第二百五十九話 オゾマコンクエストビルダーズ
「ツジクロー。猶予はどれくらいだと踏んでいる」
ある日の悪魔ガミジンにそうたずねられた時、僕は咄嗟に明確な日時を区切れなかった。
オゾマの攻撃はいつ始まるかまったくわからない。しかし、それよりももっと早いであろう刻限が迫っていることをすでに知っていた。
白亜王の衰退。
この世界でもっとも強大な力を持っているのは、あの大地神の王を他においてない。最終決戦において、絶対に欠かせない存在だ。
その力がコキュータルとして流出し続けている今、タイムリミットは彼のコンディション次第と言っても過言ではなかった。
白亜王も、約束したとはいえ、いつまでも黙ってはいないだろう。しびれを切らして出てきてしまえば、それもまたタイムオーバー。
確か、スケアクロウが以前、早くて数か月後に神と悪魔の最終決戦が起こると言っていたっけ……。
僕は少し考えて答えた。
「一年以内。それで何とかする」
「一年か……すぐだな」
暴挙だということはわかっていた。
技術開発班が互いの技術に習熟するだけでも、もっと長い時間が必要になる。
しかし、世界中の力をすべて生産力と労働力に一極集中させたのならあるいは……。
できなければ全部消えるだけだ。
ある意味、後のことを考える必要はなかった。
※
この一年というブラックなタイムリミットのため、様々なことが同時進行で行われることになった。
技術開発の重要人物であるマルネリアとアルルカ、そしてディノソフィアはグレッサリアに残り最大級の激務を。
パスティスはアディンたちと共に、各地に棲息するサベージブラックを訪ね歩いて協力を取り付けるという難事を。
そして僕とリーンフィリア様は――
〈ブラッディー・ヤード〉。血を吸ったように赤い砂漠。そこに立っていた。
一応、僕たちはつい最近まで、アルフレッドたちと手分けして人間種族への説得に回っていた。
〈ヴァン平原〉ではなく、もっと遠方の国々。国といっても、〈ヴァン平原〉の支援を受けて復興中の、小都市程度の規模ではあったけど。
オゾマからの宣告を直に聞いた人々はすでに逃げ場がないことを自覚しており、絶望するか立ち向かうかの二択を迫られる中、現れた僕たちを大量のスコップを掲げて歓迎してくれた。
タイラニー教の普及率恐るべし。
僕たちはその賛同を受け、これから為すべきことをみなに話した。
打ちひしがれて立ち上がれない者がいれば、リーンフィリア様が励まし、立ち直らせた。
具体的に言うと、パワーを込めたスコップを渡すと、瞬時に最大HPを限界突破させて明日に向かって走り出した。
このスコップはその後も様々な人の手を渡り、心折れた人々を救いまくった。
そんな奇跡のスコップをリーンフィリア様が大量生産したため、住人感情がもっとも複雑だと思われた人間への説得は異常な早さで決着し、僕らは一時的に手が空くことになったのだ。
しかし、時間を持て余している暇などない。僕らが次に回された仕事は、資源集め。
技術革新がどんな形で結実するにせよ、これに関してはほぼマスト。必要な行動だった。
周囲にはドワーフを含む多くの人足がおり、それぞれが穴掘り用の道具を持っている。肉体労働派の悪魔たちの姿もあった。
彼らの先頭に、リーンフィリア様が立つ。
「ではみなさん、さがっていてください」
茫漠とした砂の海を前に、静かな声音で告げる女神様。
手で押し出す合図をしながら下がるアンシェルに従い、労働者たちがわっと後退するのを尻目に、悪魔たちはその場から微動だにせず、野太い腕を組んだまま「何が始まるんだ?」という一声を交わし合った。
「砂漠の地下にある心の化石――イグナイトとアノイグナイト……だったっけ? それを掘るって聞いたんだが」
「尖兵の動力源になるやつだろ? これから作る兵器にも滅茶苦茶使うらしい。だが、何ですぐ掘り始めない? 女神は何をしようとしてるんだ。あんな小さなスコップで」
