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ソロ神官のVRMMO冒険記 ~どこから見ても狂戦士です本当にありがとうございました~  作者: 原初
序章 FEO開始編

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職業について

ちょっとした説明回です。

 太陽と蒼を引き取ることになったということを、一応両親にメールで伝えておいた。返信はすぐに返ってきて、一言、『いいよ』と書かれているだけだった。ホントにもう、あの二人は……。

 家のことに基本ノータッチな両親に呆れつつ、二人が泊まる部屋の準備をする。俺の自室の横にある客室と一階の和室を使おうと思う。誰も使っていない部屋だが、常日頃から掃除は欠かしていない。予備の布団を引っ張り出してくれば、すぐにでも使えるようになるだろう。

 どちらの部屋も、サッと掃除機をかけ、窓を開けて換気をしておいてっと。後は、各自荷物を運びこめばこれでOKだろう。



「おーい、流! 荷物持ってきたぞー! 手伝ってくれー!」


「分かった。今行く」



 玄関へ向かうと、そこにはパンパンになったカバンに一杯の荷物を詰め込んで持っている太陽と蒼の姿が。あれは絶対に適当に詰め込んできただけだな。整理整頓という言葉を早く脳内にインプットしてもらいたいものだ。

 しかも、荷物はぐちゃぐちゃな癖に、FEOをやるためのVRギア一式は綺麗にそろえられているのがムカつく。

 ああ、どうせその荷物の整頓をするのは、俺なんだろうなぁ。ははは…………はぁ。



「とりあえず、そのカバンは置いとけ。それで、二人の泊まる部屋のことなんだけど、二階の客室と一階の和室な。どっちがいいか決めてくれ」


「んー、そうだなぁ。俺は……」


「わたしが二階。太陽が一階。決定」


「あれ? 俺の選択権は……「ない」……そうですか」



 いつになくスムーズに決まったな。蒼のやつ、二階の方が好きだなんて言ったことあったっけ?



「(くふふ……。流にぃのとなりの部屋。既成事実をつくるちゃんす)」



 ……ゾクリ。


 な、何か背中に冷たいものが走ったような……。き、気のせいだよな、うん。






 



「ぶっ、くくく……。あはははははははははははっ! ま、満腹度の存在を忘れてて、ホブゴブリンにタコ殴りにされたとか……。や、やべぇ……。くくくっ。お、お腹痛い……」


「流にぃ、ドンマイ。そんな間抜けな流にぃも、わたしは好き」


「……はいはい、慰めてくれてありがとよ」



 あの後、ぐちゃぐちゃだった二人の荷物を何とか整理し、部屋に押し込んだ。で、夕食の時間になったんだが……。

 俺は、今日FEOであった出来事を二人に話していた。

 で、空腹状態のせいで死に戻りしたことを告げたところ、太陽に大笑いされる羽目になったというわけだ。

 自分でも間抜けだったなぁ、とは思うが、こいつに笑われるのは無性に腹が立つ。ということで、食後のデザートのゼリーは俺と蒼でいただくことにしよう。



「ということで太陽。貴様にやるゼリーはない!」


「え、ちょ! そ、それはずるいぜ!」


「ふんっ、人の失敗を全力で笑うような輩に、懸ける慈悲はない」


「ごめんなさぁあああああああい! 俺にもゼリー、プリーーーーーズ!」



 必死に謝ってくる太陽を見ていたら、だいぶ溜飲も下がった。ま、この辺で許してやるか。

 冷蔵庫からゼリーを三つ取り出すと、太陽の表情がパァアアアと明るくなる。ほんっと、単純なヤツ。



「ほら、次はないからな?」


「わかった! 肝に銘じておくぜ!」


「はぁ、そのセリフを何度聞いたことか……。まぁいい。蒼はオレンジのゼリーでよかったか?」


「ん、柑橘類、好き」



 ちなみに、俺のゼリーはアップルで、太陽がブドウである。

 

 ゼリーをぱくつきながら、俺は二人に、FEOに関しての質問をぶつけていく。癪なことだが、VRMMOゲーマーとしては二人の方が先輩であることは事実だ。聞けることは聞いておこう。

