表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソロ神官のVRMMO冒険記 ~どこから見ても狂戦士です本当にありがとうございました~  作者: 原初
二章 ランクアップ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

131/250

決闘②

 『雷神槍』ライゴ。

 その名はPvPを専門にしているプレイヤーの間では、かなりの有名人だ。

 サンクヴィレにある闘技場にて、最強の存在である『戦神王』までとはいかないが、ランキングで上位に食い込んでいるプレイヤーである。

 その戦闘スタイルは、二つ名の通り槍と雷属性魔法を使った近~中距離戦闘。特にアーツや魔法で底上げされた加速による突進チャージは、彼の代名詞のようになっている。

 その圧倒的な速度、そして鋭さは、まさに雷鳴。


 だから、この決闘でもライゴはその突進チャージを中心に戦いを組み上げていた。



「【アクセラレイション】! 【サンダーウェポン】!」



 《雷精魔法》の一瞬だけAGIを二倍に引き上げる魔法と武器に雷撃を纏わせる魔法を発動。そして、少し離れた場所で紅きメイスを構える神官に向かって、《槍錬士》のアーツを打ち放つ。



「【ブリッツスタブ】!!」



 ぎゅんッ!! という急激な加速。遠目に見ても一瞬消えたかのように見えた。

 そんな速度で放たれた突きが、リューへと襲い掛かる。だが、リューの視線はまっすぐにライゴを捉えていた。紅戦棍を構える手が、動く。



「(なッ!? 反応されッ!?)」


「【エコーブロウ】」



 真正面からぶつかり合う雷を纏う槍と衝撃を放つメイス。突進の勢いがあるライゴが推し勝つが、突き自体はそらされてしまい、リューには刺さらない。リューへのダメージは槍に纏わせた雷がかすった時のものだけ。そのダメージも瞬時に【ヒール】で回復されてしまう。

 逆に、リューの放った【エコーブロウ】の衝撃波は、ライゴのHPを確実に削っていた。

 

 自慢の突進チャージに対応されたライゴは、リューから距離をとると、苦し気に表情を歪めた。



「(や、やりにくぅ……。何やコイツ。どないして、こんな簡単にワイの攻撃に対応してくるんや)」



 決闘が開始してすでに五分が経過している。

 最初のころは、ライゴの突進チャージはリューに有効に働いていた。雷速の突きをぎりぎりで受けることしかできていなかったし、一度は直撃もしていた。

 その傷はすでに、リュー自身の手によって回復している。リューのHPは常に満タンだった。

 


「(ワイの攻撃が効かない……? てか、なしてコイツはワイの攻撃に反応出来とるんや? ……くそっ、分からへんわ)」



 自分の一番得意な攻撃が。一番信じていた一撃が。こうも簡単に攻略されたという事実は、ライゴに焦りを与えた。

 

 そんなライゴに、今度はリューが突っ込んでくる。強化されたSTRとAGIで加速し、紅戦棍の柄の柄頭に近い位置に手を添えるという変わった構えのままライゴに襲い掛かる。

 ライゴは迎撃のために槍を振るい、払いを放つ。長く固い棒に遠心力が乗った一撃は、一点集中の突きとは違い制圧力のある攻撃だ。

 リューはその払いに、紅戦棍を握った腕の肘をぶつけてきた。多少のダメージは入ったが、槍が弾かれてしまう。リューが槍の軌道を読んで、しっかりと肘を固めていたのだ。

 槍を弾き飛ばされたライゴは、真正面から身体の全面をリューに晒してしまう。



「ハァッ!!」


「ぐあっ!」



 懐に入り込まれ、紅戦棍の柄頭が体当たり気味にライゴの額を打った。衝撃が走り、ライゴの視界に星が飛ぶ。



「うぐッ……。な……めんなやッ!!」



 ライゴは崩れそうになる体勢を強引に持ち直した。そして、地面を強く踏みしめる。



「【スパークウェイブ】ゥ!!」


「………ッ!」



 引き戻した槍を紅戦棍にぶち当て、そこから電撃を流し込む。とっさの行動だったが、これがライゴに最高のチャンスを与える。

 

 リューのHPゲージの横にデフォルメされた稲妻マークが表れる。『麻痺』の状態異常を示すアイコンだ。行動を阻害し、一時的に身動きが取れなくなる。【スパークウェイブ】の追加効果である。発動自体が低確率であり、リューのように高いMINDを持っているとさらに効きづらくなるそれを、この場面で引き当てたのだ。



「【サンダーウェポン】! 【ぺネトレイション】! 【パワースタブ】!」



 チャンスや。と、ライゴは突きの威力を強化する魔法やアーツを発動する。そして、動けないリューに向かって、最強のアーツを発動する。



「喰らえやッ!! 【ボルテックスファング】ゥウウウウウウウウウウウウウウウッ!!!」



 バチバチッ! とライゴの槍の切っ先に、雷光が集まり、強烈なスパークを放つ。その雷光は獣の頭を模した形へと変形し、ライゴの放つ突きと共にリューへと牙を向く。


 雷閃が走り、力強く突き出された槍はリューの胴体にクリティカルヒットする。赤いエフェクトを散らしながらリューの体を刺し穿った槍は、腹を食い破り背中から貫通した。


 雷撃での追加ダメージもあり、リューのHPが大きく削られる。一気に七割は持っていかれただろう。



「うぐぅ……」


「なんや、自分もう麻痺が解けたんか。……ああ、一応神官職やったな。だったらそのMINDの高さも納得や」



 ライゴが軽い口調で言う。だが、口調ほどその表情に余裕はなかった。

 先ほどの一撃。あれはライゴに出せる最大瞬間火力だったからだ。そんな一撃でも倒れないリューに、戦慄に近い感情を覚えた。


 だからだろうか、それに反応できなかったのは。


 ガシッ! とリューの両手がライゴの槍を掴む。

 


「【エンチャントブースター】」



 リューは早口にそう詠唱し、自身にかかっている強化効果を引き上げる。

 《信仰の剣》、【ストレングスエンハンス】、【ブーステッド・STR】によって過剰に強化された筋力(STR)が、さらに強化され、リューに大きな膂力を与える。


 そして、その膂力のほしいままに両腕に力を籠め―――ライゴの手から、槍を奪い取った!


 

感想、評価、ブックマを付けてくださっている方々、本当にありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