クリスマス閑話 ディリュージョン・クリスマス
まさかの投稿できていなかったというミス。
クリスマスは過ぎてしまいましたが、書いていた閑話をアップします。
……クリスマスが終わって「さぁて、これでリア充の脅威は去ったぜ」と安心しているそこのあなたに、とっても甘い物語のプレゼントです。
クリスマス。
一応はかのイエス・キリストの誕生日であり、キリスト教の中でも重要な行事の一つだ。
とはいえ、そんな扱いをしているのは、現代ではキリスト教を国教と定めている国だけだろう。特に無宗教国な日本では、単なるイベントになっている。
そのイベントの意味も、『家族と共に過ごす日』から、『恋人や親しい友人たちとワイワイする日』に変わってしまっているのだが。
そんな、恋人がいる者には幸せな、そうでない者にとっては不幸な日。クリスマスということでイルミネーションに飾られ、通常の数倍の人が通り過ぎる駅前の広場には、流の姿があった。
広場の中心にある、クリスマスツリーと化した木を模ったオブジェ。そのそばのベンチに腰掛け、透き通るような寒空を見上げていた。時折大きく吐いた息が白い靄を作っている。
白のシャツに黒のジーンズ。その上に濃紺のコートを羽織っている。そして、首には青を基調とした配色のマフラーが巻かれている。シャツ、ジーンズ、コートはいつも通りのシンプルさではあるが、一見して安物では無いと分かる服装は、流をいつもより大人っぽく見せていた。その中でマフラーだけが何というか、洗練さにかけるというか、全体的な調和と外れているというか……。早い話、少し「不格好な」感じがした。
だが、それを身に着けている流は、時折視線をマフラーに下ろしては、口元に柔らかで優しい笑みを浮かべていた。それは誰が見てもわかるほどに幸福感に溢れた笑みだった。
いつもと雰囲気の違う流が、この駅前といういかにもな場所にいる理由。それは、流の周りで腕時計やらスマホでちらちらと時間を確認している者たちと同じく、『待ち合わせ』であった。
一体、誰と、何の待ち合わせをしているのかと言えば……。
「……お、来たか」
その答えは、短くつぶやいた流の視線の先にあった。
「ん。お待たせ、流にぃ。待った?」
流の座るベンチのそばに、お約束なセリフと共に近づいてきたのは、蒼。
嬉しそうな笑みを口元に刻んでいる蒼は、丈の長めな白セーターに、真紅を基調としたチェック柄のミニスカートという、おしゃれな装いをしていた。。スカートから伸びる白く細い脚は黒の二―ソックスで覆われており、蒼の動きに合わせて翻ったスカートから、絶対領域がチラチラと顔を出している。
いつもはサイドテールにしている髪をほどき、その濡れ羽色の長髪を背中に流している。それと、サイズが大きめなのか少しぶかっとしたセーターの袖が蒼の細やかな手の指先だけを覗かせる―――いわゆる、『萌え袖』状態になっていた。
清楚さと可憐さを併せ持った今の蒼は、万人を虜にしてしまうほどに魅力的だった。周りの通行人の中にも蒼の姿に見惚れている者も多く、時折よそ見していた者同士の衝突事故が起こっていた。
流も思わず目を奪われていたようで、蒼の問いかけに対する返事が少しだけ遅れる。
「……いや、俺も今来たところだ」
お約束な返事をしながらベンチから立ち上がった流は、蒼に微笑みかけながら、その頭にポンッと手を置いた。蒼はくすぐったそうな表情を浮かべ、頬を主に染めながらその手を受け入れる。
「そうだ、流にぃ。この服、変じゃない?」
そう、ちょっぴり不安さを含ませた声音で尋ねる蒼。流の目の前でくるりと一回転した後、「どう?」と小首をかしげる。その可愛らしい仕草と、期待と不安が半々に混ざり合った表情は、周りの人間の心をノックアウトする程度の威力を有していた。
「ああ、良く似合ってる」
「よかった。流にぃの好みに合わせたつもりだったけど、ちょっと不安だった」
