第百七十四話 帰宅困難女神様
階段を下りてきた弱々しい足音に、僕らは無言の視線を向ける。
手つかずの食事を持つアンシェルは静かに首を横に振った。僕らはため息と共に、目線をもう一度足元の絨毯へと戻した。
今日もリーンフィリア様はごはんを食べてくれなかった。
これで二日目。
拗ねているわけでもないし、ましてやハンガーストライキしているわけでもない。ただただ心痛で食事がのどを通らないのだ。
理由はただ一つ。
天界からの警告を無視してまで助けたグレッサの民が、実は真っ黒な悪魔崇拝者だったからである。
たとえ信仰の理由がクッソ不真面目だとしても、悪魔に与するものとは相容れない。
リーンフィリア様は博愛的だけど、敵にまではき違えた優しさを見せるような人じゃない。優しいと甘いは別物なのだ。
天界は恐らく、グレッサの実情を知っていた。だからこそ罰した。
僕らは「詳しく教えてもらえなかったから」では済まないだろう。一方的なものであれ、警告は受けている。それを蹴って町の一部の解放にまで加担した。
普段から反抗的な僕への評価は豚の餌にするとして、問題はリーンフィリア様だ。今回、彼女は監督責任では済まない明確な違反に出ている。
他の神々に顔を合わせるどころか、空にある自分の神殿に戻ることさえ気にしてしまっていた。
くそう……僕らは本当に敵と味方を間違えたのか……。
居間の扉が開かれ、神妙な面持ちのラスコーリが姿を現した。
「みなさん、また街の者たちが来ております」
彼が一歩身を横にずらすと、老若男女問わず数名の住民が、帽子を胸に当てて恐縮を表しながら部屋に入ってきた。
「女神様は、今日も元気がないのでしょうか」
かすれ気味の声の女性が、心配している様子でたずねた。
僕が肯定を伴った首の振りで応えると、彼らは一様にこうべを垂れる。
「これはお供え物です」
「元気になられることを、心からお祈りしています」
彼らは持ち寄ったものをテーブルの上に置くと、深く頭を下げて帰っていった。
僕はその供物をちらりと見て、また一つ、鎧の中に嘆息を落とすことになった。
人の顔が浮き出た石、何かの干し首、不気味な木像、昆虫の足を束ねたキモいオブジェ……何でこんな禍々しいものばっか置いてくんだよコラァ!!?
タチが悪いのは、住民たちは本気の本気でリーンフィリア様を心配し、さらに本気の本気の本気でこれらを見て元気を出してほしいと思っていることだ。
こんなんで元気出たら自分のアンデッド属性疑うわ!
もうダメだ。この街は完全に、闇系のものを信奉する人間しかいない。リーンフィリア様がぶっ倒れてそれきり起き上がれなくなるのも納得の救いようのなさである。
ラスコーリが無言のまま頭を下げて退室すると、居間には再び沈黙が戻った。
「オーディナルサーキットについて気づいたことがあるんだけど、聞く?」
カンテラをいじっていたマルネリアが、無理やりっぽく話題を投じたけど、今の僕には首を横に振るのが精いっぱいだった。
これからどうすればいい。
指針となるはずの女神様は、完全にグロッキーだ。
地上を救う戦いを始めてから、女神様はいくつもの試練を乗り越えてきた。
そこにはいつも、ままならぬ外圧に立ち向かうため“正しさ”が味方していた。
けれど今回はそれが見つけられない。
グレッサの民にかかる神罰には、それ相応の理由があった。〈雪原の王〉をはじめとするコキュータルに街を追われたのも、そこを発端としている。
自業自得――としか言いようがない。
さらにダメージを加速させる理由が一つ。
