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ソロ神官のVRMMO冒険記 ~どこから見ても狂戦士です本当にありがとうございました~  作者: 原初
二章 ランクアップ編

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召喚魔法の活用法

お久しぶりです。

更新を再開します。

お待たせ……待っていてくれたと信じたいですが、まぁ、お待たせしました!

「……と、いうわけで。レベル上げが終わったわけだが……」



 あの空飛ぶ蛇……スカイサーペントを倒したおかげで、俺のレベルはめでたく50になった。さすがはレアモンスター、経験値もうまうまだった。

 ちなみに、レアモンスターというのは、各フィールドに一体ずついる出現率の極端に低いモンスターのことを言うらしい。経験値が他のモンスターとは比べ物にならないほど高かったり、手に入る素材も希少なモノが多い。あと、魔石が必ず手に入るという特徴もある。

 まぁ、その分ステータスは通常モンスターなんかとは比べ物にならないくらい高いらしいが……瞬殺したので、その辺の実感がまるでない。



「思ったより早く終わってよかったっす。退屈で死にそうだったっすから」


「俺も、もうトカゲの相手はこりごりだ。しばらく爬虫類は見たくない」


「……ところで先輩? ドラゴン系のモンスターと戦えるフィールドってものがあるんすけど……」


「ドラゴン!? 何それ行ってみたい。どこにあるか詳しく」


「爬虫類は見たいくないんじゃなかったんすか……?」



 それとこれとは話が別である。ドラゴンとか戦ってみたいに決まってるじゃないか。ワイバーン戦は面白かったし、飛行系モンスターとの戦いはスリルが段違いで楽しいし。



「ま、ドラゴンより先に転職っす。さっさと済ませてライゴさんのところに報告するっす」


「……ああ、そう言えばそいつが俺のギルド加入にごねたせいで俺はこんな目に遭ってたんだっけか? トカゲ狩りに集中しすぎて忘れてたわ」


「記憶力モンスターが何言ってんすか。ほら、さっさとカトルヴィレに行くっすよ」


「カトルヴィレ? そこに行かないと転職はできないのか?」


「はいっす。カトルヴィレにある大教会で転職ができるんすけど……も、もしかして先輩、カトルヴィレに行ったことが……?」


「ないな」



 カトルヴィレと言うと……アンヴィレ、ドゥヴィレ、トロワヴィレと続いて四つ目の町ということかな?

 俺の答えに後輩は慌てた様子で突っかかてくる。



「どうするんすか先輩!? カトルヴィレに行くには結構めんどくさいボスを倒さなくちゃいけないんすよ!? こっからトロワヴィレに戻って、そのあとフィールドを一つ攻略してボスも倒してって……時間ギリギリっすよ!?」


「あっ、そろそろ昼飯の用意しなきゃいけない時間だ。一端ログアウトしないと」


「さらに絶望的!? ホントにどうするんすか! カトルヴィレに行くために攻略しないといけないフィールド、『大樹の草原』はアホみたいに広いことで有名なんすからね!」



 ふむ、『大樹の草原』か……。まぁ、山場とか海岸とかなら考えようだったけど、草原なら何とかなるかな?

 さっきステータスを確認したときに見つけたアレを使えば……。うん、まぁ何とかなるだろ。ならなかったら……その時はその時ってことで。



「喜べ後輩」


「……この状況で、何を喜べっていうんすか?」


「フィールドが広いだけならどうとでもなるということだ。解決策はすでにあるから、とりあえずトロワヴィレに戻ってログアウトしよう。食料品とかも仕入れておきたいし」


「い、今からトロワヴィレに戻るんすか? でも、現在地なら安全地帯セーフティエリアでログアウトした方が……」



 心配そうに告げる後輩に、大丈夫、と微笑みかけてから、俺はある魔法の詠唱時間キャストタイムに入る。初めて使う魔法で、詠唱時間キャストタイムはかなり長い。



「…………………………よし、【召喚『空を往く大鳳』】」



 魔法が発動し、MPが消費される。地面にかなりの大きさの魔法陣が展開された。


 魔法陣から光の粒子が立ち昇り、それが形を成していく。最初は小さな球体だったそれは徐々に形を変えて……最終的に俺が倒したワイバーンと同じくらいの大きさの鳥になった。