「安全祈願のセレモニーみてえなもんだろ。事故のないようにとか、ケガしませんようにとか。そういうので士気と効率が上がるもんなんだよ」
「何だ、それだけか。祈る神が目の前にいるのに、おかしな話だな」
どこか小馬鹿にしたように笑う悪魔の眼に、スコップを砂地に差し込むリーンフィリア様の後ろ姿が映る。
そこにいると危なそうだけどな。僕は大して強くもない懸念を胸の内に抱きながら、直前のことを思い返す。
――「リーンフィリア様、秘密にしていたことがあります」
この砂漠に立つ前に、僕は彼女にこう告げていた。
「何でしょうか?」
「これまで女神様は色んな土地を整地してきましたけど、実は観測の結果、この世界の土地は、本来の形に対して、とても高い位置に形成されているということが判明したんです」
「……えっ、ど、どういうことです?」
「整地の基準にすべきラインは、もっとはるか地下にあったんです。リーンフィリア様は、言わば、荒れ地に転がっている岩のてっぺんを平らに均していただけ。もっと下の部分から整地をしなければ、正しい整地とは呼べなかったんです」
「…………ほう……それは……由々しき事態ですね……。それは……大変です……とても……」
それはもう優しい目をした女神様ではなかった。
サクッと軽快な音がして、スコップが緋色の地面に差し込まれる。
退避した作業員たちに緊張が走る一方で、悪魔たちは、ただただこのこの退屈な儀式がさっさと終わらないかと無造作に突っ立っていた。
次の瞬間。
「フィリアタイラニック……」
冷たい宣告と共に、
砂の海が、弾けた。
「うぎゃああああ!!」
棒立ちだった悪魔たちが一斉にひっくり返る。彼らを薙ぎ倒したのは、風圧か、それとも驚きだったか。
殴りつけられたような轟音と衝撃が砂漠全体を揺らす中、推定百メートルはくだらない砂の層が地面から一気に剥離し、その下の岩盤もろとも砕けて天高く舞い上がる。
抉り取られた範囲は、およそ視界に収まるすべて。掘削というより大規模な地殻変動と言った方が正しい大激動の後、降り注ぐ赤砂のブロックは、永遠に終わらないのではと錯覚する量を記録した。
穴の縁では砂が一気に流れ込み、世にも美しい砂の滝を作り出していた。
「よーし、みんな取り掛かれ!」
「まずはイグナイトとアノイグナイトの回収だ。砂に埋もれるなよ! 穴はこのままにしておけ、後々兵器用のフレームを埋め込むからな!」
作業員たちが勝手知った様子で穴――というより、誕生したばかりの大渓谷からブロックを運び出し始める。
「な、何だよこれはっ! 何が起こった!」
一方、転がった悪魔たちはいまだに尻餅をついたまま、情けない声を上げるばかり。
「何だこのパワー……。とても御業とは思えねえ。リーンフィリアって確か、昔、天界に置き去りにされた赤ん坊だったよな……?」
「こんなバケモノなら、ひとり生き残ったのもうなずけるぜ……」
「あれに正面からケンカを売った悪魔がいるらしい」
「バカじゃねえのか。死んだだろ、そいつ……」
悪魔たちが口々に畏怖の言葉を吐き出す。
何か猛烈な誤解が広まりつつあるけど、リーンフィリア様が一目置かれるというのなら、訂正する必要はまったく感じられなかった。
「少し……加減がすぎたかもしれません」
ヒッと悪魔たちが悲鳴をもらすリーンフィリア様の目は、冷徹さをそのまま丸く固めた形をしながら、穴の底を見下ろしていた。
「次は、もう少し深くいきましょうか……。そうでしょう? だってここは全然平らではないのですから……。よくないです……。でこぼこしているのはよくない……」
え、ええっとぉ……。
僕が言い出したんだけどぉ……。
