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第二百四十七話 これじゃない!

「ちょ、ちょっと騎士。どうしたのよ、黙り込んで」


 狼狽えるアンシェルをよろけた体の支えにしながら、僕は湿った声で告げた。


「アンシェル。スケアクロウの言うことは正しいかもしれない」

「何ですって!? じゃああんたは、リーンフィリア様が本当にこいつと結婚したって言うの!?」

「うん。でも、そういう未来もありえたっていうだけのことだ」


 未来は絶対じゃない。


 現にスケアクロウは、僕の攻略速度を予期できなかったって話じゃないか。

 状況は異なっていくんだ。『リジェネシスⅡ』のクリエイトパートが、多分、毎回異なった町並みを作り出すように。


 そもそも、そうでなければヤツだって何度も時を遡ったりはしない。僕らがいる今は、すでにスケアクロウにだいぶ掻き回された、未想定の時間軸だと思っていい。


 と。


「ん……?」


 僕はここであらぬ方向から向けられる奇妙な目線に気づく。


「廿x甘」

「え……なにパスティス。その顔は……」

「騎士様は、リーンフィリア様と、結婚、するの?」

「へ?」


 やや不満げな彼女の口から飛び出た質問に、僕は目を丸くする。


「いや、それはスケアクロウの話であって……」

「今の女神の騎士は、騎士様。だから騎士様は、リーンフィリア様と結婚、するの?」


<〇><〇> <〇><〇> <〇><〇> カッ!


「え、ちょ……。待って。みんなさっきの話理解してる? あいつの言った未来は絶対じゃなくて、って、今はそんな話をしてる場合じゃ……。ね、ねえ、リーンフィリア様?」

「そ、そうですよね……」


 スッ……。


「あの……。何で前にあげた詫び石の指輪を今はめるんですか?」

「べ、別に深い意味はありません」


 じゃあ何でやったんです!?

 今そういうことされると絶対話の本筋が変なことになると思うんですけど!


「わたしたち、は……?」


 僕はぎょっとする。さっきまで話をしていたパスティスがスケアクロウに話しかけているのだ。


「未来から来たって、よく、わからないけど……。わたしたちは、どう、なったの?」

「……聞かない方がいい」


 不愛想に目をそらしたスケアクロウに、パスティスは重ねて言った。


「知らなきゃ、いいか、悪いかも、わからない」


 な、何か意地になってないかパスティス。一体どんな未来を期待してるんだ?


 スケアクロウは硬い表情の中に厭う気配をにおわせたが、じっと見据えて目を離さないパスティスに折れた――というより、いつまでも気遣ってやる義理はないとでもいうような無遠慮さで、言った。


「おまえは、俺とリーンフィリアが結婚を伝えたその日のうちに姿を消した。それ以来、会うことはなかった」

「えっ」

「おまえはほぼすべての場合で〈ヴァン平原〉の住人たちに受け入れられず、己の有り様も定められずに、常にさまよっていた。そんなおまえに行く当てがあるとも思えず、俺たちも探しようがなかった」

「……!!」


 ピシッと石化したパスティスに代わり、僕が声を上げていた。


「な……何だと!? パスティスが〈ヴァン平原〉に受け入れられなかったって、どういうことだよ!?」

「彼女はキメラだ。この異形の外見を、人間が心から許容できるわけもない。その隔たりは、俺にもリーンフィリアにもどうすることもできなかった」

「何言ってんだ!? 外見も中身も神的にキュートだろうが! 角も、爪も、尻尾も、足も!」

「おまえが何を言っているのかわからない。それに俺は、リーンフィリア以外のいかなる女性にも魅力を感じない」

「がっ……!」


 何だ、これは!? こいつは、パスティスに何をしたんだ。いや……何をしなかったんだ!?


「アディンたちは? サベージブラックはどうした!」


 スケアクロウは、パスティスが己の有り様を定められなかったと言った。


 確かに彼女は天涯孤独の身で、姿かたちも周囲の人と違い、どうして自分がここにいるのかを思い悩んでいた次期もあった。しかし今はそんなことない。アディンたちの母親としてのアイデンティティを獲得し、その生き方を実践している。


「サベージブラックが何だ」

「〈ヴァン平原〉にいただろ。病気のメスが! 卵を守っていたヤツだ」

「倒した。街に対する脅威だ。放っておけば、住人に被害が出る」

「……!」


 スケアクロウは無感情に淡々と言い、僕をしばし絶句させた。

 それはそうだったけど。確かに僕も、最初はそのつもりだったけど。


「卵があっただろ……。それはどうした」

「母竜が死んだのなら、卵が孵ることはない」


 グエー。とアディンたちが不満げに鳴く。

 異なる時間軸の自分たちの話をされても、普通に生きてる方にはピンとこないだろう。でも何か不愉快なことを言われたことだけは理解したようだった。僕は竜たちに横目を向けながら、


「スケアクロウ……。あそこにいる三匹のサベージブラックが見えるか。一匹はほぼケルビムに戻った。あれが僕の相棒で、家族だ。パスティスはあの母竜から卵を預かって、無事に孵した。助ければ、力になってくれる相手だったんだ」

「“弑天”のように理性ある竜はごくまれだ。現代のサベージブラックはただの獰猛な竜にすぎない。俺はいかなる危険もリーンフィリアに近づけるつもりはない」

「……!」


 こいつ。どM野郎かと思ったけど、違う。

 頭が固えんだ……! デタラメに!


