表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/9

『土曜日の憂鬱(?)』

「咲夜、少しいいか?」

「ん?何」

「お前俺になんかいうことあるだろ」

「んー、手伝ってくれてありがと?」

「…。」


制服に着替えさせられて訳もわからず向かった場所は学校だった。何があるのかと思い着いていくと、

「生徒会室…?」

咲夜がニヤリと笑い、気がついた。

回れ右をして思いっきり地面を踏んだ。

「逃がすか!捕まえろ!」

咲夜の合図と共に、目の前の扉が勢いよく開かれ小柄な人影が飛びついてきた。

「逃がしません。」

「ぐあ!」

そのまま倒れ込むと一瞬のうちに身動きが取れないように押さえつけられた。

「ナイス〜」

咲夜は嬉しそうにこちらに寄ってくると覗きこむようにして俺を見た。

「さぁ観念しろ、コータ。この場所に来た時点で私たち生徒会のお手伝いさんになることは決定したようなもんなんだからさぁ。」

「そうですよ、幸多郎さん。諦めて私たちにこき使われてください。」

小学生と言われても納得してしまう程しかない身長からは考えられない力で押さえつけられ俺は一切身動きを取ることができなかった。

「とりあえず俺を解放しろ。」

「嫌です。」

「ぐぎぎ…」

更に力が込められ一瞬息苦しくなった。

「どうします?」

「分かった、大人しく従う」

「素直ですね」

小さな身体が離れ圧迫感から解放される、と同時に

「うらっ!」

「あ、」

起き上がってすぐに走りだした。後ろで咲夜の間抜けな声が聞こえ―

「だと思いましたよ」

「へぶし!?」

両足を掴まれ顔面から倒れ込んだ。そして俺が痛みに悶絶してる間にまた同じように押さえつけられた。ただし今度はこちらを気絶しにかかっていた。

「ぐあああ」

「今度は容赦しません。」

首が思いっきり絞められ息苦しくなる。しばらくして視界が揺らぎ意識が朦朧としてきたところで

「はい、おしまい。ほらコータを解放してあげて」

この事態の元凶が止めに入った。

「分かりました、会長」

そういって俺を解放するとトテトテと咲夜の右隣に立った。

「ありがとう、真花まなか。」

咲夜に頭撫でられて恥ずかしそうにしている様子を見ていると先程までの彼女が嘘のようだった。

「それじゃあ」

真花の頭を撫でるのをやめ廊下に座り込む俺の正面に咲夜はしゃがむと

「今日一日、コータに生徒会役員代理として働いて貰うね」

ニッコリと笑顔を見せる咲夜の背後から発せられる、殺気ともとれる気配を強く感じた俺は素直に応じるしかなかった。

こうして俺は休みのハズの土曜日を役員代理として生徒会の業務にあてられた。

そして現在、

「ちげぇよ、何で俺に手伝わせてる理由だよ、理由。他の奴らはどうした。」

「私達以外は用事や連絡無しで欠席です。もしこの仕事が今日中に終わらなかった場合全ての責任はこの場にいない不届き者に取らせるので安心して失敗してください、幸多郎さん。」

「失敗すること前提にしてるのやめてくれないか?」

落ち着いているように見えるが御立腹のようだ。

なるほど、この場にいない奴らは何かしらの理由を付けて来られなかったのか。

…2人だけ?

今この場にいる生徒会のメンバーは会長の咲夜と…

「咲夜、こいつの役職何?」

「こいつじゃなくてたちばな真花まなかです。」

「橘って理事長の?」

そう尋ねると咲夜は顔を縦に振り頷いた。

「そう、理事長のたちばな壮一そういちの一人娘だよこの娘。」

「そうです。そして私は生徒会の役員ではなく正確には風紀委員執行係です。」

「生徒会じゃなかったのかって執行係?」

聞いたことのない役職だ。

真花が得意そうに胸を張った。

「それもそのはずです。なぜならこの役職は生徒会を除く一般生徒には基本的に知られていません。要するに影でこの学校を守る存在なのです!」

「まぁ簡単に言うなら警察だと思ってくれていいよ。」

得意気に話す真花の言葉を補足するかの様に咲夜は付け足した。

と、その時

コンコン

とドアがノックされた。ドア越しに人影が見えた。

「菜月はいるか?」

先生の声だった。

「います。」

「お前にお客さんが来てる。」

「お客さん?」

俺と咲夜は顔を見合わせた。

「分かりました。」

そう咲夜が言うとドアが開かれ、先生以外にもう1人立っていることに気づいた。

俺は驚いて立ち上がった。

「幸多郎くんもいたんですね。ちょうどよかった。」

その声にはやはり聞き覚えがあり別人であったりすることが無いことが分かる。

「な、真白?」

純白の髪に真紅の赤い瞳、そしてブレザーに身を包んだ真白の姿に俺は目を奪われた。

「ええ、黒崎真白です。」

そう笑顔で告げる彼女の顔を直視出来ず思わず目を背けてしまうことしかできなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