 さて、何から聞いていこうかな……。とりあえず、気になったこれから聞いていくか。



「じゃあ聞くぞ? FEOで、職業ってどういうものなんだ?」


「いや、どういうものって言われても……。職業は職業だぜ?」


「いや、そういうことじゃなくてだな……」



 俺の場合は神官。それ以外にも、剣士、魔法使い、弓士、戦士、騎士、盗賊など。様々な種類がある職業。

 だが、この職業というものがゲームにどう絡んでくるのか、俺はいまいち理解していない。プレイヤーの初期ステータスに影響を与えること以外に、どんな効果があるのか、全く知らないのだ。

 そのことを、太陽に尋ねてみる。蒼? ゼリーに夢中でこっちの話なんて聞いちゃいませんよ。

 


「ああ、そういうこと。えっとだな、職業の情報は、ステータスの職業の部分を詳細表示するとみることができるんだけど……」


「……まて、詳細表示ってなんだ?」


「あれ? 説明してなかったっけ? ステータスの各項目を二回タップすると、その項目についての詳細情報が見れるんだよ。使用可能な魔法とか、熟練度とかも見れるぜ」


「それ、結構重要な情報だろ!? ったく、お前らが、『FEOのことなら俺たちに任せておけ! ということで、流は攻略サイトとか見るの禁止な』って言ったんじゃねぇか。しっかりしてくれよ」


「あ、ははは……。すまんかった」


「はぁ。で? 職業の効果にはどんなものがあるんだ?」


「例えば、俺の職業の騎士だったら、『物理防御力上昇』、『鎧装備時防御力上昇』、『パリィ成功率上昇』、『魔法攻撃力低下』だな」


「マイナス効果もあるのか。で、神官の場合は?」


「確か……。『回復魔法効果上昇』、『精神力上昇』、『補助魔法効果上昇』、『物理攻撃力低下』の四つだったと思うぜ」


「………『物理攻撃力低下』」



 なんだその、俺のプレイスタイルに真っ向から喧嘩を売ってるマイナス効果。



「この効果があるから、神官戦士ってプレイスタイルはほとんど見かけないんだけどな。少なくとも、俺は流以外にやってるプレイヤーを見たことがない。ま、神官でソロプレイしてるやつを、そもそも見ないけどな。よ、希少種!」


「誰が希少種だ。にしても、マジかぁ……」



 まさか、神官(物理)にそんな落とし穴があったとは。自前で回復できる戦士とか強くね? と安易に考えてた今朝の自分を殴りたい。


 ……いや、まぁ問題がないと言えば、ないのか?

 俺が目指していたのは、『死ににくい』プレイスタイル。別に超火力を求めているわけじゃないし……。そこまで重要視することでもない?

 ま、どうしても火力が足りなくなったら、その時にでも考えればいいか。



「それ以外には何かあるか?」


「あとは、各職業ごとに、専用クエストだったり、専用スキルだったり、専用装備があるくらいだぜ。それで、流はどうするんだ?」 


「どうするって……。もしかして、プレイの方向性を変えるとか、そういう話か?」


「おう。低レベルの今ならまだ、神官戦士からプレイスタイルを変えてもそんなに支障はないはずだぜ?」



 神官(物理)以外のプレイスタイルかぁ……。ということは、普通に後衛としての神官になるってことだよな。

 となると、攻撃手段も魔法に変わるんだよな。INTなんて一ポイントも割り振ってないぞ? それに、今日習得したスキルが全部無駄になるって言うのは、もったいないし……。 



「うーん、まぁ、このままいかせてもらうよ。今日一日やってみて、結構うまくいってたし。それに、自分でやるって決めたんだ。それをそう簡単に投げ出したりはしないさ」


「ま、お前ならそう言うだろうと思ったぜ。でも、困ったことがあったら、いつでも教えてくれよな。俺も蒼も、全力で流の力になるからよ」



 そういって、満面の笑みを浮かべて見せる太陽。なんで、俺の力になるって話で、そんな嬉しそうにするのかね? 

 まぁ、でも。そうやって言ってくれるのは、悪い気はしない。



「ま、その時になったらお願いするわ。あんまり期待はしてないけどな」


「がくっ。そ、そこは期待してるっていうところじゃないのかよ……」



 肩を落としてうなだれる太陽を見て、俺はクスクスと笑みを浮かべるのだった。



「ん、ご馳走様。美味しかった。……あれ? 太陽、なんでがっくりしてるの?」


「どれだけゼリーに集中してたんだよ、お前は」


 

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