「ボ、ボクはどうなるのさ。ボクの未来は。まあ、二号とかでも全然いいしさ、教えてよ」


 今度はマルネリアが、柄にもなくおずおずとたずねる。二号って何だよ。

 スケアクロウはもう拒否の欠片すら見せることなく、それを告げた。


「……おまえは古代の遺物やルーン文字を細々と研究していたようだが実らず、戦いの後、諦めて森に帰った。その後の姿を見た者は、エルフたちの中にもいない。元々、里の争いに嫌気がさして飛び出した身だ。帰郷したところで居場所は見つからないことは察しがつく」


 マルネリアの顔がさっと青くなる。


「え……。ま、待ってよ。実らずに諦めた? そんなはずない。ボクの研究は色んなところで形になってる。古代の遺物は、ボクと騎士殿が一緒に調べて神とケルビムの統治体制にたどり着いたし、着ている鎧だって、ボクのルーン文字で何度も強化されてるんだよ……!?」

「俺の役目は女神を守護し、戦うことだ。歴史などに興味はないし、リーンフィリアの加護があれば他は不要だ」


 ピシッ、と石化するマルネリア。

 まただよ!(怒笑)


「マルネリアは、最低でもミリオたちと交流があっただろ。適当なこと言うな!」


 僕が眉間にしわを寄せながら指摘すると、スケアクロウははっきりと、


「あの捨て村は、メディーナかマギアのどちらかに接収されて消えるだけの存在だ。接収した方が、そうしなかった里を飲み込み、戦いは終わる。常にその繰り返しだ」

「な……? ま、待てよ。ミリオたちの里に協力はしなかったのか?」

「あそこは里ではない。資源もなく、拠点になりうる広い土地もない」

「じゃ、じゃあ三つの里の平等な統合は……!?」

「二種類のエルフたちは常に勝者と敗者の関係にある。対等ではない」


 答えによどみがない。逆に尋ねる僕の方が声につっかえてしまう。


「ルーン文字は……!? あれすごく便利なんだぞ。戦いだけじゃない。グレッサリアでだって重要な役目を果たすんだ。僕も一緒になって研究した――」

「そんなものに頼らずとも、あるもので何とかした」


 うお、お……!

 な、何だ、何だ、なんなんだ! どうしてこうも違うんだ。同じ世界の同じ人々と出会ってきたっていうのに!


 そこで僕ははっとした。

 こいつの鎧。ルーン文字で強化しなかったというのなら。

 帝国騎士のモデルになったこの鎧にも、何かいわくがあったはずだ。何だっけ、何だっけ……!


「一つ聞きたい。その鎧を鍛えたのは、ドワーフか?」


 探していた答えをくれたのは、アルルカだった。


 そう、それだ! ドルドが言ってたんだ。帝国騎士の鎧を造ったのはドワーフだろうって。

 そして、僕にこんなことも言った。あれみたいに強化してやろうかって。ルーン文字の効果が消えてしまうから、僕は断ったけど。


 だから、もしかして、その鎧を鍛えたのは……。


「そうだ。戦士長のドルドという男に、修繕がてら鍛えてもらった」

『!!』


 僕とアルルカはそろって目を見張る。やっぱりそうだったか!

 何てことだ。ドルドが帝国騎士の鎧を気に入るわけだ。自分の作品だったんだから!


 もしあの時、僕が提案を受けていたら、あれとそっくりなものができあがっていたに違いない。

 けれど僕は、すでにマルネリアの協力を得ていたからそれを選ばなかった。一方のスケアクロウは、そうではなかった……。そんなところでも、僕とこいつは異なる道を選んでいる。


「ドワーフとは……懇意にしていたようだな」


 チラッ、チラッ。


 何をチラチラ見てるんだアルルカ! もういいだろ、どう考えてもこいつがろくな対応してるわけがない!!


