リバイブ・オブ・ディスピア 決戦1
遅くなりました!
さて、ラストバトル開始です!
「「「「「「うぉおおおおおおおおおおお!」」」」」
号砲、絶叫、雄叫び。
土埃を巻き上げ、靴音を高らかに鳴らしながら、闘志を漲らせたプレイヤーたちが、アンデッドで構成された軍団に向かっていく。
それを迎え撃つは、不気味で恐ろしい死霊たち。瘴気をまき散らしながらプレイヤー軍へと襲い掛かった。
両軍が、激突した。
「はぁッ!!」
剣士が裂帛の気合と共に叩き込んだ斬撃が、ゾンビを両断する。
「喰らえッ、【フレイムアロー】!」
魔法使いの放った炎の矢が、浮遊するレイスを貫き消滅させる。
「おらぁ! 効かねぇぜ!」
騎士が突進してきたスケルトンファイターを大楯で受け止める。
「【ヒール】、【エリアヒール】! 回復は任せて。皆ダメージ気にせず突っ込んじゃえ!」
僧侶が癒しの魔法で傷ついた仲間を回復し、激励を飛ばした。
リューの演説のおかげか、プレイヤー軍の士気は高い状態で保たれていた。
スケルトンやゾンビといった下級モンスターを蹴散らすような勢いで打倒し、デュラハンやナイトメアといった単独での対処が難しいモンスターは複数人で対処する。
前衛、後衛、遊撃と、自分に割り振られた役目をしっかりとこなしていく様子は、まるで一匹の生き物のよう。全員の意識が同じ方に向いているからこそできた芸当だった。
しかし、死霊軍もただ倒されていくだけの木偶ではない。
「ぐっ……! こいつら、数が多いッ!」
「囲まれないように注意しとけよ! 孤立すると袋叩きだぞ!」
「んなこと言われても……うぉおおお!? やべぇ!?」
死霊軍の脅威は、まず何よりその数だ。
スケルトンやゾンビといった下級のアンデッドは、とにかく数が多い。無限に湧き出てきているのでは? と嫌な想像が浮かぶくらいに多かった。
そして、その数の多さを活かした物量戦術は、厄介の一言に尽きる。一体倒してもすぐさま次が襲い掛かってくるのは精神的に辛いし、目の前に集中させられる事で連携が分断される。もっと単純に、囲まれてしまえばいかにステータス的に勝っていようと、大きなダメージを覚悟しなくてはならない。
さらに、
「うぅうう! いやぁあああああああ!!? こないでぇええええええええ!?」
「うおっ、おい! 落ち着けぇ!」
「ぎゃぁああああああああ! ゾンビぃいいいいいいいい!?」
「ホントに落ち着け……って、あぶねぇ!?」
目に涙を浮かべ、恐怖で顔をひきつらせた一人のプレイヤーが、滅茶苦茶に武器を振り回す。それが周りにいた別のプレイヤーに命中しそうになるが、間一髪そのプレイヤーが回避に成功したおかげで大事には至らなかった。
死霊軍の脅威その二。見た目が怖い。
スケルトンは動く骨格標本。動くはずのない骨の集合体が、カタカタとしゃれこうべを鳴らしながら襲い掛かってくる。
ゾンビは腐乱死体。ぐじゅぐじゅになった肉は、どす黒い赤と黄色の液体でてらてらと濡れており、崩れた場所からは白いモノがちらりと見えている。なんて嬉しくないチラリズム。ポロリ(目玉)もあるが、アンラッキーでしかない。
レイスは浮遊霊。半透明で足の無い人間が宙に浮かび、青白い顔は悲しみや憤怒で元の造形が分からないほど歪んでいる。時折漏らす声も、聞いているだけで背筋が凍りそうなほど不気味なものだった。
画面越しにやるゲームなら大丈夫でも、こうもリアルに迫ってこられると、お化けの類が平気な者でも辛いモノがある。苦手な者なら一時的狂気に陥ってしまうくらいはするだろう。
物量によるごり押しと、ビジュアルでの精神ダメージ。いやらしい、と評したくなる。
だが、死霊軍の恐ろしさはそれだけではなかった。
「ガァァア……!」
「うわぁあああああ!?」
「また一人やられた!? くそっ、このデカ物が!」
三メートルはあろうかという棍棒を振り回すのは、全長が五メートルを超えるジャイアントゾンビ。スピードはなくとも、一撃の威力は絶大。スケルトンやゾンビに群がられていると回避も難しく、『ミンチよりひでぇや』となるプレイヤーもいる。
「グルゥ! ガゥっ!!」
「くそっ、すばしっこい!」
「攻撃が、当たらねぇ!」
俊敏な動きでプレイヤーたちを翻弄するのは、上位アンデッドであるグール。獣のような挙動で動き回るため、近接攻撃は疎か魔法攻撃すら命中を困難にしていた。
「…………!」
「だぁ!? 上から魔法撃ってくんのずりーぞ! 降りて来いよオラァ―!」
「…………」
「無視してんじゃねッ!? どわぁーーー!?」
悠々と空を飛び、上空から魔法を雨のように降らせるリッチ。やはり制空権を握っているのが強かった。さらには攻撃魔法だけでなく、弱体化魔法や状態異常系魔法も使用してくるため、厄介極まりない。
「グルゥアァアアアアアアアアアアアッ!!」
「ぎゃー!」
「お助けー!?」
「アレは無理だろ流石にぃいい!!?」
説明不要の強さ。とりあえず対峙した瞬間に死を覚悟する暴君、ドラゴンゾンビ。圧倒的なステータスと巨体、瘴気ブレスといった強力無比な能力の数々。果敢に挑む者もいるが、現状まるで敵っていない。
一進一退の攻防。しかし、やはり数の力は大きいのか、次第に戦況は死霊軍へと傾いてくる。
『戦いは数』。その言葉の真意をプレイヤー軍が痛いほど味わっていたその時。
彼らの希望が現れる。
ヒュー、ドォーーンッ!!
