を起こし、湖を創り出す魔法。その湖の中では術者と味方の水、氷魔法の威力や消費魔力に補正がかかるという、フィールド型の補助魔法だ。

 つまりこの湖は、すでにサファイアの支配域。捕らえられた者に待っているのは、蒼き断罪。


「ガァアアアアアアアアッ!!」

「……無駄」


 哀れな罪人がまた一人、処刑場に足を踏み入れた。

 咆哮を上げ、サファイアに向かって猛進するは、巨大なアンデッド。全長三メートルの肥大した肉体、継ぎ接ぎの皮膚、頭に刺さった幾本もの鉄杭、虚ろな表情、手にした肉厚な鉈。

 ファンタジーゲームじゃなくて、銃でゾンビを射殺するゲームに出てきそうなアンデッドモンスターは、重鈍そうな見た目とは裏腹に、俊敏な動きでサファイアへと襲い掛かった。

 出てくるゲームを間違えているアンデッドをちらりと一瞥したサファイアは、巨体の怪物が迫っているという状況にも関わらず顔色一つ変えず、トン、と杖の石突きを水面に突き立てた。


「――――【タイダルウェイブ】」


 次の瞬間、サファイアのすぐそばの水面に魔法陣が浮かび上がり、そこから太さ五メートルほどの水流が飛び出した。

 その水流……否、激流と呼ぶべき魔法は、アンデッドモンスターに激突し、その巨体を吹き飛ばした。

 勢いよく吹き飛んだアンデッドモンスターが、宙を泳ぐ。

 それに向けて、サファイアが杖を構え、詠唱(ことば)を紡ぎ出す。


「『汝、永久凍土に住まいし白銀の竜。万象凍てつく息吹よ、絶対零度の地獄を成せ』」


 構えた杖の先で、蒼き宝玉が光り輝く。それと同時に、青白く輝く魔法陣が展開された。

 魔法陣は勢いよく回転を始め、その中央に白銀の魔力が集まっていく。

 集まった魔力は球体になり、輝きを増していく。

 そして、その輝きが臨界点に至ろうとしたところで……サファイアは、くすりと小さな笑みを口元に刻んだ。

 

「【白銀竜の氷極砲(フロスト・ブレス)】」


 閃光が走る。

 サファイアの一言を引き金(トリガー)に、魔法陣の中央に集まっていた魔力が砲撃となって撃ち放たれた。

 白銀色の奔流は、空中のアンデッドモンスターに突き刺さり、その巨体を瞬間冷凍する。継ぎ接ぎの肌が白い靄に覆われ、次第に氷の結晶に包まれる。

 そして出来上がる、不細工な氷像。それは重力に引かれて落下し、湖面へと叩きつけられる……寸前に、サファイアの放った氷弾に撃ち抜かれ、粉々に砕け散った。

 

「……ん、今日も《砲撃魔法》は絶好調」


 鮮やかな魔法行使をして見せたサファイアは、機嫌よさげにそう呟く。

 《砲撃魔法》は、リューからプレゼントされたスキル。だからなのか、サファイアはこの魔法を使って勝負を決めることを好む。

 

「ふふっ♪」


 笑みを浮かべながらも、魔法を放つ手は止めないサファイア。

 舞うように歌うように、湖上で戦うサファイアの姿は、【魔導蒼妃】の名にふさわしいものだった。

 

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