表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソロ神官のVRMMO冒険記 ~どこから見ても狂戦士です本当にありがとうございました~  作者: 原初
序章 FEO開始編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/250

期待はずれなリベンジマッチ

更新が遅くなって申し訳ございません。しかも、ちょっと短めです。

「グギャァアアアアアアアッ!!」


 

 えい、ぐしゃっ! という感じで、ゴブリンの頭蓋を砕く。ゴブリンの頭にめり込んだ[初心者メイス]を引き抜きつつ、左側から迫って来た別のゴブリンに[鉄のメイス]をぶち当てる。光が散るようなエフェクトが表れ、こめかみに[鉄のメイス]が沈んでいるゴブリンのHPが全損した。クリティカルヒットだ。


 両手のメイスを絶え間なく振るうことで、ゴブリンへの牽制と、攻撃の阻害を行い。隙を見て頭部に強力な一撃を叩き込む。いつの間にか広がっていたレベル差のおかげで、ゴブリン相手ならほぼ一撃で倒せるようになってきた。まぁ、レベル差があるともらえる経験値が激減するので、レベル上げにはならないんだけどな。



「これで、ラストォ!!」



 両手をクロスするようにして両方のメイスを叩き込み、最後の一体をポリゴンに変換。戦闘終了である。


 さてと、これで二十五体ゴブリンを倒した。昨日と同じなら、これでホブゴブリンとエンカウントできる。今度は負けたくないから、しっかりと準備をしてから挑もうか。


 頭の中で、昨日のホブゴブリンとの戦闘を思い返す。記憶力はいい方なので、その光景が鮮明に思い返せた。

 どこから、どんな角度で、どんな攻撃が、どんな威力を以て襲い掛かってくるのか。攻撃していた時のホブゴブリンの動きは? それ以外の行動のパターンも思い出し、どう対処すればいいのかを考える。相手の行動ルーチンを丸裸にするつもりで、記憶から情報を掘り起こしていく。

 まぁ、所謂イメージトレーニングってやつだ。ゲームのエネミーって、行動パターンが大体決まってるやつが多いから、それを分析してしまえば、まぁ、大抵は何とかなる。

 と言っても、一人用のVRゲームの話だからなぁ。FEOここでも通用するかは不明だ。


 思い返してみる限り、ホブゴブリンは単調で分かりやすい行動ルーチンをしている。ゴブリンはホブが頭についてもゴブリンってことか。攻撃パターンが四種類て……少なすぎるだろ。それでいいのか、中ボス。


 そうやって昨日のことを思い返していると、当然のようにあの光景のことも思い出す。空腹状態で動くことができない俺。それをニヤニヤしながら見下ろすホブゴブリン。そして、フルボッコにされる俺。

 

 ……ああ、思い返すだけでも腹立たしい。いや、百パーセント俺の油断が生んだ結果で、自業自得だとはわかっている。わかっているのだが……。

 攻撃パターンが四種類しかないようなヤツに見下されたって言うのが、すっげぇムカつくんだよなぁ。


 というわけで、だ。



「八つ当たりに付き合ってもらうぞ、ホブゴブリン」



 そういって、エンカウント早々、メイスの先端をホブゴブ(片手斧装備)に向ける。ホブゴブは、いきなり八つ当たり宣言に、ビクッ、と驚いたような反応をした(気がした)。


 さぁ、驚いてる暇など与えんぞ。タコ殴りにしてくれるわ!

 妙なテンションで、頭頂部を狙ってメイスを叩き付ける。先手必勝だ。

 その打撃は片手斧で防御される。だが、俺にはもう一本メイスがあることを忘れてもらっては困る。

 片手斧と拮抗するメイスをそのままに、もう片方のメイスを思いっきり胸板に叩き付ける。衝撃に後退するホブゴブリンに、さらなる殴打をプレゼントフォー・ユー。さらに、体勢を整える前に蹴りを加える。


 くくく……。反撃の隙をもらえると思うなよ? さぁ、デストロイタイムの始まりだぜ! 


 

「ハァアアアアアアアアッ!!」


「グギャァアアアアアアアァァァッ!!」



 やられっぱなしでは終わらないとでも言いたいのか、ホブゴブリンも反撃をしてくる。そう、四種類しかない攻撃パターンを使いながら。


 まず、片手斧で唐竹割りをしてくる攻撃。片手を大きく振りかぶるというわかりやすい準備モーションがあるので、一番対処がしやすい。メイスを振り上げた腕に叩き付けることで攻撃をキャンセル。

 どうやら、モンスターは攻撃を阻害されると、硬直時間のようなものが発生するようだ。その隙に連撃を叩き込む。


 次の攻撃は、横薙ぎ。これも準備モーションが分かりやすい。斜めに片手斧を振り上げたところで、グイッと接近。ほぼ密着するような位置に陣取り、膝蹴りをホブゴブのどてっぱらに叩き込む。硬直時間が発生、メイスを握りしめた拳を顔面、鳩尾、腹と三連発。少し距離が離れたところで左右のメイスを同時に叩き込む。


 さぁ、次の攻撃は………………って、あれ?



「グ、グフ……。グガァ……ァ……」



 バタリ(ホブゴブが地面に倒れる音)。パァアアアア(ホブゴブの体がポリゴンに変換される音)。


 あ、あれぇ……? 死んだ……? あいや、俺が撲殺したんだけど……。あれぇ?

 そういえば、ホブゴブのHPゲージ全く見てなかったけど……。まさか、こんなに簡単にKILLっちゃえるなんて思ってなかったな。もう少し根性見せろよ軟弱者(理不尽)。


 それにしてもなぁ……。あれだけ意気込んで挑んだのに、結果がこれって……。なんだかなぁ。


 うん、すっごく消化不良です。胸中がすっごくもやもやする。このもやもやを解決するには、アレしかないよな。


 というわけで……。



「次のホブゴブぅ! 早く俺に次のホブゴブをよこせェええええ!」



 別のホブゴブでストレス発散じゃい! ホブゴブ狩りだ! ……って、その前にゴブリンの乱獲しないと。じゃあ、ゴブリン狩りだな。



 とまぁ、そんな感じで。

 こらえきれない欲求の波に乗りに乗った俺は、自分でもよくわからないテンションを維持しながら、笑顔でゴブリンをデスりまくり、楽し気にホブゴブリンを殴殺しまくった。

 我に返ったのがお昼前。昼食の準備をするという使命が、何とか俺を正気に戻してくれた。我に返り、自分がしでかしたことを思い返してみて…………俺は、頭を抱えてその場にうずくまった。


 な、何してんだ……。すっげぇ恥ずかしいことしてたぞ、俺ェ……。


 ストレスに負けて、あんな醜態をさらしてしまうなんて、アホ二人(太陽と蒼)に知られたらどれだけ馬鹿にされるのやら……。いや、二人だけじゃなくて、誰にも知られたくないな、うん。

 幸い、ここは人気の少ない『乾燥した荒野』。他のプレイヤーの姿は見てないし……。大丈夫大丈夫、キットバレテナイヨ。


 そんな風に羞恥に悶えながら、俺は安全地帯セーフティエリアから、逃げ出すようにログアウトするのだった。

感想、評価、ブックマを付けてくださっている方々、本当にありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