「純粋な戦士として、共感するところは多々あった」


 しかし、スケアクロウは珍しく好意的な意見を述べる。アルルカの顔がぱっと華やいだ。


「そ、そうか。じゃっ、じゃあ、わたしと爆友も、これからきっとより深い親交を……」

「残念だ。おまえはもっとドワーフの技を学ぶべきだった」

「えっ……」

「役に立たない奇矯な機械ばかりを作り、結局形にならずに諦めた。戦いの後は街に戻って、周囲の勧めで釘作りを始めたそうだが、嫌々やっているせいか曲がった釘ばかりで評判が悪く、その後は一人でひっそりと暮らしたそうだ」

「く、くぎ……? く……くぎゅ」


 変な悲鳴を上げてアルルカが石になった。


 釘をバカにするわけじゃないけど……実際、職人技を支える基幹ではあるけれど……その結末はおかしいだルルォ!?


「アルルカは超兵器の分野を開拓したパイオニアだぞ? アシャリスだって造った。それらは今、ドワーフたちにとっての新境地になってる! おまえは開発に協力しなかったのか!?」


 僕が三度噛みつくと、やはりスケアクロウは厳然と、


「どこに転がっていくかもわからん爆弾など支持できない」


 パ……パンジャアアアアアアアアアンンン……!!

 正論……!! 圧倒的正論ッッ!! なんだけどっ……!


「ちょ、ちょっと待て。それじゃあ、何の超兵器も造らなかったのか? タイラニック号も、マッドドッグも? それでどうやってあの悪魔の兵器の襲撃ラッシュを乗り切った?」

「根気だ」


 う、うぼああああああああああああああ!!!!??


「バカかてめえ!?」


 つい普段使わないような汚い言葉が出てしまった。でも許してほしい。あの、雲霞のごとく押し寄せるイナゴを根気で捌くなんて、狂人の発想でしかない。


 バカだ。バケモンであり、バカモンだ。

 そしてそのまま、アバドーンを倒したのか。〈大流砂〉の秘密基地まで乗り込んで。アシャリスの助けなしに。


 こいつならやりかねない。たとえ単騎でも。いいや、こいつの場合、積極的に単騎で乗り込んだ可能性の方が高い……!


「ハッ……。何よ。聞けばでたらめなものばかりじゃない」


 アンシェルが鼻で笑って肩をすくめた。


「リーンフィリア様がわたしを放って向こう見ずな狂犬なんかと結婚するはずないし、全部デマね。デマ!」


 そ、そうだよ。こいつの言うことなんか真に受ける必要なし。さすがわかってるアンシェル。


「おまえとはいつでも協力的な関係を築けていただけに、残念だった。リーンフィリアから結婚の話を直に報告され、泣いてどこかに飛んで行った。リーンフィリアも、祝ってほしかったと残念がっていた」

「ケピッ……」


 全然信じちゃってるじゃねえかよ天使ィィィィィ!


 こうして天界組は、リーンフィリア様をのぞいてみんな凍ってしまった。

 死屍累々……。

 何だこれは。悲惨な結末の数々は。


 スケアクロウは天界仕様ルールにのっとって攻略をやってきた。それが、アンシェルと良好な関係を築けた大きな理由なんだろう。

 仕様に従えば、天界の奇跡も使える。僕の知らないやり方でのエリアクリアもできただろう。まさに公式の攻略法。


 でも、だとすると、こいつが語ったみんなの結末も公式なのか?

 リーンフィリア様がああなり、他のみんなにもろくな後日談がないのも?


 これが、本来の『Ⅱ』の姿?


 ……前々から、ずっと気になっていたことがある。


 ジャムが出てきただけで餌を前にした犬のように騒ぎ出すような主人公が、この戦いが始まって以来、モノローグで不自然なくらい触れていないものが一つある。


 仲間たちについてだ。


 初めて会った時にはいくつかコメントするけど、仲間になってからの彼女たちには、まるで言及がなかった。

 ディタとの絡みで、パスティスがほんの少し出てきたくらい。


 あんなに賑やかで、あんなに騒々しくて、あんなに楽しかったのに、なぜ主人公は黙りこくっていたのだろう。


 もしかしたら……本来、なかったんじゃないだろうか。ろくな交流が。楽しい日々が。

 みんなそれぞれの故郷での傷を抱えて、互いに、もたれかかるように寄り集まっていただけだったんじゃないだろうか……。


 そして結局、誰も前に進めなかった……。

 スケアクロウが何度攻略をやり直しても。


 何だそれ。ふざけるな!

 これじゃまるで、マルチバッドエンドじゃないか!


 分岐するエンディングを求めれば求めるほど結果が悪くなっていく、救いを求めるプレイヤーたちをより深い千尋の谷コースへとご案内するどSストーリー構成!


 最終バッドエンド後に放心状態で振り返ってみれば、最初のバッドエンドが一番救われていたと錯覚してほっとしてしまう精神崩壊級悲劇の大連鎖!!


 無論、それがクソだとは言えない。

 悲劇でしか終われない物語もある。破滅の美も人を魅了する。心を強く揺さぶるのは、棘のない楽しい喜劇じゃなく、心臓を穴だらけにする悲劇の方だ。


 しかし……これは『リジェネシス』だ……!


