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ソロ神官のVRMMO冒険記 ~どこから見ても狂戦士です本当にありがとうございました~  作者: 原初
序章 FEO開始編

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おっと、うっかりしてたぜ

ポイント不正に対するご説明を様々方からいただきました。皆さま、本当にありがとうございました。

これからも頑張らせていただきます。

「……ふぅ、これで十五体目か。何体倒せばホブゴブリンは出てくるんだ?」



 今撲殺したゴブリンを見送りながら、俺はそうつぶやく。あ、レベル上がってる。ステータス割り振っとこう。

 

 それにしても、集団戦もだいぶうまくいくようになってきたな。もう三対一くらいなら、ほとんどノーダメージで倒せるくらいだ。

 なんか、三回目くらいからだんだんコツをつかめるようになって、そこからは楽だった。

 相手が複数とはいえ、一度に攻撃できるのは一体か、多くて二体。つまり、『複数対一人』の戦闘を、『一人対一人』を複数回、と変えてやればいいのだ。戦闘時間は増えるが、確実で堅実な戦い方じゃないかな? 

 それにしても、俺はあとどのくらいゴブリンをボッコボコにすればいいんだろうか?



 その後も、ゴブリン共を撲殺すること十体。集団で襲い掛かってくる子鬼どもの相手にも若干の飽きが発生し始めていたころ、やっと目当てのモンスターと遭遇した。



「グゲッ、グゲゲゲゲッ!」



 そんな感じの叫びをあげながら出現したのは、ホブゴブリン。ゴブリンの背丈を伸ばし、そんでもって筋肉質にするとこいつになる。ゴブリンの身長が130センチくらいだったのに対して、ホブゴブリンは170センチほど。ガリガリだったゴブリンとは違い、ホブゴブリンはやたらムキムキである。腹筋割れてんだけどこいつ。


 ホブゴブリンの装備は、片手斧。ゴブ共の装備と違って錆びついていたりはしない。こいつは確かに中ボスと呼んで差支えのない強さを持っていそうだ。



「……【ストレングスエンハンス】。……【ディフェンスエンハンス】」



 毎度おなじみの強化魔法をかけてメイスを構える。俺が構えたのを見て、ホブゴブリンも体勢を低くした。


 そして、どちらからともなく、武器を振りかぶる。



「はぁああああっ!!」


「グガァアアアアッ!!」



 ガギャンッ! と金属同士がぶつかり合う音が荒野に響き渡る。だが、真正面からの打ち合いで押し負けたのは………………俺の方だ。

 くそ、やっぱり純粋なパワーファイターには一歩劣るか。いやまぁ、MINDにステ振りしてる分、しょうがないんだけどね?

 はじかれた武器を引き戻し、もう一度ホブゴブリンに叩き込む。ホブゴブリンもほぼ同じタイミングで片手斧を振るってきた。

 そこからはその繰り返し。互いに一歩も動かずに武器をぶつけ合う。たまに攻撃がかすったりしてHPはじりじりと削れていく。

 攻撃の威力はホブゴブリンに、攻撃速度では俺の方に分がある。どちらが先に削り切れるか。これはそういう勝負だ。


 片手斧の側面を叩くようにしてそらし、反撃の横薙ぎ。防がれる。

 顔面を狙った打撃。命中。だが、ホブゴブリンの斬撃が俺の肩に食い込む。減少するHP。だが、ホブゴブリンが斧を引き抜く前に攻撃を叩き込む、クリーンヒット! 受けたダメージは、【ヒール】で回復しておこう。

 

 戦闘が続くにつれて、メイスと片手斧が奏でる演奏会の中に、ホブゴブリンの苦し気な声が混ざるようになってくる。

 俺が、ホブゴブリンの攻撃に慣れてきたのだ。どの角度で、どのくらいの速度で、どんな攻撃が来るのか。それを覚えてしまえば、対処は難しくない。攻撃を阻害するようにメイスを振るい、自分の攻撃につなげていく。メイスの扱いは、今までの戦闘でだいぶ慣れたからな。

 削れていくホブゴブリンのHPゲージ。対照的に、俺のHPゲージは満タンである。《治療魔法》という回復手段がある時点で、最初から俺は勝利を確信していた。

 ホブゴブリンがピンチで覚醒! とかしてくれるかな? とちょっと期待していたけど、そう言うのもないみたいだ。


 さぁて、ホブゴブリンのHPも一割を切っている。次の攻撃で倒せることは間違いないだろう。

 とどめの一撃だ! と口元に笑みを刻みながら、ホブゴブリンに殴りかかる。


 ホブゴブリンも苦し紛れに斧を振るってくるが、もう遅い。俺のメイスがホブゴブリンの脳天に振り下ろされようとし………。



 がくっ、と全身をものすごい倦怠感が襲った。



 ……は? え? ちょ、まっ。な、何だこれはっ!?

