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ソロ神官のVRMMO冒険記 ~どこから見ても狂戦士です本当にありがとうございました~  作者: 原初
三章 蒼の嫉妬と長い一日編

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アッシュと仲良し

前話の「頭痛が痛い」は仕様です。混乱させてしまい申し訳ございません。

「…………とまぁ、そんなことがあってな」


「あはは……。た、大変だったんですね」



 あの後、一端ログアウトして昼ご飯を食べた。で、再度ログインした俺は、アッシュの元を訪れていた。今は世間話ついでに、ライゴとの決闘の話をしていたところだ。

 ちなみに、一回目のPvPの後にも、レベルを下げずに戦ったり、魔法無しやスキル無しの縛りプレイバトルをしたり、バトルフィールドを特殊な場所にして戦ってみたり、アポロも入れてバトルロイヤルみたいなことをしたりと、時間いっぱいまで戦いまくった。充実した時間だったな。


 会うのも久しぶりな気がするアッシュは、相変わらず工房にこもって物作りに没頭しているご様子。もはや行動範囲が宿屋と工房で完結しているらしい。……ゲーム内でも引きこもりとは恐れ入った。他の生産プレイヤーさんとかとの交流は……ああ、うん。分かったから。その沈んだ表情と死んだ瞳ですべてを悟りました。


 それ以上に驚いたのは、久しぶりにアッシュのレベルを確認したら52まで上がっていたこと。戦闘なんてしてないはずなのに、なんで!? と聞いてみたところ、生産系の職業を持つものは生産行為で経験値を得ることができるらしい。

 ……けど、あれだけレベル上げ頑張った俺よりもレベルが上て……。この娘さん、どんだけモノづくりに没頭してたんだろうか?


 興味がわいた俺は、アッシュがこれまでに作って来たアイテムを見せてもらうことに。まず、アッシュがどんな生産スキルを持っているかということが気になったので、教えてもらうことに。

 「えーっと」と指を折り曲げ数えるアッシュ。《鍛冶》、《料理》、《調薬》、《木工》、《陶芸》、《革細工》、《錬金術》、《装飾細工》、《裁縫》、《魔導工学》、《紋章職人》、《魔法陣学》、etcetc……。選り取り見取りというか、手あたり次第にやってるって感じだな。



「……アッシュって、結構節操ないんだな」


「そ、そんなことありませんよ? 生産って、いろんなスキルを組み合わせることで高い効果を発揮したりするので、決してあれもこれもと適当に習得したわけでは……」


「そういえば、アヤメの装備にも、いろんな技術が使われているっていう説明文があったっけ?」


「そうですそうです。なので、決して無駄なわけじゃないんです! というわけで、これを見てください」



 そう言ってアッシュが取り出したのは、一本の剣。

 刀身は朱色。鍔には琥珀色の結晶体がはめ込まれ、柄の部分には複雑な紋章が刻まれている。

 アッシュから手渡され、いろいろと観察してみる。綺麗な剣だけど……なんか、妙な圧迫感を感じるような? 



「アッシュ、これは?」


「ふふん、これはですね。『魔杖剣』シリーズナンバー1、[緋彩]という名前の新たな武器なんです!」


「『魔杖剣』?」


「ええ。たまたま手に入れたミスリルをベースにした合金で作った剣に、魔石と宝石を合成することで作ることのできる魔法石をはめ込み、トレントの枝製の柄の部分に魔法陣を刻むことで出来上がった一品です。この『魔杖剣』は剣でありながら杖という特性を持っていまして、剣スキルも杖スキルも発動できるんですよ! さらに、魔法効果の増幅などの特性もきっちりと引き継がれています! 魔法剣士のジョブもち必見の武器です!」


「お、おう」



 ものすごい勢いでまくしたてるアッシュの剣幕に、少し気圧された。さっき地雷を踏み抜いたときの沈んだ表情が何だったのかと思うほどキラッキラした瞳で、身を乗り出して説明するアッシュ。とても楽しそうだ。何言ってるかはよくわからんけどな。



「ほかにも、掌から魔法弾を撃つことができるガントレット、[魔弾の手甲]。MPを消費してスタン効果のある光線を発射する指輪、[ビームリング]。炎属性のダメージを完全に無効化する代わりに他の属性ダメージが五倍になる、[断炎の鎧]。魔法の使用が封印される代わりに物理攻撃の威力が1.5倍になる、[パワーオブパワー]。状態異常を三つランダムに付与する薬、[魔女の悪戯]。移動速度を上げる代わりに自重が軽くなる、[月面靴]なんてアイテムもありますよ!」


「……なんか、興味の赴くまま、適当に作りまくりました感がすごいな」


「はい! 目的とか特になく作っていますから!」


「言い切っちゃったかー……」



 まぁ、出るわ出るわ。武器に防具に薬にアクセサリー。あっという間に作業机の上がいっぱいになってしまった。

 どれもこれも面白そうな装備品なのは確かだ。[ビームリング]とかすごい使ってみたい。後で貸してもらおう。

 


「それと……これです」


「これは……グラタン?」



 最後に出てきたのは、陶器の器に盛られたグラタンだった。焦げたチーズの香りが食欲を誘ってくる。アイテム欄に入れておいたらしく、出来立てほやほやの状態を保っている。



「はい! 私の大好物なんですけど……。味見、お願いできますか?」


「それは勿論。アッシュ、こういう時は、お願いしますって普通に頼めばいい。断る理由がないんだからな。妙な遠慮はしないでくれると助かる」


「わ、分かりました。じゃあ……。あ、味見、お願いします!」


「了解」


 

 アッシュからグラタンを受け取り、一緒に渡された木製のスプーン(これもアッシュが作ったらしい)で掬い取り、一口。パクリ。

 これはポテトグラタンかな? ほくほくのジャガイモが口の中で崩れる。

 ホワイトソースが絡んだマカロニはグラタンの具材の中でも特に好きなモノなのだが……うん、しっかり入ってるな。てか、この世界にもマカロニってあるんだ。

 もっしゃもっしゃと、熱々のグラタンを掻っ込む。やっぱり熱々のときが一番美味しいな。間違いない。


 

「ふぅ……」



 すぐに食べ終わってしまったな。もっと食べたい……そんな欲求が湧き上がってくるが、まずはドキドキした様子でこちらを見つめるアッシュに、感想を言わないと。


 とはいえ、そう難しく考える必要はない。この料理を食べた感想は、たった一言で十分だ。



「美味い」



 料理を作る人は、食べる人のその一言がほしいだけなんだから。


 パァ! と、不安そうな表情を一転、笑顔に変えたアッシュ。なんだろう、凄く頭を撫でてあげたくなる。

 そう頭に浮かんで来たら、我慢はできなかった。アッシュの頭に手をのせ、ゆっくりと撫でる。



「ふぇ!? り、りりりりりりりりりりりりリュー!?」


「なんか目覚ましみたいになってるぞ?」


「りゅ、リューがいきなり……! あ、頭なでるから……!」


「そーれ、うりうりー」


「にゃあああああああああ!」



 なんだこの可愛い生物。癒される。よっしゃ、アヤメも召喚して癒しを二倍にしようじゃないか!

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