「そうだったのか? まぁ、何にせよ……可愛いぞ、蒼」
「……ん、嬉しい」
素直で率直な感想を口にする流。その優しい言葉と視線を浴びた蒼は、誰が見ても明確なほど「わたし、幸せです!」という感情で満ち満ちた笑みを浮かべ、流に抱き着いた。二人の醸し出す雰囲気は、冬の寒気など吹き飛ばすほどに熱々で、クリスマスケーキよりも甘いものだった。二人が放出する幸せオーラに、周りからは羨望やら嫉妬やら殺意やらがこもった視線が向けられていた。
まぁ、勘のいい皆さまならすでにお気付きであろうが、恋人同士となった二人は今日、『クリスマスデート』のために待ち合わせをしていたのだ。
蒼が超絶鈍感特級朴念仁男、流を攻略した経緯については詳しいことは割愛する。ただ、蒼が「押してダメなら押し倒せ。それでもダメならもう襲え」の精神で流に自分を恋愛対象であることを認識させ、その後も様々なアプローチを仕掛け、どったんばったん周りを巻き込んだ壮大な恋愛喜劇を繰り広げ、すったもんだの末、最後には流の方から告白させてこの関係になったとだけ言っておこう。
「じゃあ、そろそろ行くか。……と、言うか。『当日の予定はわたしが考える』ってことだったよな? まずはどこに行くんだ?」
「ん、とりあえず歩きながら考える」
「……考えてなかったのか。いやまぁ、そんなことだろうとは思ってたけど」
「けど、最終目的地だけは考えてある」
「どうせ、家とかいうオチなんだろ?」
「違う、最後はホテル。流にぃと熱い夜を……」
ビシッ。流の手刀が蒼の頭に叩き込まれる。
「まだ早いわ、阿呆が」
「……意気地なし、ヘタレ」
「なんとでも言ってくれ。そー言うことはまだにするって、二人で決めただろうが」
そうきっぱりと断言する流。こいつは本当に健全な男子高校生なのだろうかと不安になる感じだ。
「むぅ、仕方なし」と特に不満そうにするわけでもなくつぶやく蒼。ホテルだの熱い夜だのは、ただの冗談だったようだ。
そんな蒼はふと、流の首元に視線を向けた。正確には、そこに巻かれているマフラーに。そして、隠しきれない喜色をごまかすようにうつむいた。黒髪の隙間から覗く耳は、寒さとは違う理由で真っ赤に染まっている。
青色を基調とした、どこか不格好なそのマフラーは、蒼が手作りして流にプレゼントしたものだった。天性の不器用さに苦しみながらも、少しずつ少しずつ、幾度もの失敗を重ねて編み上げたものだった。お世辞にも上手にできたとは言えないようなそれを、当たり前のように使ってくれていることが、蒼には何よりもうれしかった。
「流にぃ」
「なんだ。行きたい場所が決まったのか?」
「ううん。大好き」
「……いきなりだな」
「ん。ちょっと、流にぃが大好きって、言いたくなった」
「そ、そうか」
「流にぃ、照れてる?」
「照れてない」
「……流にぃは、言ってくれないの?」
「………………」
「やっぱり照れてる」
「………………き、だ」
「よく聞こえなかった。わんもあ」
「だぁっ! もう! 大好きだよ当たり前だろうがッ!!」
「ん、うれしい」
顔を真っ赤にして半分やけくそ気味に叫ぶ流に、とろけそうな笑みを浮かべる蒼。そんな蒼を見た流は、ただでさえ赤い顔をさらに染めてそっぽを向いた。
……そんな、生クリームよりも甘々なやり取りをしている二人は、完全にここが人の多く集まる駅前だということを忘れていた。
いくつもの好奇や嫉妬の視線の集中砲火を浴びていることにようやく気付いた二人は、そくささとこの場を離れるのだった。
……手を、しっかりと恋人つなぎで絡めながら。
待ち合わせ場所を出発した二人がまず訪れたのは、ゲームセンターだった。学校帰りに太陽と一緒に寄ることもある行きつけの場所。デートコースとしてふさわしいかどうかはこの際置いておこう。
「さて、蒼さんや。なぜにゲームセンター?」
「ん、クリスマスイベントやってるって聞いたから」
「クリスマスイベント? ……ああ、これのことか」