「リ、リーンフィリア様、ここは一旦彼らに任せましょう。大丈夫、みな整地を愛する心を持っていますので上手くやってくれるでしょう。リーンフィリア様には、別のところをまた整地してもらいたいです」
言うと、リーンフィリア様は僕を、瞬きを一切しない目で見据え――うう、寒気がする――、
「そうですか……。そおおですか……。わかりました。我慢しましょう……。あなたがそう言うのなら、我慢しますよ。わたし、神ですから……。ここにいるみんなは、ちゃんとできる子だと信じる神ですから……」
何か……リーンフィリア様の新たな面が生まれてしまった感。この人、内部に色んな人格を溜め込んでるんじゃないだろうな。マジで震えてきやがった……。
……と、まあ、細かいことはおいといて、こういうことを各地でしつつ、リーンフィリア様と僕は、来るべき技術革新に備えて資源を集め続けたのだ。
人々への説得、この資源集めと、本来、途方もなく時間がかかる地道な作業を一気に成し遂げてしまう女神力は、嬉しすぎる誤算以外の何物でもなかった。
リーンフィリア様の予想外の、しかしこれまでの難渋を思えば納得の活躍は、この一年計画をぐっと後押しした。
そうだ。ついでにこの過程で、悪魔たちの間に奇妙な噂が広まりだしたことも付言しておく。
リーンフィリア様がオメガに育てられた天界の最終兵器だとか、神敵を処分する抹殺者だとか、万物を撃滅する人間武器庫だとか――いや人間じゃないけど――の与太話だ。
まつわるエピソードにも事欠かない。たとえば、
三人の悪魔と同時に戦い、五人殺すのは当たり前。八人殺すことも。
スコップを持つだけで地面が平らになって謝った、勝手に緑化する地面も。
スコップバントでホームラン。
毒蛇に噛まれ、三日三晩苦しんだ後、蛇が死んだ。
などなど。
誰なんだよその人は。特に最後の何。
こうして、リーンフィリア様を一介の女神だと思うヤツはいなくなった。悪魔の中にすらタイラニー教が広まり出したのだった。
女神様とは別の話も二つほどしておこうと思う。
こちらの体制が着々と整う中で、特に大きなプラスとなったできごと。それらは別々の事柄だけど、よりにもよって同じ日に起きた。
まずは、サブナクが〈ディープミストの森〉で使役していた、兜に手足がついたような形状の小さな兵器群の発見から。その日、
「おい、ツジクロー。やばいものを手に入れたかもしれねえ。エルフの研究棟に来てくれ」
というサブナクの一報を受けてグレッサリア北部都市の施設を訪ねると、マルネリアを含むエルフ十数名と、悪魔たち数人が、台に載せられた白い物体を、血の気の失せた白い顔で見つめていた。
「来たぞ、サブナク。何があった? マルネリア?」
僕は仲間に問いかけた。
「サブナクが〈ディープミストの森〉で見つけてきたものだよ。彼は、エルフの魔法文献を全部掘り起こすために、ついこの前まで小型兵器に森中の探索をやらせてたんだ」
「あらかた調べ終わったはずだったんだが、迷子になってさっきようやく戻ってきた一体が、妙なもんを持っていた」
マルネリアから話を引き継いだサブナクが、台座の上の、結晶のようなものをあごで指す。
「それは何?」
「何だかわからない」
マルネリアは、短い返答の中に確かな寒気を込めてきた。
「こっちの観測に対する反応が、この世界の何とも違う。白亜王のあれとも違うんだ。反応は返してくる。でも、異質なんだ。色を調べようとしたら、音で返ってくるような感じ……」
「もしかすると……昔、オゾマがあの地にもたらした知恵の一部かもしれねえ」
「!!!」
サブナクの緊張した言葉に、室内の空気が剣呑な揺らぎを見せる。
〈ディープミストの森〉の樹下世界を作り出したオゾマの恩恵。高度すぎて手に負えない、滅びへと至る知恵。いわば致死恵。それが、これなのか。
