飛竜殺しの神官様①
評価人数が500を超えていた……。夢じゃないみたいなので、すっごいうれしい。うれしすぎて今更シャドバ始めるレベル(意味わかんね)
買い物を終え、途中で偶然出会った後輩と一緒に帰宅。その後、この辺でもかなり老舗な喫茶店に後輩と二人でお茶をシバきにいった。
マスター自慢のコーヒーと生クリームと果物が豊富に乗ったパンケーキを二人一つで突っつきながら、後輩といろいろな話をした。中学時代は部活でこうやってゆっくり話すことも多かったが、俺が卒業してからはこんな機会もなかなかなかったから、話す話題には困らなかった。高校生活のこと、後輩が三年生になって部活に入って来た新入生の話。あの先生は何してんのかとか。勉強の愚痴。夏休みに入ってから起こった出来事。そして、話は自然とFEOの話に移っていた。
後輩は【フラグメント】のメンバーの中でも古参だったらしい。ちなみに、後輩はアポロが太陽だということと、サファイアが蒼であることを知っているが、あの二人は後輩の正体は知らないらしい。リアルでも、後輩とあの二人って面識なかったんだな。初めて知ったわ。……中学時代の記憶をあさっても、後輩とあの二人が一緒にいるところが思い出せなかったんだから、本当なのだろう。会う機会なんていくらでもあったと思うんだけどなぁ?
後輩から、これまでギルドとして活動していて起こったことを教えてもらったり、ディセクトゥム戦のことを話したり、あの二人が何か迷惑をかけてないか聞いてみたり。今まで受けたクエストの中で一番難しかったもの。変わったアイテムのこと。アポロハーレムのメンバーのこと。サファイアファンクラブなる連中の話………。FEOの話題は、多岐にわたった。
まぁ、聞くところによると、あの二人も存外リーダーと副リーダーとして頑張っているらしい。少人数だからあいつらでも管理できてるんだろうけど……。それは言いっこなしてことで。
アポロハーレムとか大丈夫なのか? とか、あのパルケスのヤツはサファイアになにもしてないよな? とか後輩に聞くと、「やっぱり先輩は、全力でお兄ちゃんなんすねぇ」と呆れたように笑われてしまった。「お、弟分と妹分を心配するのは普通のことだろ?」と言い返しても「はいはい」と軽く流される始末。……そんなに、あいつらのことを気にしてるように見えるだろうか?
そんな後輩との語らいも、夕飯の時間が近づいてくる頃には自然と終わりを告げた。喫茶店の支払いはもちろん俺持ちである。後輩の女の子に金出させるのもどうかと思うし……。
「また明日っすー!」と手を振りながら帰っていった後輩を見送り、俺も帰宅。
帰ったら、今日も今日とで太陽と蒼の分まで夕食を作り、風呂に入って自分の部屋に戻った。時刻は午後十時半。まだ寝るには早い時間だ。こんな時は読書をするか、ネットでニュースでも見るか、太陽に勧められたアニメでも鑑賞してみるか……。
そんなことを考えていると、ふと思い返されたのは、今日の『竜の溪谷』でのトカゲ討伐のこと。わらわらと湧き出てくるトカゲをメイスで砕き、吹き飛ばし。時に【召喚『サラマンダーの息吹』】で焼き払う。レベル45くらいまでは『竜の溪谷』でリザードマン狩りをするのが一番効率的なそうなので、明日もせっせとトカゲ狩りをすることになるだろう。あのライゴとかいうやつを見返すために必要なことなので、別に不満はない。……無いのだが…………。
気が付いたら、俺は夜闇に沈む『竜の溪谷』に一人で立っていた。
……いや、違うよ? 別に強敵と戦いたくてうずうずしてたとか、今日の戦闘が物足りなかったとかじゃないよ? うん、そんなこと全然ないない。
ただ、ただちょっとここのボスだというワイバーンがどんなモンスターか気になったから、見学ついでに戦ってみようかなって。うん、それだけそれだけ。他意はない。
飛行系モンスターは初めてだからなぁ……どうやって攻略しようか、今から楽しみ……うん、何でもない、ヨ?
さ、さぁて、ワイバーンの待つボスフィールドはログアウトした安全地帯からすぐらしいし、一気に駆け抜けようか!
紅戦棍を片手に、【アジリティエンハンス】で敏捷を上げ、夜の溪谷を駆け抜ける。雲が出ていない夜空には半月が浮かんでおり、渓谷の岩肌を時折その光で照らしていた。
そんな神秘的な光景を眺める暇もなく、わらわらとあふれてくるリザードマンの群れを、【エコーブロウ】や【インパクトシュート】、【グランドシェイク】などのふっ飛ばし系のアーツで押しのけて進む。ふはは! 貴様ら程度の前菜に構っている隙は無いのだよ!
そうやってフィールドを駆け抜けること五分ほど。今まで「道」の体を成していた溪谷に「広場」が表れた。円形の広場は自然の闘技場とも、絶壁によって逃げ足を断った処刑場にも見える。
そして、その絶壁に張り付くように、そいつはいた。
今まで見た中で最もデカかったディセクトゥムよりもなおデカい、全長15メートルほどのそいつは、確かに『竜』だった。こげ茶色の鱗に覆われた身体。前足と一体となった蝙蝠のような翼。強靭な後ろ足。先端に鋭い棘のついた太く長い尾。鋭利な角が生えた頭部に、ナイフのような牙の並ぶ口。
そして―――俺を睨みつける、暗く濁った赤黒い瞳。
「キシャァアアアアアアアアアアアアアッ!!」
大咆哮。絶壁から夜空に舞い始めた。ワイバーンの放つ大音量のそれが、大気を叩き俺に襲い掛かってくる。それと同時にワイバーンの頭上にHPゲージが表示された。レベルは………45、か。上等だ。
俺は口元に抑えきれぬ笑みが刻まれることを自覚しながら、構えた紅戦棍を……アイテム欄にしまった。
いきなり武器をしまった俺にワイバーンがいぶかし気な視線を向けてきたような気がしたが、スルー。
え? なんで紅戦棍をわざわざしまったかって? いやぁ、最近《格闘術》をあんまり使ってなかったし、それに、空中にいる相手にメイスってのもあれだろ? だから、今回はメイス禁止の魔法&格闘だけで戦いたいと思う。
さぁ………存分に楽しもうじゃないか、なぁ、デカトカゲ?
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