 体が全く動かない。膝ががっくがくになって、地面に倒れこんでしまった。メイスを握る手にも力が入らない。

 いや、体が動かなくなったことが問題じゃない。問題は…………。

 俺は、ほとんど動かない首を何とか動かし、ゆっくりと上に視線を向ける。



「…………………グギャッ♪」



 そこには、ニヤァ……という笑みを浮かべたホブゴブリンが、全力で片手斧を振り上げている姿が……。

 えーっと、これは…………Dieピンチ?



「グギャギャギャギャァッ!!!」


「ぐわああああああああああああああっ!!」



 俺、フルボッコ。








 ………は!


 勢いよく体を起こして、あたりを確認する。ここは……教会か。


 ふぅ、勝てると思ったんだがな……。まさかの死に戻りである。

 メニューを開いてっと。うわっ、ステータス半分になってる。これがデスペナルティ……デスペナってやつですか。一人用ゲームだとこういうのってないから、少し新鮮だ。

 デスペナは、一時間のステータス半減と、所持金を半分失うだったっけ? 後半は残高0フランの俺には関係ない話だな。


 それにしても……。あーだるい。めっちゃだるい。この謎の倦怠感は何なんだ……。

 戦ってる時よりは良くなったけど、フルマラソンを走り切った後のようなダルさが全身を襲っている。何かのデバフでも喰らったのかな?

 原因を調べるため、メニューをちょいちょいと操作する。

 それはすぐに見つかった。目に留まったのは、とあるゲージ。



「満腹度……。完全に忘れてた」



 満腹度。その名の通り、ゲーム内でモノを食べると上昇する。これが低下すると空腹状態になり、全ての行動に大きな制限がかかる。俺が感じている倦怠感がそれだ。

 この満腹度というのも、一人用ゲームにはあまりないものだから……。いやぁ、うっかりうっかり。

 回復する方法はとっても簡単。何かを食べればいい。そう、食べればいいのだが……。

 


「さすがに生肉は食べれんよなぁ……。どうしよう」



 俺、今何も食べ物を持っていません。それどころか無一文です。

 何とか教会内に設置されていたベンチまで移動した俺は、そこでぐでーんとしながら対処方法を考える。

 お金は、手持ちの素材を売るとして……。食事って、どこでできるんだろう? あ、そういえば、南門までの大通りに、いくつか屋台みたいなものが出てたっけ。それでもいいか。

 なんにせよ、それだけの移動を今の状態でできるかなって感じなんだよなァ。頑張れば全然いけるんだろうけど。行けなかったらゲームとして問題ありだからな。

 最悪、[ウルフミート]を食べるという手段もあるけど……。それはもう、神官として超えちゃいけない一線だと思うから、やめておきたい。


 ふぅ、覚悟を決めて、まずは道具屋にいって素材を売ろうかなっと……。



「あの……大丈夫ですか?」


「え、あ、はい?」



 いきなりかけられた声に、そんな生返事を返してしまった。いけないいけない。ぼーっとしすぎだ。

 慌てて、話しかけてきた人の方を見る。いったい誰が……………おおう。


 そこにいたのは、頭に『絶世の』とか『傾国の』とかが付きそうな白髪の美少女だった。

 


「―――失礼しました。何か俺にご用ですか?」


「は、はい。えっと、体調が悪そうだったので、その、心配になりまして……」


 

 いきなり背筋を伸ばして着席したまま

 『いいか、流。男に生まれたからにゃあ、女にかっこ悪いところを見せちゃいけねぇ。特に美少女ならな』。そう、得意げな顔で教えてくれたおじさんの言葉を思い出す。ろくでもない人だったけど、言ってることは妙に説得感があるおじさんだった。

 ダラッとしていた姿勢を瞬時にただし、相手の美少女に向かってわざとらしくないように笑いかける。『初対面の相手にはとにかく礼儀正しくしておけ。その方がいろいろ有利になる』といったのは父さんだったっけ? 母さんはそんなこと言わないから、父さんで間違いないな、うん。

 それにしても、見知らずの相手がつらそうにしてただけで、心配して声をかけてくれるなんて、優しい人だなぁ。うんうん、俺が風邪で寝込んでいようが「流にぃ、お腹減った」って食べ物をせがんでくる蒼に見習わせたい。

 目の前の心優しい少女を心配させないよう、できるだけ元気なことが伝わるような笑顔を浮かべ、明るい声音を出す。



「心配してくれてありがとうございます。ちょっと満腹度ゲージが空になってるだけなので、全然問題ないですよ」


「そ、それはあまり大丈夫ではないのでは!?」



 慌てた様子でいう美少女。

 あれ? 空腹状態って、そんなに大変なことなのか?



 


 

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