流は近くの壁に貼られていたポスターに視線を向けた。ふむふむとうなずきながらクリスマスイベントの説明を読み上げる。
「なるほど、特定のゲームで高得点を出したら賞品がでるってことか。それで、挑戦してみるのか?」
「もちろん。どっちが先に賞品を手に入れることができるか、勝負」
「ほう、勝負ね。そりゃ、負けるわけにはいかないな」
「ふふん、吠え面かくといい」
「言ってろ」
互いに不敵な笑みを浮かべ、目を合わせて火花を散らしている……傍から見るといちゃついているようにしか見えない二人に、その様子を見ていたゲームセンターの店員(29歳男性独身)は血涙を流した。
店員だけでなく、店内にいた客(男限定)の怨嗟の視線を浴びながら、それらをサラッと無視して流はイベントの対象となっているゲームを探し始めた。
「お、これか。えっと、シューティングゲームか」
流が最初に目を付けたのは、拳銃型のコントローラーで画面上に出てくるゾンビを射殺しまくるゲーム。一人プレイでも二丁拳銃で戦えるという少し変わった仕様をしており、流も何度か遊んだことのあるものだった。
「流にぃ、それにするの?」
「ん? ああ、これならやったことあるからな」
「このゲーム、対戦モードってある?」
「あったと思うが……。これで、勝負するか?」
「ん。射撃は得意。殴ることしかできない流にぃとは違う」
「ほう、大きく出たな。後悔しても知らんぞ?」
「ふっ、それはこっちのセリフ」
バチバチッ! 二人の間で火花が飛び散った。
流れるような手つきで百円玉を投入。おどろおどろしいBGMと共にゲームが始まる。流も蒼も、迷いなく二丁拳銃スタイルを選び、銃口を画面に向けた。
大型のディスプレイには、炎と煙に巻かれた市街地が映し出され、崩れた建物の陰からわらわらとゾンビが湧き出てくる。
ディスプレイの真ん中に踊る数字が一つ一つ小さくなっていく。そのたびに二人の間に流れる緊張感は高まっていき……。
カウントが、ゼロになった。
「狙い……撃つ!」
「はっはっは! そんな装備で大丈夫かァ!」
だいぶテンションが上がっている様子の二人は、見事な腕前を披露しながらゾンビを駆逐していく。ちなみにだが、対戦モードは制限時間内にどちらがより多くのゾンビを倒せるかを競うものだ。
連続して引き金を引き、弾が切れればコントローラーを軽く振ってリロード。ゾンビ共のド頭に鉛球をぶち込み、脳漿をブチまく。
「ん……! なかなか、やる!」
「そっちこそ。エイム、撃破の優先順位、リロードのタイミング、隙が無いな。けど、負けねぇよ」
ノリノリで銃撃戦を繰り広げる二人。ディスプレイに向けていた視線を外し、互いに交錯させると、にぃ、とどちらからともなく笑みを浮かべた。その間も手を止めることなくゾンビを屠り続ける。
割と上級者なプレイをあっさりとこなす二人の周りには、いつの間にか人だかりができていた。二人のプレイングの腕に感心しつつ、その仲良さげで楽し気な雰囲気に微笑ましさを感じ頬を緩める……ことができるのは流たちと同じように隣にパートナーがいる者だけであり、それ以外の、特に一人身の男たちは「妬みで人が殺せたら……!」みたいな表情を浮かべている。
「くっ……。どう、して……」
そう、苦々しくつぶやいたのは、蒼。
拮抗していた二人の勝負は、時間が経過するにつれて、徐々に流に傾いていた。
「おい、あの男の方、ノータイムで引き金を引いてるのに、一発も外してなくないか?」
「ああ、あの無駄のない拳銃捌き……。一体何者なんだ……?」
「女の子の方も頑張ってるけど……。男の方の頭おかしいレベルの精密射撃でどんどん点差を稼いでるぞ!」
ギャラリーも驚きの声を上げる。
蒼が悔し気に流の顔をちらりと見ると、流は「ふっ」と静かに微笑む。
「蒼、俺がさっき言ったことを忘れたのか? 俺はこう言ったはずだぞ。このゲームは、『やったことがある』ってな」