僕らはつい先日まで、天界の裁定は納得がいかないと、大見得を切り続けてきた。しかしそれらが全部空回りだったとわかった今、すべての想いと決意×時間が一塊の恥ずかしさとなって自分たちに跳ね返ってきているのである。
絹ごし豆腐並みの強度しかない女神様のメンタルは、果たして元に戻れるのか。
そして僕らも。
苦悶を代替するようなうなり声を上げ続ける僕らのところに小さな客が現れたのは、そんなタイミングだった。
「こんにちは。めがみさまは、びょうき、なおった?」
ノックもなしに扉からひょこっと顔を出したのは、子供用のコートさえまだ満足に着られていない、幼い女の子だ。
「まだよ」
アンシェルがつっけんどんに言うと、女の子は悲しそうな顔になって、小さなお盆に乗せた二つの雪だるまを僕らに見せた。
「これ、わたしと、めがみさま」
器用なもので、雪だるまには長い髪の毛まで表現されている。木くずで作られた二つの顔は、にっこり微笑んでいた。
「いっしょに、おそとであそべますようにって、作ったの。わたしてあげて!」
「そう……」
初めて邪気のない見舞い品を差し出され、渋々といった顔で受け取るアンシェル。
「どうしたら、めがみさま元気になる? わたしはね、好きなこと大声でさけぶと、元気になるよ。そりあそびーって」
両腕で輪を描きながら説明する幼女の仕草が愛らしくて、僕らは少しだけ、重苦しい空気から解放されたような気持ちになった。
椅子の上で膝を抱えていたパスティスが立ち上がり、目線の高さを合わせるように、彼女のすぐ隣に屈んだ。
「それならリーンフィリア様は、タイラニー、っていうと、元気になる、かも」
優しく微笑むパスティスの言葉に、幼女はきょとんとして、
「たいらにー? なにそれ?」
「女神様の、勇気の、言葉かな……」
「そうなんだ。わかった。わたしさけんでみる!」
女の子は元気よく廊下を走っていった。
「パスティス」
「なに? 騎士様」
「今の、結構名案かもしれない。外で小さい子があの文言を叫んでたら、リーンフィリア様も何か感じるかも」
「そ、そう、かな。よかった……」
彼女は少し照れたように微笑み、天使が不機嫌そうに持っている二つの雪だるまを、優しい目で見つめた。
実際、はっとするほど的確なアドバイスだった。
ベッドで塞ぎこむ女神様。しかし外から響く「タイラニー」の言葉。窓を開ければ、寒空の下、白い息を吐きながら、幼子が一心に自分の回復を祈っている。
打算にすぎるけど、美しく健気な絵だ。
これなら……。
僕らは待った。澄み切った幼い声が、無邪気な祈りの言葉を二階の窓に届けるのを。
なにものにも染まらない、雪のように無垢な響きが、奇跡を起こすのを。
そして……。
僕は自分の見通しの甘さを知る。
『いあ! いあ! たいらにぁ!』
突然、クッソ冒涜的な呪文が、屋敷の外で膨れ上がった。
「な、何だあ!?」
大音声に頭を揺さぶられながら、僕は大慌てで窓にかじりついた。
屋敷の前に大勢の住人が集まり、手を後ろに組み、身をのけぞらして、全力で声を張っている。
『いあ! いあ! たいらにぁ! るふよき さたのれこ えはたのつ よあこ あい! あい! たいらにぁ!』
彼らと向き合う形で、さっきの少女が、木箱の上から楽団のリーダーめいた指揮棒を振っている。
「こえがちいさい! もっとげんきよく! ぼうとくてきに! いあ! いあ!」
うぐあああああああああああ! ちくしょう幼女だと思って油断した! 骨の髄までこの町の住人だったあああああ!
それにしてもこんな邪悪な呪文を聞かされてリーンフィリア様は大丈夫なのか? 明らかに光属性の神様だと思うが……!