「残念だが、これがどこにあったのかはわからん。恐らくは樹下世界だろう。持ち帰った尖兵は下に落ちて、たまたま発見したんだろうさ。これは信じられねえくらい運が良いことだった。あの暗黒世界から生還するのは、あいつらにはほぼ不可能だ」
しかしこれはまだ偶発的な変化にすぎない。これを本当に幸運にできるかどうかは、これから。どうする? どう使える? 迷う僕に、仲間とのうなずき合いを一つ挟んだマルネリアはこう言った。
「これを調べれば、オゾマの一端がわかるかもしれない」
「なるほど……ヤツの分析に活用するのか」
その提案に僕はうなずいた。敵を知れば、こちらの勝率は確実に上がる。
オゾマが相手だと、かえって絶望を深めることになるかもしれないけど……状況的に、僕らは今底値だ。臆する必要はない。
「オゾマの言語を調べようとして発狂しちまったヤツもいる。気をつけろ。ガミジンに頼んで、悪魔から知恵のあるヤツを回してもらう。そいつのアドバイスには従え。頭がイッちまったら、元も子もねえ」
サブナクはそう言って早速部屋を出ていった。
これが後に、僕たちの世界を大いに助けることになるとは、今の段階ではまだわからなかった。
と。
この時サブナクは、戸口のところである硬質のシルエットとすれ違う。
彼はだしぬけに言ってきた。
「ツジクロー、外を見ろ」
「スケアクロウ、どうした?」
問いかけつつも時間を無駄にする愚を犯さず、僕は研究室のカーテンをめくり窓を開いた。
「…………な!?」
そこには恐ろしい光景が広がっていた。
この世の、終わりのような。
そしてその終末の一つは、僕めがけて、飛びかかってすらきたのだ。
――シャアアアアアアアギィィィィ…………。
開いたあぎとの上下をぬめった唾液で繋ぎ、その間からこぼれた生暖かい獰猛な呼気が、僕の兜の上を這う。
なぜ。なぜ、ここに……。
室内のエルフたちからも悲鳴が上がる。
「サ、サベージブラック!!?」
そう。
それはサベージブラックだった。しかも成竜だ。窓枠に張りつかれた際に、建物が揺らいだほどの立派な体躯と重量を誇っている。
それが一匹だけじゃなかった。窓から見える街並みのいたるところに、サベージブラックがうろついている。まるで、この街が彼らの営巣地になってしまったみたいだった。
「さっき、南の空から突然やってきた。異常な数の群れだ」
スケアクロウがこの状況で冷静に報告する。一体何が起きている!?
「ツジクロー、様!」
べたっ、と一匹の竜が窓に張りついた。
その竜だけは色が違っていた。
白い竜。ケルビム――アディン!
「パスティスか!?」
果たして、アディンの背中からパスティスの顔がのぞく。
「サベージブラックたちに、会って、きたよ。アディンたちが、話して、くれた。そしたらみんな、父親に会わせろ、って」
「ヘアッ!?」
変な声出た。
パスティスは、この世界でもっとも強力な竜の一族であるサベージブラックに協力を求めにいった。彼らの力は、すべて加算すれば、白亜王に次ぐ一大勢力になると僕は考えていた。
アディンたちはもとより、人との通訳が可能なパスティスは唯一にして最高の適任者だ。彼女も自信と信念をもってその役目を引き受けてくれた。
が。それがどうしてこうなった。
気づけば、ものすごい数のサベージブラックが窓のまわりに集まっている。
日向ぼっこをするガラパゴスイグアナの群れなんて牧歌的なもんじゃない。モンスターパニック映画のクライマックスシーンで、これまで登場したすべての怪物が大集合する場面だ。
彼らは確かに、僕を見つめていた。
「ひええ……」
エルフだけでなく、悪魔たちさえ震え上がる。
黒竜たちは何が目的で? と揺れる肚は、ある閃きと共に一瞬でぴたりと据わり、僕は何の逡巡もなく兜に手をかけてそれを脱ぎ去っていた。
口元にぐっと力を込めて、鼻先に吐息を吹きかけてくる直近の大型黒竜を見つめ返す。
「僕がそうだ」
目のないサベージブラックたちが、僕を注視するのがわかった。