流の言葉に、ギャラリーは「それがどうした?」という表情を浮かべるが、流のことを知り尽くしている蒼は、その言葉で流の言いたいことを完全に理解した。
「……なるほど。流にぃ、覚えてるの?」
「ご名答。その通りだ」
「覚えてる?」「何を?」「どういうことだってばよ?」。ギャラリーから次々と疑問の声が上がる。その疑問に対する答えは、蒼の口から話された。
「こういうゲームは普通、敵の出てくる位置、タイミング、数、種類が決まってる。……流にぃは、その全部を覚えてるから、そんなに正確な射撃ができる」
「「「「「な、何だってーーー!?」」」」」
ギャラリーから驚きの声が上がる。異口同音に放たれた言葉に宿るのは、「そんな馬鹿な」という信じられない気持ちだった。
「やっぱり、流にぃの記憶力はチート」
「くははははっ、負け惜しみか? 勝てばよかろうなのだよ!」
ニヤリ、となんともあくどい笑みを浮かべる流。相手が恋人だろうと決して手を抜かない。むしろ率先して潰しに行く。さすがの狂戦士クオリティである。
蒼は、そんな流に困ったような笑みを浮かべると、すぅ、と息を大きく吸って表情を引き締めた。真剣な表情でディスプレイを見つめる蒼に当てられたように、ギャラリーは息をのんだ。
「……流にぃ。わたし、このゲームに勝ったら……」
「なぜに死亡フラグ? まぁ、負けを潔く認めるというなら……」
戦場に駆り出された兵士のようなことを言い始めた蒼に、ギャラリーはいぶかし気な表情を浮かべた。流の言う通り、勝負をあきらめたのか……、と、誰もが考えたその瞬間。
「流にぃと、キスする」
とんでもないことを言い放った。
ギャラリーは全員が例外なく「……WHAT?」という表情で固まる。「いったい何を言ってるんだ、この子は!?」と。
だが、その一言の影響を誰よりも受けていたのは……………流だった。
「は、はぁ!? おまっ、何言って……!?」
あから様にうろたえながら、顔を真っ赤に染める流。その動揺っぷりは、さっきまで快調に伸びていたスコアが全く伸びなくなったことからもよくわかる。
蒼の瞳にきらりと光が宿る。「ちゃんす!」とばかりに猛烈な勢いでゾンビを打ち倒していき、あっさりと流のスコアを抜き去ってしまう。
そしてその瞬間、ディスプレイの片隅に表示されていたタイマーの数字がゼロになった。
「勝利、ぶい」
拳銃型コントローラーを構え、キリッとした表情で勝利宣言をした蒼。ギャラリーになんとも言えない沈黙が訪れる。白熱した戦いの結末がこれか……と。
「……蒼よ、何ださっきのは」
「ん? 絶対に勝ってやるって言う決意表明」
「嘘を付け……。絶対に俺が動揺することが分かっててあんなこと言ったんだろ? そうなんだろ?」
流がジト目を蒼に向けるが、柳に風と受け流されてしまう。
「納得いかない……。行かないけど、負けは負けだしなぁ……。いや待て? 勝負内容って、確かイベントの賞品をどちらが先に手に入れることができるか、だったよな?」
「細かいことは気にしない」
「いや、細かくはないだろうが……」
「……それより、流にぃ。初心すぎる。キスくらい、もう何回もしてる」
「いやまぁ、その通りなんだが……。それとこれとは話が別というか、不意打ちは卑怯というか……」
「流にぃ流にぃ」
「……なんだ?」
「可愛い」
「……屈辱だ」
そんなやり取りを繰り広げる二人の背後に、忍び寄る影が一つ。
ポン、と流の方に手が置かれた。「なんだ?」と流が振り向くと……そこには、この世の憎しみと悲しみをすべて集めたような笑顔を浮かべるゲーセンの店員(29歳男性独身)がいた。
「お客さん…………。そういう惚気めいたやり取りは、二人っきりの時とかにしてくれませんかねぇええええええええええええ!?」
店員の言葉に、ギャラリーの独り身共が一斉にうなずいた。彼らも彼らで、血涙を流しそうな顔をしている。流と蒼のイチャコラユニゾンアタック! 効果は抜群だ!
