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ソロ神官のVRMMO冒険記 ~どこから見ても狂戦士です本当にありがとうございました~  作者: 原初
二章 ランクアップ編

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委員長

 FEOを始めてからちょうど十日目の朝。

 いつもより一時間ほど早く起きた俺は、動きやすい格好に着替えてからまだ薄暗い外に出た。昨日言っていたランニング。あれを本当にやってみることにしたのだ。やはり有言実行って大事なことだと思うんだ。

 ルート的には、家から学校近くまで走り、そのまま帰ってくるといった感じを予定している。たぶん三十分くらいかな?

 ランニングシューズの靴紐をしっかりと縛ってから走り始める。こんな時間に外に出ることはそんなにない。昼間のような暑さはまだ感じられない町は静かだった。

 時折すれ違う、俺と同じようにランニングをしている人に挨拶を返し、一定のリズムで走っていく。五分もすればうっすらと汗をかき始めた。朝方で涼しいとは言え、夏は夏だな。

 学校につく頃には少しばかり顔を出しているだけだった太陽も登り切り、元気よくその熱気と光をまき散らし始めていた。もうちょっと手加減してくれてもいいんだよ……?



「あれ? もしかして……新城君?」



 学校近くの公園の水道で水分補給をしていた俺の背後から、名前を呼ぶ声が聞こえてきた。

 振り返ってみると、ウチの学校の指定ジャージを着た女子が一人、驚いたような表情で立っていた。

 


「おん? 委員長じゃないか。終業式ぶりだな」


「ええ、そうね。新城君もランニング?」


「おう、今日から始めてみようかと思ってな。その様子だと、委員長は日課でランニングしてるのか。さすが陸上部の新人エース。やる気が違うな」


「ま、このくらいはね? 中学のころから続けてることだし、何でもないわ」



 そう、嫌味など全く感じさせない透き通るような笑顔で言う少女。

 俺の呼び方からなんとなく分かるだろうけど、彼女は俺や太陽、蒼が所属するクラスの学級委員長を務めている。名前は佐倉利亜(さくら りあ)。


 委員長という呼び名にふさわしい真面目さんで、小中と学級委員長を務め続けたと言う、いわば委員長のプロ。

 黒髪おかっぱ。制服のスカートを短くしたところ何ぞ見たことがない。今はかけていないが、制服時はいつも赤渕眼鏡をかけている。まさに委員長の中の委員長だ。

 なお、彼女が委員長に抜擢されてから、名前呼びをされているところを見たことがない。先生ですら委員長って呼ぶからなぁ……筋金入りである。

 後、陸上部で期待の新人って言われてるそうな。短距離走ですでに二年よりも速いらしい。


 そんな我らが委員長様は、俺の後に水道で水を飲むと、きょろきょろと周りを見始めた。一体何を……って、ああ、そう言うこと。



「委員長、あいつは朝が弱いから、早朝ランニングなんてものには来ないぞ? あいつ、夏休みのラジオ体操だって一度も参加したことないからな」


「なッ!? べ、別に千代原君のことを探してたわけじゃないわよ!」


「俺は別に、太陽のことなんて一言も言ってないけど?」


「……ッ!! だ、騙したわね……!」



 顔を真っ赤にしてこちらを睨みつけてくる委員長。おうおう、美人系の委員長の怒った顔は迫力があるなー。

 まぁ、この反応でお分かりだと思うが、委員長はあのアホ……もとい、太陽に惚れている。あいつの何がいいのかはよくわからないが、それはもうゾッコンである。

 太陽のヤツは、本当にモテる。世の女性運に恵まれない男どもが聞いたら憤死してしまうんじゃないかってくらいモテる。FEOでハーレムなんてものを形成している時点でお察しだろ? まぁ、顔立ちは整っていて、性格は明るく誰にでもフレンドリー。勉強はできないんじゃなくてやる気がないだけで、やろうと思えば普通にできる。困った人を見ると手を貸してあげなきゃ気が済まないというどこぞの主人公みたいな正義感あふれる性分……アレ? よくよく考えると、モテる要素しかない……だと? 

 ゲーム馬鹿なのが玉に瑕かもしれないが、このご時世、そんなことを気にするような人も珍しいだろうし……何だこの、鉄壁の布陣。

 

 俺が太陽のハイスペック具合に愕然としていると、冷静になった委員長がジト目を向けてきているのに気付いた。こほん、と咳払いを一つ。



「それで? 委員長は仮に太陽がいたとして、どんな話をするつもりだったんだ?」


「べ、別に……。普通のことよ、普通のこと」


「ほう、普通とな?」


「ええ、普通のことよ。夏休みの宿題はちゃんとできてるかとか、夏バテになってないかとか、ちゃんと食事はとっているのかとか、夏休みの間で暇な日はないかとか……って、その生暖かい視線は何かしら?」


「いや、別に? 何でもない何でもない」



 ふぅん、宿題の心配は何もおかしくない。夏バテを心配するのも、まぁクラスメイトの健康を考えるという点から見れば変ではないだろう。けど、食事の心配はねぇ……。それに、夏休みの予定とな? 暇な日を聞いてどうするつもりですかね?


 いやぁ、愛されてるなぁ、太陽。モテたためしがない身としては羨ましい限りだよ。



「まったく……。じゃあ、アタシはそろそろ行くわ」


「そうか。太陽と出掛けたりしたいときは気軽に連絡してくれ。アイツのスケジュールくらいなら簡単に手に入るからな」


「なッ!? ………………か、考えておくわ」


「おう、いつでもいいからなー」


 

 だっ! と駆けていく委員長を手をひらひら振って見送る。まったく、素直じゃないところも相変わらずで。


 公園の時計で時間を確認。うん、そろそろ帰りましょうか。

 うーん、それにしても……。委員長が去って行った方向を見ながら、首を傾げる。


 なんか、つい最近委員長にあった気がするんだよなぁ……。なんでだろうか?


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