「アンシェル、リーンフィリア様の様子を確かめよう!」
僕らは二階に駆け上がり、女神様の部屋の扉を開けた。
リーンフィリア様は真っ白になって口から魂をはみ出させていた。
「今すぐやめさせろおおおおおおおおおおおおッッッッ!!」
※
幸い、女神様は突然の大合唱に驚いただけのようだった。
それが一種の荒療治になったのか、彼女は久しぶりに、運ばれてきたスープを少しだけ飲むことができた。
屋敷の前では、その成果を知った住人たちが調子に乗って、名状しがたい何かのための呪文をひたすら唱え続けている。先ほど三度目のメンバーチェンジをして、今が第四次詠唱団。少し離れた場所では、すでに第五次メンバーのオーディションも行われている。
指揮棒を振る幼女も二代目にバトンタッチされており、この街の選手層の厚さをイヤというほど実感させられた。
「彼らはまだ帰らないのですね……」
リーンフィリア様が窓を見ながらぽつりと言った。
そこに非難の色はなく、ただ戸惑いと、彼らを気遣う響きだけがあった。
それを聞いているのは僕だけだ。今この部屋には、女神様と、その騎士だけしかいない。彼女が二人にしてほしいとみんなに頼んだ。
「みんな、リーンフィリア様が元気になってくれるのを願ってるんですよ」
そうでなければ、声が枯れるまで祈りを続け、さらに次のメンバーに交代したりはしない。やってることは滅茶苦茶でも、願いだけは純粋だ。
「彼らは本当に悪魔を信仰しているのでしょうか。わたしは天界の神です。悪魔とは相容れない存在です。それなのに、どうして?」
「リーンフィリア様のことが好きだからでしょう」
実際、そうとしか言いようがなかった。彼らに悪意なんてカケラもない。この騒音でさえ、善意の塊のつもりなのだ。
それはリーンフィリア様の複雑な心中の原因になり、同時に、僕に限界を超えてコレジャナイボタンを押させたさせた最大の理由でもあった。
もしグレッサの民が邪悪な心の持ち主で、悪徳の赴くままに悪魔を崇拝し、悪行に手を染めているというのなら、リーンフィリア様は迷うことなくこの地を離れるだろう。
しかし実際のところ、彼らは、闇系のジョブとかダークパワーが宿ってそうで強そうなものに惹かれているだけで、本気で悪魔を慕い、悪意ある行いを為そうとしているわけではない。
悪魔崇拝はファッションなのだ。
その皮をかぶって酔いしれているだけ。
クソッ、何でなんだよ……!
ここはもう第四エリア。ストーリーも後半である。
そんな重要な立場にいるキャラクターが、こんなふざけた連中であるなんて認めたくない。
何度も言うが、『リジェネシス』は真面目で硬派なゲームなのだ。生き残った人々は、誰もが世界の興亡の当事者なのである。
それなのに何だよカッコいいからってぇ!?
そんな理由で天界と敵対していいのかよお!?
やるならちゃんとやれよ!
熱心に邪悪に真面目に悪魔を信奉して、心の底から敵意と悪意剥きだしでぶつかってこいよ!
そうすりゃこっちも全力で迎え撃てるのに!!
「わたしはどうするべきなのでしょうか」
反射的に顔を上げると、窓に映る、どこか虚ろげな表情のリーンフィリア様と目が合った。彼女はすぐにはっとした顔になり、
「ごめんなさい。それはわたしが考えなければいけないことですね」
「いえ、僕らも一緒に考えることです。女神様が答えを出せるために、一緒に悩みます」
「ありがとう……騎士様……」
彼女の疲れ切った白い顔に、少しだけ赤みが差したように見えた。
今、僕らの前にあるのはシンプルな二択。
ここを去るか。町づくりを続行するか。そのどちらかでしかない。
難しいのは、「なぜ、そうするか」をしっかりと自分の中に樹立させること。それがなければ答えを選んだことにならない。
ぐちゃぐちゃに混ざり合い、色も形もまだらになった胸の中に、その理由はすでにあるはずだ。しかし、混乱相手のサンドバッグをやらされている精神状態でそれを見つけるのは至難の業。
「そうだ。メディタチオ……」
僕はふと、砂漠のただなかで女神様が入り込んだ境地を思い出す。
ドワーフ一族に伝わる最大の精神統一法。千々に乱れた心を鎮めるには、あの瞑想が一番なのではないだろうか。
「やってみます」
リーンフィリア様は目を閉じた。
僕も邪魔にならないよう、口を閉ざす。
室内は静まり返り、屋根に降り立つ雪片の音すらも聞き分けられるように――
『いあ! いあ! たいらにぁ! るふよき さたのれこ えはたのつ よあこ あい! あい! たいらにぁ!』
『いあ! いあ! たいらにぁ! るふよき さたのれこ えはたのつ よあこ あい! あい! たいらにぁ!』
うるせえええええええええええええええええええ!!