 報われないものなんかあっちゃいけない。消えゆく命は次へと継がれ、悲しみを踏み越えて人々が再起する王道感動の物語なんだぞ!

 こんなの認められるか……こんなのはなああああ!!!!


 スッ!!


「これ……じゃない」


「えっっっっ!!?」


「わたしの未来、これじゃない……」


 言っているのは僕じゃない。パ、パスティス……が言っている!


「これじゃない、これじゃない、これじゃない、絶対絶対、これじゃないッ……!!!」


 叫びながら、パスティスがスケアクロウに詰め寄る!


「わたしの未来は……騎士様と、ずっと一緒、で、アディンたちとも、ずっと一緒で、家族が、たくさん増えて……そういう、の……! それ以外認め、ない……!」

「……!」


 スケアクロウの硬い顔に、初めて見る表情が浮かんだ。今の僕にそっくりな――戸惑い。

 それを見て、他のみんなも一斉に押しかける。


「ボクだってこれじゃない、だよ! 諦める? ボクが? ジョーダンじゃない。さっきディノソフィアからすごいことを聞いちゃったばかりだ。もし戦いが終わって平和になったら、樹下世界を一から探索するね。もちろん騎士殿にも手伝ってもらうよ! だから、これじゃないんだ。あんたから聞いた話なんて! これじゃない、これじゃない、これなわけない!」


「わたしも同様だあああッ! 釘職人だと!? 誰がやるかそんな地味なこと! わたしが造るのは超兵器だ! 世界をあっと驚かせる、次の世代の武器だ! もっと新しい世界を拓いてやる。もちろん爆友にも付き合ってもらうぞ! だからおまえの語る未来なんて、これじゃないんだ、ぺっ! これじゃない、これじゃないぞ!」


「この鉄屑がああああ! 何でわたしが泣いて逃げなきゃいけないのよ! そこでリーンフィリア様が騎士を捨ててわたしを追ってくるのが正しい展開でしょうがああああああ! あああああこれじゃない、これじゃない、これじゃないわああああ!!!」


 な……なああああっ……!?


『コレジャナイ! コレジャナイ!! コレジャナイ!!! コレジャナイ!!!!』


 う、うわあああああ。コレジャナイの大合唱が巻き起こる!

 バカなっ。あのスケアクロウがうろたえている!


 カ、カ、カウント、カウントしなきゃ。カウンターは……!?


 ボンッ!


 ひい! カウンターが壊れた! し、しかし、コレジャナイは一人一度につき最大20カウントまでとされている! これはもはや常識! シュプレヒコールを上げているのは四人だから、累計ポイントは……マイナスじゅ、10万9000!!


 マイナス10万にいってしまった! 一時は黒字に転じたこともあったのにィィィィ!


『マイナス10万ポイント到達トロフィー:もうおまえが作れ』


 なんか取得したあああああああああ!! 確かにそこまで言うのなら、ほならね理論も出てくるかあああああああああああ!!??


 頭の中で絶叫しながら、しかし僕は何だか嬉しくなってきてしまった。


 そうだよ。

 これだよ。これなんだよ。


「スケアクロウ」


 僕は笑いをこらえられずに口の端を歪めながら彼に呼びかけた。


「知ってたか。これが本来の彼女たちなんだ」


 スケアクロウの目がはっきりと動揺の光を宿し、僕の胸を爽快に通過する。


「こんなにパワーとやる気に満ち溢れたヒロインたちが、しおらしく表舞台から消えていくと思うか?」


 ないね。絶対にない。


「……俺の知る、この娘たちは……」


 スケアクロウが低いを声を吐き出した。


「傷を持ち、抗えぬ運命を悄然と受け入れていく儚い者たちだった」

『誰がだあああああ!』

「確かに、俺の知っている彼女たちではない。もしこんなであれば、俺が辿った結末とは違うものに行き着いたかもしれない」

『何がこんなだああ!!』


 すっげー恐ろしいことになってる。スケアクロウ、なんか大事なこと言ってると思うんだけど、ワニの群れみたいになった女子組の圧が強すぎて全然頭に入ってこない。


「だが……俺にとって重要なのは、リーンフィリアの未来だ」


 それでも。

 確かな圧力を秘めた声が、ごうごうと声を上げる少女たちを瞬時に黙らせた。


 スケアクロウの声には、先ほどまでとはまるで異なる感情がにじみ出ていた。


 ――哀しみ。


 疲れ切って自棄すら漂わせる彼の目が、静かに女神様を見据えた。


「リーンフィリア。おまえはどうする。自分と引き換えに世界を救えるとしたら。そうしなければ、世界が消えてなくなるとしたら。――おまえは、きっとここでも同じことをする」


作者がやりたかったこと

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