風切り音の後に、爆音が鳴り響く。
それは、プレイヤー軍の後方から飛来した砲弾が、ジャイアントゾンビに命中した音。
閃光と衝撃をまき散らした砲弾は、ジャイアントゾンビの頭部と上半身の半分を吹き飛ばし、粒子に変換した。
「はーっはっは! どうだ! 【クラフト】特製の特殊爆弾の威力は!」
「うるさいですよ、ギルマス」
「はーっはっはっは! さぁ野郎ども、もっとだ、もっと撃ちまくれッ!!」
「……はぁ。聞いてませんね、コイツ」
砲撃は、防壁の上から放たれたモノだった。ずらりと並ぶ大砲の列。その中央では、【クラフト】のギルドマスター、ガンダールヴが高笑いをしており、その横でファイストがため息を吐いていた。
さらに、
「――【ディバインスラッシュ】!」
一刀両断。
神聖なる光を纏った斬撃が、驚くほど精密にグールへと襲い掛かり、頭頂部から股にかけて一直線に斬り裂いた。思わず見惚れてしまいそうな一撃に、周りのプレイヤーの動きが一瞬停止する。
それを成したのは、白銀の鎧に身を包んだ【ワールドフロンティア】のギルドマスター、レイ。その後に続いて、彼の仲間たちも戦場に参戦する。
さらに、
「――――ふん、魔法でこのオレに挑むなど、愚かが過ぎる」
尊大なセリフと共に、無数の魔法が空に向かって放たれる。
炎弾の群れ、真空刃、雷撃の槍、土くれの砲弾、光の剣、闇の渦。多種多様な魔法は嵐のようにリッチの群れを飲み込んだ。
無詠唱で放たれたそれは、【ソロモン】のギルドマスター、マギステルの絶技。『魔導帝』たる彼の力の一端だった。
さらに、
「おらぁああ! 【ソル・レイ】!」
閃光がドラゴンゾンビの胴体をを貫き、
「いくっすよ、【フレイムガトリング】!」
小さな赤い弾丸が、ドラゴンゾンビの翼をボロボロにし、
「……【フロストプリズン】」
極寒の冷気が、その巨体を氷漬けにした。
息もつかせぬ連撃に、成す術もなく討たれたドラゴンゾンビ。そのあまりに鮮やかな一連の出来事に、ドラゴンゾンビから逃げ回っていたプレイヤーたちは皆一斉にポカーンとした表情を浮かべた。
そんな彼らを、優しい光が包み込む。それが回復魔法の光であることに、気付いたプレイヤーたちが後方を振り返れば、【ヴァルハラ】のギルドマスター、アテネが親衛隊に囲まれながら笑顔で手を振っていた。
「おーおー、のっけからクライマックスすぎねぇか?」
「まぁ、楽しいからいいんじゃないっすか?」
「ん、マオの言う通り。弱すぎてもつまらない」
片手を庇のようにして死霊軍を眺めるアポロ、カラカラと笑うマオ、マオの言葉に頷いて見せるサファイア。
その後ろに、【フラグメント】の面々が並び揃う。
「さぁて……【フラグメント】総員、行くぞぉ!!」
「「「「「了解!」」」」」
アポロの言葉を皮切りに、行動を開始する【フラグメント】。
トップギルドの参戦に、プレイヤー軍から歓声が上がった。
さぁ、発売まであと一週間。頑張って連続更新するぞー!
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