「……ダメでした……」
リーンフィリア様が悲し気に目を開ける。
「ちょっとあいつら黙らせてきます!」
「あっ、違うんです」
席を立った僕を、リーンフィリア様の声が制止する。
「考えられないんです……。どうしても……。同じ言葉が邪魔してしまって……」
眉間に苦悩の影を刻み、無念を拳の中に握り込んだ彼女を見て僕は理解した。
彼らが悪魔を祀っているという事実が、思索の道をせき止めてしまっているんだ。
彼らは悪人ではない。しかし悪魔を信仰している。
彼らは自分を慕ってくれる。しかし悪魔を信仰している。
彼らは窮地に立たされている。しかし悪魔を信仰している……。
こんなふうに思考が先に進んでいかない。
メディタチオは究極の自問自答。けれど、問いに答える自分は、すでに強固な扉を閉ざし終えてしまっている。
じゃあどうすればいい?
こんな状態で僕にできることはあるのか?
ない。一緒に考えるなんて調子のいいこと言っても、結局は相槌を打つしか能のない置物役だ。僕にできることは、彼女を見守ることだけ……なんて逃げ腰な自虐が許されると思うなよツジクロー。
考えろ。ない知恵を絞りつくして、女神様を助けろ。
でなきゃ、おまえの走馬燈はいつまでも、おまえだけを殺すデスノートのまんまだ……。
…………。
走馬燈?
そういえば、僕はどうだった?
僕が自分の価値観を信じられなくなって、失って、それでも今ここにいられる、その始まりはなんだった?
走馬燈だ。あの腑抜けきったクソみたいな走馬燈で人生を見返させられて、自分がどんなことをしてきたか思い知らされたんだ。そしてその中で、本当は何がしたかったを見つけた。
だったら、リーンフィリア様にも、それを。
「リーンフィリア様」
僕は彼女に呼びかけた。
「話をしましょうか」
「話?」
「ただの思い出話です。〈ヴァン平原〉から始まった今日までの」
「でも」
「気分転換に。何も考えず」
「……わかりました」
少し怪訝そうに首を傾げつつも、女神様はうなずいた。
僕とリーンフィリア様はこれまでの道程を、一つ一つをうなずきあい、確かめあった。
最初はケバフィリア様だった。神殿の柱や壁に話しかけるほどナイーブで、一人ぼっちな神様だった。タイツとニーソの戦いがあった。タイツが勝った。〈ヴァン平原〉の人間たちは凝り性すぎて町作りができなかった。スコップと出会い、祈りが生まれた。リーンフィリア様は少しずつ変わっていった。同族で争うエルフの憎しみと向き合い、古いものと新しいものがせめぎ合うドワーフの確執を乗り越えさせた。ただのスコップでは掘れぬ強敵との戦いがあった。強固なもの、柔らかいもの、全部、制してきた。
何の伏線もない、ただの思い出話。
懐かしい話をひとつ思い出すたび、彼女の顔から、薄暗い皮膜が一枚ずつはがれていくのがわかった。
このあどけない対話が、きっと彼女に問いかける。
どうして?
どうしてここまで頑張ったの?
