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ソロ神官のVRMMO冒険記 ~どこから見ても狂戦士です本当にありがとうございました~  作者: 原初
二章 ランクアップ編

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買い物する神官さん(リアル)

 そこは、戦場である。


 普段はどこにでもある普通のスーパーマーケット。食料品や生活必需品が並ぶ、ここら一帯では一番大きな店。


 そんな店は、一か月のうちの数日間。ある一定の時間から戦いの場へと変貌する。


 主婦たちが家計の守護者として、より安いモノを求め、それを手に入れるために数多のライバルと血で血を洗う戦いを繰り広げる。


 明確に勝者と敗者が分かれ、勝者は華やかなる栄光と商品を手に入れる。敗者の手には何も残らない。


 時刻は午後4時少し前。店内には奇妙な緊張感が流れ、客たちの覇気が高まっていく。


 そんな主婦しかいない客の中に、場違いな高校生くらいの少年が一人。周りの主婦はそんな少年に怪訝そうな視線を送り……すぐに、それを警戒したものに変える。


 少年から発せられる覇気は、この場にいる歴戦の戦士(主婦)と遜色のないものだった。鋭い視線は店内を一切の油断なく見渡し、行動の端々でさりげなく体をほぐして来たる戦いに備えている。


 

「……何もんだい? あの小僧は?」



 少年を見る視線の中に、ひときわ鋭いモノがあった。その視線の主は、この界隈に置いて『閃光の奪手』の異名を持つ初老の女性だった。すっかり色素が抜けた髪、皺の目立つ肌。だが、その眼光だけは剣のごとく鋭利であった。

 ふと、振り返った少年と『閃光の奪手』の視線が交差し、すぐにそらされた。



「……ふっ、まだあんな兵が残っていたとはね……。今日の戦場は荒れるよ」



 両者の間に言葉はない。されど、僅かな時間の視線の交錯で、『閃光の奪手』は少年の実力を見抜いていた。あれは強者である、と。


 『閃光の奪手』がそうつぶやいたのとほぼ同時に、戦の始まりを告げる音が鳴った。その瞬間、その場に流れていた静寂は消え切った。


 さぁ、戦士よ。己の栄光と家計のために戦え!



 ―――――戦争タイムセールの始まりだ!!















「ふぅ……。うん、これで全部かな?」



 へたり込むようにして座った木陰のベンチ。その傍らには、一週間分の食材やらなんやらが詰まった袋が置かれている。いつも買い物に来るときよりよっぽど量が多い。まぁ、人数が+2されたんだから仕方がない。重量もそれなりのものになっている。食料品だけならこうはならなかったんだけどね? 洗剤とかゴミ袋とかが安くって、つい……。ら、来週にはなくなりそうだったから決して無駄な買い物ってわけじゃないんだよ?


 それに、ちょうどタイムセールの時間だったので安くなっていた商品が結構あったのも原因だろう。

 あのスーパー、タイムセールの時間だけFEOで戦闘してるのを思い出すくらいである。なんだあの威圧感あふれる空間。正直怖かったぞ? やたら動きの速いおばあさんやら、動きが豪快過ぎて近づけない主婦の方。眼力が強過ぎて回りの主婦たちをビビらせていた奥様……。

 たまに聞こえてくる『閃光の奪手』やら『移動要塞』やら『魔眼蛇女』やらも気になったといえば気になった。何その厨二……。意味が分からなすぎるんだが……。

 タイムセールの時間に買い物に来るなんて、今まであんまりなかったしなぁ。それに、買うものが増えてお値段が少し気になったということもある。一人の時は気にならなかったんだけどねぇ? 


 それにしても、このクソ暑い中を、重い荷物持って移動するのがここまで大変だったとは……。スーパーから家まで徒歩でニ十分の道のりが永遠のように感じられる。

 今俺は、その道のりの半分ほどの位置にある公園にて、一時休憩をしていた。一気に帰ってしまってもよかったのだが、想像以上に疲れてしまったのだ。

 ううむ、これはFEOのやり過ぎによる体力の低下か……? 最近、全然動いてないもんなぁ。

 夏の暑さなどものともしない子供たちが公園内を走り回ってはしゃいでいるのを何気なしに眺めながら、運動不足を解消する方法を考える。



「ふむ、日課に朝のジョギングでも追加するか? 起きる時間を一時間くらい早くすれば……」


「なんかそれ、健康と体重に気を使う主婦みたいな感じがするっすね」


「誰が主婦か……って、あれ? 後輩?」



 いきなり失礼なことを言われ、思わずそれにツッコむと、俺が座っているベンチの前に私服姿の後輩が立っていた。その顔にはムカつくほどに楽し気な笑みが浮かんでいる。



「ふふっ、さっきぶりっすね先輩。貴方の可愛い後輩ちゃんっすよ?」


「……うわ、久しぶりに聞くとすげぇムカつくわ、そのセリフ」


「失礼っすね!? ……ちなみに、どのへんにムカつくんすか?」


「え? 臆面なく自分で可愛いって言うところ」


「……あはは。まぁ、私がそんなことを言うのはおこがましいっすよね……分かって」


「実際に可愛いのは十二分に承知してるんだ。その残念な言動がなければ完璧なんだがなぁ……」


「ま……すわぇぅッ!?」


「おわっ!? い、いきなりどうした?」


「せ、先輩がいきなり変なこと言うのが悪いんすよ! 先輩のアホ! バカ! スケコマシ!」


「ちょっ、おまっ、不穏なことを言うな!」



 言うに事欠いてスケコマシってなんだ。スケコマシって!


 なぜだか顔を赤く染め罵ってくる後輩をなだめようとする。ああもう! 公園で遊んでいる子供たちの親御さんらしき人たちからの視線が痛い!


 

 というか、何しに来たんだよ、この後輩は!?



 



 

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― 新着の感想 ―
[良い点] リアル話が有るのはVRならではの魅力だよね。
[一言] 個人的には後輩キャラが好きなのでこれから絡みとイチャイチャを増やしていただけると有難いです。 アッシュとの絡みも増えると嬉しいです!
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