店員の怨嗟、独り身の嫉妬と殺気を受けた流と蒼は……。
「えっと、す、すみませんでした!」
「ん。確かに人前はダメ。流にぃ、他のところに行こう」
流は申し訳なさそうに、蒼はあっけらかんとして、そくささとゲームセンターを離れるのだった。
「まったく、人前で何をさせるんだお前は……」
疲れたようにつぶやく流。ゲームセンターでのやり取りを思い出したのか、頬がわずかに赤くなっている。それを隠すようにマフラーを口元まで上げる流に、蒼はくすり、と小さく微笑んだ。
「流にぃ、ちょっといい?」
「なんだ、どうかした…………んッ!?」
蒼の言葉に振り返った流。蒼はそんな流の首に抱き着くように腕を絡ませると、流の頭を下げ、自分はつま先立ちをして距離を詰めた。
とっさのことでされるがままにされた流の唇に、蒼のそれが重なる。
唐突なキスに体をぴしり、と硬直させた流。そのまま三十秒ほど、二人は唇を重ね合わせていた。
蒼が名残惜しそうに唇を離す。閉じていた瞼を開けば、そこに映るのはサンタクロースよりも赤い顔をしたいとしい恋人の姿。そのいつもと違う可愛らしい姿に、もう一度キスしたい衝動が生まれるが、それを押しとどめて蒼は流に笑いかけた。
「さっきの勝負の、わたしが勝ったらキスするって言った」
「だ、だからって、お前。こ、こんないきなり……」
うろたえる流。ゲーム世界では敵なしの狂戦士な神官さんも、恋人の前ではただの初心な少年でしかない。
蒼はそんな流の反応を一通り楽しむと、彼の腕に抱き着くようにして密着した。
そして、とろけるような笑みと共に、元気よく言う。
「流にぃ、行こう? クリスマスはまだ、始まったばっかり」
「……はぁ、分かったよ。……それで、どこに行きますか、お姫様?」
何とか落ち着いた流が、芝居がかった口調で蒼にそう問いかける。蒼はそんな彼に言葉を返し…………。
「…………はっ!?」
ガバリ、と起き上がった蒼は、きょろきょろと今自分のいる場所を確認した。そこは、居候の間使わせてもらっている、流の家の客間。そこに如かれた布団の上で蒼は寝ていたようだ。枕元には昨日寝る前に読んだラブコメもののライトノベルが置かれていた。確か、あまりの暑さに嫌気がさし、冬の描写があるラノベを読めば少しはこの暑さも薄れるのでは無かろうか、と考えたり……。
そこまで思考を進めれば、蒼はさっきまで自分が体験していたモノの何なのかに気が付いた。今は、夏真っ盛りでクリスマスなんてまだまだ先で、なおかつ流の攻略なんて全く持ってこれっぽっちも進んでいない。それが現実。
ならば先ほどまでの「あれ」は…………。
「むぅ……。まさかの、夢オチ」
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