一つ誤れば、頭からかじられそうな状況。けれど、臆する気持ちはまったく湧かない。
なぜ竜たちは僕に会おうとしたのか。
それはきっと、アディンたちが同族にフェーデの話をしたからだ。
ディノソフィア曰く、サベージブラックのフェーデは本来自分自身のみを証明するための戦い。けれど僕はアディンに、僕とすごしたこれまでの日々も背負わせた。
他者を背負う。それは黒竜たちからすればありえないこと。背負わせたそいつは一体何者だと気になっても不思議じゃない。
それならば僕は、ここで気後れすることは許されない。
僕はもう「僕なんかが」とか「僕ごときが」なんてことは間違っても口にするべきではない。
アディンは僕を証明した。僕が自分を卑下すれば、それはアディンと、彼女の命懸けの決闘を侮辱することになる。それは絶対にしちゃならない。
力の不足を見抜かれようが、不相応と見くびられようが、僕は胸を張って堂々と主張しなければならない。僕が〈片角のアディン〉の父だと。
ギリギリリ……と大型竜がうなると、アディンが強く一吠えし、竜はギューとうなだれてしまった。
「何だって?」
不思議な光景だったのでパスティスに聞いてみると、彼女はクスリと笑い、
「この竜が“騙されているわけではなさそうだ”って言ったら、アディンが“当たり前だ”って怒った」
これには僕も吹いてしまった。
このたくましい成竜が、まだ若いアディンがちょっと怒っただけでしょぼくれているのだ。何て言うか、妙に微笑ましい。サベージブラックって、野生でもこんなに愛嬌のある連中だったのか。
羽ばたきの音がいくつも聞こえ、サベージブラックたちが建物の壁から離れていく。
誰一人、僕に危害を加える者はいなかった。
グルルル……キリキリキリ……。
成竜が何か鳴いた。
パスティスは驚いた顔で僕に通訳する。
「サベージブラックたち、が、他の竜や動物たちにも、伝えてやる、って」
「え!? ホントに!? あ、ありがとう!」
ギリギリ……。
「その代わり……。絶対勝てって」
「……! ああ、もちろんだ。みんなでやるぞ」
僕が拳を握ると、サベージブラックは大きな翼を唸らせて飛び去っていった。
空へと帰っていく黒竜たちの群れを見送りながら、僕は半ば信じられない気分で、
「サベージブラックって、あんなに理性的な……というか、話の通じる相手だったんだ」
すると、パスティスが、
「最初は、そうじゃ、なかった。でも、アディンと話してるうちに、どんどん、わかりあえるようになっていった、みたい……」
聞けば、僕に会わせろと言った黒竜は、一匹だけだったらしい。
それがここに戻るまでの途中、各地からどんどん勝手に集まって来て、こんな大群になってしまったのだという。
きっかけは、アディンたち。
ケルビムである彼女が、サベージブラックたちを凶暴な竜から別のものへ――“弑天”のように言葉すら操る理知的な生き物へと、揺り戻したということなのか。
それが今、まさに正念場である今、タイミングよく起こるなんて。
僕はこの時、不遜にも、ディノソフィアの言葉を思い出した。
僕の幻を追って、たくさんの石が転がり、いまや土砂崩れになっている。
広がっていく。この世界のため、自分自身のため、そして女神様のために、それぞれが繋がりを広げている。
ならばこれは偶然じゃない。タイミングよくでもない。ご都合主義ですらない。
意志を持って動く者たちが、――竜や、あるいは兵器ですら?――自分の手を最大限伸ばした結果、これまで眠っていた世界の何かと次々に繋がりだしているんだ。
奇跡と呼ぶには、あまりにも筋が通っている。
僕たちは間違いなく、向かっている。望むべき場所へ。
それはもう、すぐ、そこだ。
長すぎましたがひとまとめ。
全盛期のリーンフィリア伝説。「わたしの栄光時代は今です(桜木花道感)」




