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ソロ神官のVRMMO冒険記 ~どこから見ても狂戦士です本当にありがとうございました~  作者: 原初
三章 蒼の嫉妬と長い一日編

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ケモ耳メイドとケモ耳バトラー

 思い立ったが吉日。というわけでもないが、ゴスロリアッシュのお出かけイベントは、さっそく今日行われることになった。

 というのも、明日から数日間、アッシュが用事でFEOにログインできなくなるからだとか。用事は数日後にあるアップデートまで続くらしいので、一週間近くこの世界からいなくなるらしい。

 まぁ、決めたことをずるずると引きずらないで、すぐに実行しようとするその姿勢は大変好ましく思う。アッシュの本気具合がよくわかるからな。それは何の問題もないんだ。

 ……問題は。



「……なぁ、アッシュ。この格好は一体……?」


「………………(パタパタ)」



 服の裾をパタパタと動かしているアヤメと一緒に、自分の恰好を見下ろしながらアッシュに問いかける。


 困惑した表情を俺に、瞳をキラッキラさせたアッシュは、興奮した様子でサムズアップしながら答える。



「ケモ耳執事とケモ耳メイドです! 二人とも、似合ってますよ!!」


「あーうん、そうじゃなくてだな……」



 こめかみを抑えながら、俺ははぁ、とため息を吐いた。


 今の俺は、あのケモ耳カチューシャを頭に装着した燕尾服の執事にジョブチェンジしていた。俺の隣では、アヤメがヴィクトリアンメイドさんになってくるくる回っている。可愛い。


 

「俺が聞きたいのは、どうして俺たちがこの格好をしているのかということなんだが……」


「だって、リューは一緒に来てくれるんでしょう? その時に、私だけこのゴスロリ姿というのはちょっと……。なので、リューとアヤメちゃんにも、似たような恰好をしてもらおうと思ったんです。けど、ドレス系や騎士服みたいなのはあんまり作ってなくて……。というわけで、執事とメイドならあんまり違和感ないかなって」


「なるほど、分からん。……が、俺が言い出したことだからな。このくらいなら構わない。でも、ケモ耳カチューシャはいらないんじゃ?」


「それを外すなんてとんでもない!」



 断言されてしまったんだが……。


 これがそんなにいいのだろうか? と頭の上でぴこぴこ動いているケモ耳をいじくりながら、俺は首をこてん、と傾げるのだった。






「と、いうわけで。出てきて見たのはいいんだが……」


「す、すごく見られてます……」


「………………(ぷるぷる)」



 お二人さん? 俺の後ろに隠れるのはやめてもらえませんかね? 注目されて辛いのは俺も一緒なんですよ?


 ドゥヴィレの街に繰り出したゴスロリアッシュとケモ耳サーヴァンツは、他のプレイヤーやNPCの視線にさらされまくっていた。理由は言うまでもなく、アッシュの暴力的なまでの可憐さと、アヤメの反則的な可愛さ。後は俺のこの珍妙な恰好に対する視線だろう。


 ざわめきに耳を傾けてみる。



「おい、なんだあの子。お姫様のNPCか何かか?」


「何かのイベントなのか?」


「というか、可愛すぎるだろ……。ゴスロリツインテ……」


「いや、あのロリっ子メイドもかなり……」


「ケモ耳サイコー!! フゥーーーー!!」


「で、あの一緒にいる男は一体何なんだ?」


「あんな美少女二人も連れてるとか……。おい、誰か【ラヴブレイカーズ】呼んで来い」


「【紳士同盟】も呼んできた方がいいんじゃねぇか?」


「というか……。あの獣人の男、どっかで見たことある気がするんだが……?」



 ああうん、周りの反応も大体予想通りだな。そしてPKギルドに駆け込もうとしてたそこのお前。顔覚えたからな。



「ひ、ひとのしせんが……。あ、あうううううう」


「大丈夫か、アッシュ。無理なら戻ってもいいんだぞ?」


「……い、いえ。頑張ります。せっかくリューとアヤメちゃんが手伝ってくれてるんですから」


「そうか。じゃあ、ちょっと歩いてみようか?」



 「ふえ?」ときょとんとしているアッシュに手を差し出し、俺はからかうような笑みを浮かべる。

 今の俺はアッシュの執事。なら、それにふさわしいふるまいをしてやろうじゃないか。  



「さて、行きましょうか。お嬢様?」


「お、おじょ……ッ!?」



 驚いているアッシュ。固まってしまったその手を、俺は恭しくとらせていただく。くるくるしてたアヤメも、アッシュの反対側の手を掴んだ。

 そのまま動かないアッシュを二人で引っ張っていく。



「って、二人とも!? 自分で……ッ、自分で歩けますからっ!?」


「遠慮なさらないでください、お嬢様。すべて使用人たる私たちにお任せ下さい」


「………………(びしっ)」


「リュー! さてはコスプレ染みたことをさせたことを根に持ってますね!? 謝ります! 謝りますからぁ!? お願いですからお嬢様呼びはやめてくださいぃ! 恥ずかしすぎますよぅ!」


「あっはっは、あんまり暴れると、せっかくの可愛らしい格好が台無しですよ? お・じょ・う・さ・ま?」


「うにゃああああああああああああああッ!!?」



 わぁ、可愛い反応。さ、ふざけるのもこのくらいにしておきますか。……これ以上アッシュをいじりまくってると、いけないモノに目覚めそうになるから困る。



「さ、アッシュ。そろそろ歩けそうか?」


「ふえ? ……もしかしてリュー、私の緊張をほぐそうとしてくれてたんですか?」



 え? アッシュの反応が可愛かったので悪ノリしただけですけど?


 ……とはいいがたいので、ここはにっこりと微笑むだけにとどめておこうか。



「……その反応は少し疑わしいですが……。まぁ、いいです」


「そうか。それで、もう自分で歩けそうか? さっきほどがちがちになってないし、大丈夫そうだけど……?」



 そう言って、握った手を放そうとすると……なぜか、さっきより強く掴まれてしまった。こう、ぎゅって感じで。


 うつむき加減にこちらを見ながら、アッシュがボソボソと何かを言う。



「その……。ま、まだ……少し、怖いです。……だ、だから、もう少し……。こうしてても、いいですか?」



 答えるまでもなかった。



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