つらい思いや、痛い思いまでして。
リーンフィリア様は、この思い出の中から見つけるだろうか。
どうして地上のために戦ったのか。
どうして人々を救おうとしたのか。
すべての思い出を振り返り終えた時、リーンフィリア様は胸に手を置き、微笑を含んだ吐息をもらした。
「わたしは、この大地と、そこに住む善良な者たちを愛しています。彼らがあるように生き、あるように眠るのを見ていたいのです」
見つけた。
それが、彼女の心に根を張る大樹。
さっきまで迷子だった彼女は、再びその幹に寄り添った。手を当てて、ざらついた樹皮に刻み込まれた自分の気持ちを直に確かめた。
言葉にしてみればシンプルなこと。
でも、一度見失ってしまった場所に心が戻ってくるのは、とても難しいことだ。
傷つくとは、折れるとは、そういうこと。
けれど彼女は帰ってきた。これまでの自分に、始まりの意志を見つけた。
だからもう大丈夫。
僕はそんなリーンフィリア様の背中を、もう少しだけ押す。
「リーンフィリア様。天界は、グレッサの民を誤解しているのかもしれません」
「誤解?」
「グレッサの民は邪悪ではないし、天に敵意があるわけでもない。リーンフィリア様のために、声を枯らして祈りを捧げているのが何よりの証拠です」
彼女は窓の外に目をやった。変わらぬ群青色の空はいつの間にか、かすかな色の変化で夕暮れ時を示していた。それでもまだ祈りの声はやまない。
「天界に示してやりましょう。リーンフィリア様が、これまでやってきたやり方でグレッサの民を導いたのなら、それは彼らが、天界の神と共にあったことの確かな証になります。悪魔ではなく、神であるあなたと」
「あっ……。た、確かにそうですね!」
僕の言葉に、リーンフィリア様ははっとしたようだった。
グレッサの民がリーンフィリア様と共に歩むなら、それは天界の神と歩んだことに他ならない。
ちょっと強引だけど、これは理屈だ。正しい筋道を持った言葉だ。
きっとリーンフィリア様の意志を補強する後ろ盾になる。でもこんな言葉は、さっきまでの女神様に聞かせても何の意味もなかった。
理屈や正論は、正しいだけでしかない。
相手をただ押し黙らせるだけのものだ。
何がしたいかを探すために、そんな言葉はいらない。
人の心を突き動かすのは、自由で、わがままな、情熱だ!
彼女はそれを見つけた!
リーンフィリア様は柔く握っていた拳を見つめ、一つうなずいた。
「騎士様。わたし、頑張ります」
「お供します」
ふらつく足取りでベッドから降りようとする彼女を支え、一緒に窓際に立った。
女神様が窓を押し開けると、それまで絶え間なく続いていた呪文が途絶え、かわりにどよめきが膨れ上がる。
「女神様だ」
「女神様が顔を出された!」
「我らの祈りが通じたんだ!」
「――みなさん」
混ざり合う声のざわめきは、リーンフィリア様の澄んだ声を中心に受けて、ぴたりとやんだ。
彼女は大きく息を吸い、窓から身を乗り出して、拳を天に高々と掲げる――
「たいらにー!!」
静寂は一瞬のみ。これまでで最大の大合唱が、屋敷を押し倒さんばかりの勢いで湧き上がる。
『いあ! いあ! たいらにぁ! るふよき さたのれこ えはつたの よあこ あい! あい! たいらにぁ!』
「いあ! いあ! たいらにー! るふよき さたのれこ えはつたの よあこ あい! あい! たいらにー!」
って、えええええええええええ!? リーンフィリア様もそれ言うのおおおおおおおおおおおおおおおお!?
「ずっと聞いていて覚えてしまいました。いあ! いあ! たいらにー!」
ち、ちくしょおおおおおおおおおおおおおおお!
僕の女神様がもっと変なのに染まったあああああああああああああ!!
コレジャナイ! コレジャナイ! コレジャナイ! コレジャナイ! コレジャナアアアアアアアア!
【タイラニック・ホラーの呼び声:5コレジャナイ】(累計ポイント-31000)
「さあ、騎士様も一緒に! いあ! いあ!」
僕も言うのかよおおおおおおおお!!?
今コレジャナイしたばっかなのに……! クソッ、だけど、ちくしょおおおおおおおおおお!
『いあ! いあ! たいらにー! るふよき さたのれこ えはつたの よあこ あい! あい! たいらにー!』
『いあ! いあ! たいらにぁ! るふよき さたのれこ えはつたの よあこ あい! あい! たいらにぁ!』
僕とリーンフィリア様が同時に叫び、その後で住人たちが呼応する。
そのやり取りは、真夜中まで続いた。
ちょっと楽しかった(小声)。
住人たちの忌まわしい呪文をじっくり読んでしまったあなたはSAN値1減少です(強制)