 魔法陣から現れた鳥は、きょろきょろとあたりを見渡した後、俺の方に視線を向けた。そして、小さく「クェ」と一鳴きして大きな嘴のついた顔をこすりつけてきた。

 おお……ふわふわだ……。これが天然の羽毛布団か……。

 ひとしきり俺にじゃれついた鳥は、背中を向けて伏せ、顔だけ振り返って再度「クェ」と鳴いた。まるで「乗れ」と言っているようである。


 ―――召喚魔法【召喚『空を往く大鳳』】


 召喚魔法レベル30で覚えた魔法であり、その効果は見ての通りこのデカい鳥を召喚すること。

 しかし、この魔法は戦闘時にはまるで役に立たない。何せ、この鳥は戦闘能力を『一切』持っていない。大きくて鋭い嘴や刃の如きかぎ爪で攻撃してもダメージは発生せず、逆に攻撃を受けたらそれだけで召喚が解除されてしまう。

 この魔法で召喚される大鳳は、『移動用』なのだ。召喚主を含め、三人までなら搭乗可能な航空輸送用使い魔を召喚する魔法こそが、【召喚『空を往く大鳳』】なのだ。

 まぁ、どこにでも行けるわけじゃない。自分が行ったことある町か、行ったことがあるフィールドの入口、安全地帯セーフティエリアとボスエリアの直前のみ。多分だけど、上位の召喚魔法では自由に飛行できる召喚獣を使役することができるんじゃなかろうか?

 新しく覚えた召喚魔法はこれ以外にもあり、そちらを使えば後輩の言っていた広いフィールドの方も大丈夫……だと思う。

 これなら、フィールドの中でもボスエリアに近いここからでも、すぐにトロワヴィレに戻ることが可能だろう。


 俺が召喚した鳥を見て、啞然とした表情を浮かべている後輩に声をかける。



「よし、行くぞ後輩」


「いやいやいやっ!? 行くぞじゃないっすよ!? なんなんすかこのおっきな鳥は!?」


「戦闘能力のない航空輸送専用の召喚獣」


「……要するに、これに乗ってトロワヴィレに戻るから、時間は気にしなくていい、と?」


「そう言うことだ。さ、乗ってくれ」


「……鳥ってことは、飛ぶんすよね?」


「当たり前だろ。この外見で走ってくと思うか?」


「……実は私、高いところが『死ぬほど苦手』なんすけど…………」


「……下見なきゃ大丈夫大丈夫」


「あははー、そんなわけ……って、先輩!? アヤメちゃんに私の背中押させるのやめてくれないっすか!?」


「大丈夫大丈夫、怖くないから、な? アヤメ、《闘気》使っていいから後輩をこの鳥の背中に乗せるんだ」


「………………(こくこく)」


「あ、アヤメちゃん!? 持ち上げるのは卑怯っすよ!? 先輩も何言ってやがるんすか!? やーめーるーっすーッ!!」



 後輩の必死の抵抗も、全身に気を纏ったアヤメにはなんの痛痒にもなっておらず、さっくりと鳥の上にご案内される後輩。後輩を乗せたら、俺もアヤメも鳥に飛び乗り、「トロワヴィレまで」と短く指示をだす。

 俺の指示を受け力強く羽ばたく鳥は、風で砂を巻き上がらせながら空へと舞い上がった。


 溪谷を抜けて、一気に視界が開ける。空から見る景色は、思わず吐息を漏らしそうになるほどに美しい。


 ……だが、



「ぎゃああああああああああっ!!? 高い高い高いぃいいいいいいいい!?」


「ちょっ!? 俺に抱き着くのはやめろぉ! バランスが崩れッ……」


「………………(ぎゅっ)」


「ナイスだアヤメ! そのまま支えててくれるか?」


「………………(こくこく)」


「うわぁああああああああん!! 先輩のアホーーーーーーーッ!!」


 

 ……いろいろと台無しであった。鳥が大きいから、下なんてほとんど見えないんだけどなぁ。


 その後、後輩の悲鳴をBGMにしながら空を飛び、俺たちは歩くよりもずっと早くトロワヴィレに到着した。


 

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