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ソロ神官のVRMMO冒険記 ~どこから見ても狂戦士です本当にありがとうございました~  作者: 原初
四章 初イベントと夏休みの終わり編

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180/250

リバイヴ・オブ・ディスピア 会議④

会議終了。

ちなみにこの章のコンセプトは『無双』です。


あ、『ソロ神官』は今日発売だよ! 今日発売だよ!


※最後のアポロのセリフを改変しました。次話と矛盾が発生してしまったので修正です。

 さて、魔法バカのトップがおとなしくなったところで、会議は続いていく。

 

 ちなみに、イーリスとリューをいっぺんにからかおうとしていたアテネは、結構あっさりと「質問はもういいわ。続けて頂戴」と引き下がった。しかし、その美貌から悪戯っぽい笑みが消えていなかったので、まだ何かを企んでいそうではあるが。


 

「まず、私たちがやらなくてはいけないことは、『祭壇』の設置です」



 再開された会議の一つ目の議題は、それだった。


 イーリスが口にした聞き覚えのない単語に、会議室の面々は首をひねった。それを見たイーリスはすらすらと詳細な説明を始める。



「『祭壇』とは、教会に設置された異邦人の方が復活するために必要な術式のことです。皆さまは創造神様の御力により、死すると同時にいくらかの制約を払って蘇ることができます。そして、蘇生後は自動的に最後に訪れた都市の教会に転送されます。その時、皆さまの魂を受け取る器の役割を果たし、仮想体を再構築する術式こそが『祭壇』。これをこの城に設置することによって、皆さまはそこでの蘇生が可能となります」


「へぇ、あれってそんな風になってたのか。知らなかったわ」


「だね、今まで何気なしに使ってた物だから……と、あれ? じゃあ、その『祭壇』ができる前にこの異空間で死んだプレイヤーは、どういう扱いになるのかな?」



 感心したように声を上げたアポロに同意したレイが、ふと思いついた疑問を口にする。その疑問に対する答えは、すぐにイーリスからもたらされた。



「憶測ですが、蘇生ができずに魂の状態のまま、異空間を彷徨うことになると思います。その状態はかなり危険なのですが…………え? あ、はい…………はい、分かりました」



 話の途中で、イーリスが虚空に視線を向け、見えぬ何かと会話を始めた。それは十数秒で終わったのか、イーリスは視線を元に戻した。



「今、創造神様からの神託がありました。『祭壇』が出来上がるより前に死んだ異邦人の方は、創造神様が作り上げた亜空間に一時的に飛ばされるそうです。そして、『祭壇』が出来上がると同時にこの空間に蘇生する……とのことです」


「なるほどな……。となると、その『祭壇』とやらをさっさと用意しなくちゃなんねぇな」


「あんまり時間かけちゃうと、絶対に文句言ってくるやつらが出てくるだろうし」


「そもそも、せっかくのイベントで待機中にさせるのは流石に可哀想だぜ」


「そうだね。最優先で片づけよう」


「だな。しかし、あれは術式……魔法だったのか。後学のため、ぜひともどんなものかを教えてもらいたいのだが……」


「ギルマス? また眠らせますよ?」


「……うむ、またの機会としよう」



 『祭壇』の設置に肯定的な態度を示すギルドマスターたち。若干一名が空気を読まないことを言っていたが、すぐに撤回させられた。


 同意を得たイーリスは、『祭壇』の設置に必要なものを上げていく。

 『祭壇』は異邦人復活のための術式の名前であると同時に、それが込められた魔道具の名でもある。

 まず必要なのが、術式を刻む台座。これには[聖石]という聖属性が宿った石材がかなりの量必要になる。タダの石材に聖属性を宿らせることでこの[聖石]は作りだせるのだが、問題は聖属性を宿す前の石材をどこから調達してくるのかという話である。

