『タイミングの悪い知らせ』
「それじゃあ、後は任せたぞ菜月。」
そう言うと先生は真白を置いて早々と部屋を出ていった。
「さあ、真白ちゃんここに座って」
残された真白に咲夜は目の前に椅子に座らせた。
改めて真白を見ると、着ているブレザーはこの辺りの学校指定のものではなかった。胸ポケットに縫い付けられている校章も見覚えのないものだった。
「どうかしたの?」
ジロジロと見ていたものだから真白が不思議そうにこちらを覗き込んできた。
「いや、この辺りでは見たことない制服だなと思っただけなんだけど。」
「だって真白ちゃんこの辺りに住んでる娘じゃないもん。」
そう言った咲夜の手にはいつの間にか白いビニール袋が握られていた。
「はいこれ」
そう言って咲夜は真白にビニール袋を手渡すと真白は嬉しそうに受け取り中のものを取り出して見せた。
「ん、それって」
中に入っていたのは白いセーラー服だった。
「この学校指定の夏服ですよ。」
「何でそんなもの?」
そう言うと真白はニッコリと笑顔になり、隣に座る咲夜は得意気に胸を張っている。
「何なんだよ一体。」
状況の分からない俺だけが取り残されていた。
「教えて上げようか?」
咲夜の問いにうなづくと、咲夜は真白と顔を見合わせ立ち上がると
「なんと!まし…」
「会長、真白さんの編入に関わる書類揃えて来ました。」
セリフを遮られた挙句、いいたかったかこともバラされた咲夜は開けた口が閉じなくなっていた。
真白も苦笑いを浮かべている。
「ど、どうかしましたか?」
真花は状況が呑み込めず困惑しているようだ。
「真花…」
「は、はい」
ゆっくりと近づいていく咲夜に真花はその場で固まってしまっていた。そして
「何で今なのー!」
「ひゃあ!」
咲夜は真花をくすぐり始めた。
「やめてください会長!」
「やめません!」
真花は逃げようと必死にもがいているが、咲夜にガッチリ抑えられ逃げられなくなっていた。
そんな様子に呆れていると真白が困ったようにこちらを見て、
「と、とりあえず編入するのでしばらくよろしくね幸多郎くん。」
と言った。ちなみに真花はしばらくくすぐられていたが目に涙が溜まり始めたところで真白に助けられていた。