 生産ギルド【クラフト】のトップが参加していることからわかるように、このイベントには生産職プレイヤーは一定数参加している。だが、自らのアイテム欄に石材を入れている者など皆無と言ってもいいだろう。事前情報では、かろうじて戦闘イベントだということが判断できるだけ。彼らのアイテム欄に納められているのはすでにアイテムに加工されたものばかりである。

 なので、素材をどこかから調達してくる必要がある。幸い、この異空間には城と草原以外のフィールドがあることは遠目に確認できる。また、自主的に探索に出かけているプレイヤー達からも情報は次々に送られてきており、それによれば、城から南東の方向に岩山のフィールドがあることが判明している。

 ではそこに素材調達へ向かおう……とはならなかった。

 問題になったのは、岩山フィールドまでの距離。片道が、探索を念頭に置いた戦闘職パーティーでも三時間以上かかってしまうのだ。しかも、石材を手に入れるためには、採集用のスキルを持っている生産職の面々がついていかなくてはいけない。そうなると、さらに時間がかかることとなる。

 しかも、素材調達は何も石材だけではないのだ。この城を守るため、三日後に起こるグラシオン・ゲーティスの侵攻を遮るための防壁の建設なども行う必要がある。これには石材だけでなく木材なども必要になってくるのだ。木材が採取できそうな森フィールドもすでに発見されてはいるが、こちらも城からは距離がある。なんとしても今日中に『祭壇』を作り上げ、出来るなら防壁の建設に入りたい、とは、全てが出来上がるまでの時間を瞬時に計算したガンダールヴの言葉である。

 


「一応、解決策になりそうな方法はあるんですが……」


 

 そう前置きしたイーリスが提示したのは、『転移陣』という術式。これはプレイヤー達が使用している町から町への転移を可能とする設置型の術式である。どこぞの魔法バカがまた暴走しそうな解決策である。

 実はこの術式を設置、維持しているのは万神教であり、術式の詳細を知っているのは万神教の一定以上の地位にいる者だけ。聖女であるイーリスもその術式は知っており、それを使って移動にかかる時間を短縮することができるのでは、というわけだ。

 しかし、『転移陣』の設置には、実際にその場に術者が赴かなくてはならない。岩山、森両フィールドに行っていては時間的に間に合わず、なおかつ絶対に死んではならない存在であるイーリスを連れて行かなくてはならないのだ。この作戦は無謀と思われたのだが……。



「……そういや、リュー。お前、なんかよく分かんねぇ移動手段持ってなかったか? ほら、あの恐竜見てぇなヤツ」



 アポロのその一言に、会議室中の視線がリューへと集まり、リュー自身も、今まさに思い出したとしたり顔で頷いた。

 そう、解決のカギとなりうるは、リューの召喚魔法【召喚『地を駆ける走竜』】。まっすぐ通過するのに半日かかる広大な『大樹の草原』をたった数時間で踏破できる恐るべき機動力のこの魔法があれば、移動時間はぐっと短くすることができる。さらに、城に戻る時は一度行ったことのある場所に飛んでいける【召喚『空を往く大鳳』】を使えばさらに時間短縮となる。

 聖女の護衛に関しては、リューの戦闘能力があれば大丈夫だろうとアポロとサファイアがお墨付きを出したことで、他の面々も納得していた。ナンバーワンギルドのトップ二人による鶴の一声は、かなりの説得力があるらしい。

 ……新たな召喚魔法の話題に魔法バカがまたまた暴走しそうになったのを今度は魔法で作り出した鎖で拘束された後、眠らされると少し過激になった制裁を加えられていたのだが、もはや誰も気にしていなかった。



「と、いうわけで。全身全霊をもって守らせていただきますね、イーリス様」


「はい! よろしくお願いします、リュー様!」



 かくして、リューとイーリスは『転移陣』の設置に動き出し、ギルドマスターたちは他の準備を進めていくのであった。


 




「……で、結局リューのやつ、なんで聖女様とあんなに仲良くなってんだ?」


「……聞けなかった。不覚……!」



 そんな、気になっていたが聞けなかった疑問を残しながら。


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